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親が思うよりずっと子どもは親の言うことを聞いて覚えているという話

 中一の娘が学年代表に選ばれたので、先日校内での発表会に行ってきました。
 読書科の課題で新聞を作り、それを元にプレゼンするというものなのですが、「共生」というテーマで本を読んだ感想と自分の経験や考えなどをまとめて、OHPを使って5分間という制限時間の中で全校生徒の前で発表するものでした。

 学年代表に選ばれる前にクラス代表に選出される必要があって、さらに6クラスの中から学年代表に選ばれなければその舞台に立つことはできないため、大変な栄誉なことだと勝手に盛り上がる家族をよそに、どこかドヤ顔で粛々と準備を進めたわが娘。
 本番当日はさすがに少し緊張していたようですが、声も十分な大きさで、話すペースも急ぎすぎず、OHPを効果的に使い、作成した新聞と読んだ本をわかりやすく見せていて、プレゼン態度は合格。

 内容の方は、私が薦めた「獣の奏者」「ワンダー」「アルジャーノンに花束を」という3冊の本から得た「共生」「思いやり」に関するエッセンスから、「差別」「排除」「支配」が何故生まれるのかを考察し、それを現実社会に当てはめて論じるという内容になっていて、親の欲目を除いても、3学年の3人の中で最も出来が良かったのではないかと思うほど立派でした。

 当日の朝、「発表の中に『私の母』が出てくるからね」と予告されていたのですが、私が妊娠中や骨折して松葉杖通勤をしていた時に電車やバスで席を譲ってもらえず苦労した時の話を盛り込んでいて、見事に本の内容と表現テーマとリンクした内容になっていたのには驚きでした。

 何の気なしに話して聞かせたそんなことをよく覚えていたというのが驚きの理由だったけど、それを上手く表現に盛り込んで発表に現実味と厚みを持たせたことにすごくビックリ。
 読んだ本、経験したこと、誰かから聞いたこと、それらを自分の中に貯めていって、混ぜ合わせてアウトプットできるくらい大きくなったんだなと感動したし、私の言葉をこんな風に活かしてくれるなんて親冥利に尽きるなどと思ったわけです。

 だけど一方で、ちょっと怖いなと思ったのも事実です。

 案外、親の言うことを子どもはよく聞いていて、覚えているということは―――。
 ネガティブな言葉すらも聞いていて、覚えているということですよね。

 何の気なしに親が発した言葉を、子どもは覚えていて、自分の中に蓄積しているということなのだと気づいたのです。

 確かに、昔から母が私に対して言ってきた言葉ー意図して言い聞かされたことも、何気なく言われたことも含めてーは、好むと好まざるとにかかわらず、私の中に蓄積して私の思考を作っているのだということに、ごく最近気づいたのです。それがいい面だけならまだしも、自分を縛りつける原因になっていたということにも気づいたわけで。
 母と私は別の人格だし、別の人生を歩くわけだから、母の言うことがすべて私に当てはまるわけではないのに、母の言うことが正しくて守るべきものであるという刷り込みが、この歳になるまで抜けきらないというのを身をもって体験しているんですよね。

 私は娘に対して何かを強要したくないので、自分の考えを押し付けないようにしているのですが、ふと気が緩んだ時に言った何かが娘の人生に影響を与える可能性があると思うと、気をつけなきゃいけないと思うわけなのです。

 親が子供を育てる時期はそろそろ終わりに近づいていて、子供が親を育ててくれる時期に入ったのだと感慨に浸りながら、親として人として、もっとしっかりしなければ!と気合いを入れ直した出来事なのでした。

 

 

  

 

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