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分かりやすい生地の選び方

MAKOTO IWAKIの生地は特殊なものがほとんどなため、馴染みの無い方はどうやって選んだら良いか悩まれるのではないかと以前から思っていました。
説明文はありましたが、正直実物を見れないとピンとこなかったかと思います。

ECサイトでは、「お試し3枚セット」と称して割引価格で素材ごとにランダムでブロックを購入できるセットや、「生地サンプル」をお取り寄せいただけるサービスや「試着サービス」を行っていましたが、素材感がピンときてないとそれもハードルが高かったかと思われます。

皆さん何が気になっているんだろう

何がわかると生地を選びやすくなるだろうかと考えていたのですが、先日のイベントで多くのお客様が、「丈夫かどうか」「水に濡れたりしても平気か」「洗濯できるのか」「しわになったりするのか」といった取り扱いのしやすさや、使っていて嫌な思いをしてしまわないかということを気にされていることに気が付きました。

造り手としてはどうしても「ここが良いところですよ!」と良いところをアピールしがちで、ネガティブな部分は伝えないといけないところはきちんと伝えますがあまりアピールはしないでおこうとしてしまっていましたが、お客様が買うときに心配なのはそのネガティブな部分なのだと感じました。
思い返してみれば私自身も服やアクセサリーを買うときは手入れの仕方やウィークポイントなどを結構詳しく確認していました。

チャートと表にまとめてみました

ただ説明文を書いていては今までと特に変わらず、「結局どれがいいの!?」となってしまうかと思い、わかりやすくチャートと表にまとめてみました。

生地の扱いやすさチャート

簡単にまとめると、元々洋服などの取り扱いが得意な方はどの生地を選んでも心配ないと思いますが、逆に細かいことを気にするのが苦手な方はウルトラスウェードを選んでおけば安心して使うことが出来ると思います。

それぞれの項目ごとに説明していきます。

丈夫さ

MAKOTO IWAKIで使用している素材は基本的に丈夫で、アクセサリーとして、なんなら服にしても問題なく使用できる素材のみを使っています。
ただ、そうはいっても中には繊細な素材もあり、見慣れない素材はすべて不安に感じてしまうかと思います。

結構力を加えてしまいがちだったり、何かにひっかけてしまわないか心配という方は「和紙」は選ばれないことをおすすめします。

和紙は簡単に説明をすると、楮という植物の長い繊維から作ったフェルトのようなものです。日常的に使用しているパルプ紙とは違う作りになっていて、長い繊維が複雑に絡み合っているため、紙の中ではとても丈夫なので通常の使い方では簡単には破れません。
ただ、破ろうと思えばやはり紙なので強い力で裂けばどうしても破れてしまいます。

私自身もMAKOTO IWAKIの和紙のアクセサリーを身に着けますが、3~4年ほどの使用で破れたものは今のところありません。

注意が必要なのが水です。湿ったくらいなら大丈夫ですが、ビシャビシャに濡れてしまうと繊維の絡まりが弱まり強度が落ちてしまいます。
もし濡れてしまった際はタオルなどで優しく水分をとり、平置きで自然乾燥か、ドライヤーやアイロンを使って水分を飛ばしてください。
絶対に絞らないでください。

和紙の名誉のためにも良いところもアピールしておきます。
軽い素材が多いMAKOTO IWAKIの中でも、着けていることを忘れてしまうくらい一際軽い素材ですので、「とにかく軽いアクセサリーが良い!」という方にはオススメです。
上記のことを理解した上で適切に取り扱えば洗濯も可能です。濡れたからと言って普通の紙のように簡単には分解しません。
シルクにも似た静かな光沢と艶やかさから醸し出される和紙にしか出すことの出来ない優しくも風格のある印象は唯一無二です。

他の素材の丈夫さに関しては特に大きな差はありません。
また、他の素材は和紙よりも柔軟性があるため、仮にアクセサリーに強い力がかかった場合は結合力の方が耐えられなくて、ただ分解されるだけで済みます。(ヒモブロック同士の結合を除く)

強いていえば、ウールフェルトもビショビショに濡れてしまった場合は、和紙ほどではありませんが繊維同士の絡まりが弱まるので注意が必要です。

丈夫さランキングはこのようになります。
ウルトラスウェード≧樹脂加工織り生地(素材による)>フェルト>>和紙

しわになりやすさ

柔らかい布を使用しているのでしわになってしまう素材が一部あります。

ウルトラスウェードやフェルトは、ぎゅうぎゅうに詰め込んで収納していたり、重いものを上に乗せていたりすると折り目がついてしまいますが、その点にだけ気をつけていれば基本的にはしわになることはありません。

和紙に関しては、そもそもシワ加工しているため特に気にしなくて大丈夫です。

樹脂加工織り生地は、普通の洋服に使用する織り生地をほつれ止めと強度アップのために独自の樹脂加工を施しているものなので、どうしても普通の洋服と同じようにしわになってしまいます。

アクセサリーとして着用しているときに、しわが出来るようなことは少ないですが、普通の服と同じようにしわにならないように収納していないとしわが出来てしまいます。
もし、しわが出来てしまってもアイロンを掛ければしわを取ることが出来ます。アイロンをお持ちでない場合は霧吹きで湿らせて形を整えてから、重いものを上に乗せてしばらく放置しておけばある程度とれます。
(デニムやグレンチェックのスーツ生地を使用したものなどは厚みとハリ感があるため比較的シワが出来づらいです。)

そんな樹脂加工織り生地の良いところは、普通の布地を使用しているので、洋服との相性が抜群です。
しわさえ気にしなければ、丈夫で洗濯なども手軽にできて扱いやすい素材です。

しわにならないランキングはこのようになります。
ウルトラスウェード=フェルト>>樹脂加工織り生地/和紙(そもそもシワ加工)

洗濯のしやすさ

アクセサリーなのでそこまで汚れることはないのであまり気にしなくても大丈夫かと思いますが、MAKOTO IWAKIのアクセサリーは基本的にすべて洗濯可能です。
ただ、フェルトと和紙は注意が必要です。

手洗いに限りますが、ウルトラスウェードと樹脂加工織り生地は耐水性があり丈夫なので神経質にならず洗っていただいて問題ありません。
(樹脂加工織り生地のデニムのような太い繊維のものはほつれるので優しく洗ってください。)

上記の「丈夫さ」で触れたように、フェルトと和紙はしっかり濡れると繊維の絡まりが弱まるので強度が落ちます。

漬け置き洗いで、すすぎも力を加えないように気をつけて、脱水はタオルで軽く水気を取るだけにとどめて、平干しで乾燥させれば洗濯は可能です。
丈夫さでも書きましたが、脱水の際に絶対に絞らないでください。

慣れないと神経を使って大変に感じてしまうかと思うので、細かい作業が苦手な方できれい好きな方にはあまりおすすめしません。
(そのためフェルトと和紙の絵表記は洗濯不可にしています。)

そんなフェルトの良いところは、ウールの服との相性がとても良く、柔らかい印象が特徴的な素材です。
扱いやすく厚みがあるため様々なブロックの組み合わせが出来る使い勝手柄の良い素材です。

洗濯の仕方の詳細はこちらの記事を御覧ください。
ブロックアクセサリーの洗濯の仕方・シワ取りの仕方|MAKOTO IWAKI (note.com)

洗濯のしやすさランキングはこのようになります。
ウルトラスウェード>樹脂加工織り生地>>>フェルト>和紙

肌ざわりと耐水性ランク表

肌ざわりと洗濯のしやすさ(耐水性)の表です。
洗濯のしやすさに関しては先程触れたとおりですが、チャート図だけでは伝えられない部分があったので表にも加えました。
2種類の肌ざわりについて詳しく説明します。

肌ざわり(表面)

これは素材の表面の肌ざわりランクです。
好みもあるかと思いますが、私個人の感覚とイベントでのお客様の反応を元にしています。
直接肌に身につける際に参考にされてください。

1位:ウルトラスウェード

ウルトラスウェードはスウェード調の人工皮革なので、スウェードに似た柔らかな風合いが特徴で「気持ちよくてずっと触っていたい」と仰ってくださる方も多い素材です。
スウェードがいまいちイメージできない方は桃のような肌ざわりと思っても良いかもしれません。

2位:和紙

シワ加工をしているため少し好みは分かれてしまうかもしれませんが、シルクのような落ち着いた光沢があり艷やかな質感で、サラッとした印象です。
イメージとしては高級なシャツのようなシルクというよりも、和服やインドシルクなどのようなシャリ感のあるシルクが近いと思います。

3位:樹脂加工織り生地

普通の洋服に使う織り生地を使用しているため見た目の風合いは元の生地と同じ感覚ですが、樹脂加工をしているため表面に薄い樹脂の膜があります。
薄い加工ですので貼り付くような感覚はありませんが、指で撫でるとわずかに引っかかるような感覚があります。
よほど神経質な方でなければ不快感を覚えるようなことは無いと思います。
私も結構敏感肌で肌ざわりに神経質ですが気になったことはありません。
一応順位を付けましたが、和紙と同率2位と言っても良いです。

4位:フェルト

ウールフェルトの特性上、どうしても細かい毛が飛び出しているため肌が弱い方はチクチクして気になってしまいます。
夏場でも使うことが出来ますが、基本的に秋冬に使われることが多い素材ですので、敏感肌の方は服の上から身につけられることをおすすめします。

フェルトに限らず、服の上から身につけて服の素材との合わせを楽しまれることをおすすめしてもいますので、そういった工夫が出来るのもアクセサリーの良いところだと思います。

並べるとこのような順になります。
ウルトラスウェード>和紙=樹脂加工織り生地>>>フェルト

肌ざわり(側面)

側面とはどういうことかというと、「突起のチクチク加減」です。

1位:フェルト
説明不要で皆さんのイメージ通りだと思いますが、フェルトは厚みがあり弾力性が高いため、突起のチクチク感は全然ありません。

2位:ウルトラスウェード
柔らかい質感ですが、フェルトよりも薄くハリ感があるので角の感覚があります。ただチクチクして痛いということはありません。

3位:樹脂加工織り生地
素材にもよりますが樹脂加工をしているため、ウルトラスウェードよりも少し硬さがあります。これもチクチクして痛いということは無いと思います。
洋服を折って角をつくって触ったその感覚と思っても差し支えないと思います。

4位:和紙
一番ハリ感のある素材です。ただ、シワ加工をしているため普通の紙の角ほどの硬さはありません。
イメージとしては、シワだらけにした紙の角や、ある程度使用して角が少し潰れた本やノートの角くらいの感覚と思っていただいて大丈夫です。

ランク付けしといてなんですが、基本的にはどの素材も突起は気になるほどチクチクしません。
フェルト>ウルトラスウェード>樹脂加工織り生地>和紙
という順ですがそんな大きな差はありません。

以前気にされてた方がいらっしゃり、敏感で気になる方には大切な情報かと思いましたので作りました。(その方は最終的にどれでも大丈夫となりました。)

ウルトラスウェード

チャートと表を合わせてみるとウルトラスウェードが最強ですね。
本当に使い勝手がいいんですよ。
ウルトラスウェードだけ詳細を紹介していなかったので最後に少しだけ。

ウルトラスウェードは再生ポリエステルで作られた、スウェード調の人工皮革です。
レザーのような強靭さがあり、ポリエステル素材なので水にも熱にも
強く
レザーの弱点がありません!
なので洗濯も手軽に出来ます!
スウェードとも少し違う独特の桃のような柔らかい肌触りも魅力的な素材です。
取り扱いに不安を覚えてしまう方、ガシガシ使いたい方、毎回洗いたいきれい好きな方、などなどにオススメな人を選ばない魅力的な素材です!
ウルトラスウェードの良いところは、悪い所がありません!
丈夫で、肌触りがよく、手入れも楽で、独特な風合いにファンが多い優秀な素材です!

別にウルトラスウェード案件記事ではありませんから。
ウルトラスウェードの悪いところを強いてあげると、ブロックにすると他と大きな差は無いのですが、再生ポリエステルということもありなかなかの高級素材なので私が生地を購入するときに躊躇することと、生地を買ってから届くのに時間がかかるという造り手側の事情くらいです笑

まとめ

生地それぞれの特性があるので、一概に「この生地がベスト!」というのはありません。
今回、ウルトラスウェードが優れていると締めましたが、あくまで素材の扱いやすさに関しての話であって、素材の優劣の話ではありません。
ウルトラスウェードと和紙を比較すると、ウルトラスウェードの方が断然扱いやすいですが、だからといってウルトラスウェードに和紙の風合いを出すことは不可能です。

今回ピックアップしたのは、ご自身がアクセサリーを使用・管理する際に「何にストレスを感じてしまうか」というところです。
また、どんなに扱いやすくても気に入って身に付けられないと意味がありませんので、それに加えて「気に入った素材のアクセサリーは何に気をつけたら良いのか」ということを知ることが大切です。
使っていて簡単に壊れるようなアクセサリーは商品化していませんのでご安心ください。

「アクセサリーだからそんなしょっちゅう洗わないし、服の上から着けるから肌ざわりは気にしない」という方であれば気にせずフェルトを使えます。

「サラッとした軽いアクセサリーが欲しくて、手入れは得意」という方は気にせず和紙を使えます。

この機会に、自分の服・アクセサリー選びのポイントをまとめてみると今後の買い物に役立っていいかもしれません。

もし、他にも気になるポイントやお困りの点があればお気軽にお問い合わせください。
書いていないということは私が気づいていない点なのでおっしゃっていただけると大変ありがたいです。

各生地の詳しい説明はこちらのページを御覧ください。https://makotoiwaki.com/textile/


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