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出会いの季節、原点回帰の季節(改めて自己紹介)

景色が花で色づき、新たな出会いがあり、鼻をはらし、悲しみの花粉舞い降りる春といえばそう、原点回帰の季節ですね!

ここ1,2ヶ月で原点回帰をしたくなるような出来事が度々あり、自分はなんのために物創りをやっているのか、作ったものを通して使ってくれる人に何を届けたいのか、それを通じてどんな社会にしたいのかというのを改めて文字にしてみたいと思います。

また、自己紹介の記事を書いてからこの2年ちょっとでTwitterやInstagramをフォローしてくださっている方も増えたので改めましての自己紹介の意味も込めて記事にします。

一応過去の自己紹介記事はこちらになります。
【はじめまして】【MAKOTO IWAKIについて】|MAKOTO IWAKI|note
【続・MAKOTO IWAKIについて】【コンセプト】|MAKOTO IWAKI|note
1つ目が「どうして服作りを目指そうと思ったのか?」、続が「MAKOTO IWAKIというブランドについて」書いています。
今回の記事はこれらの記事をまとめて、環境も変わっているため改めて今思うことを追記したものになります。

改めての自己紹介

私は熊本を拠点に活動しているアクセサリークリエイターです。

このような、ブロックを組み合わせることで作ることが出来るアクセサリーを制作しています。

HP:

Twitter:


Instagram:

以前の自己紹介記事ではアパレルブランドにてパタンナー&生産管理として働きながら兼業していると記していましたが、2022年4月からは辞めて独立しています。

今回はどういった物を作っているかは割愛します。良ければ他の記事に色々まとめていますので見ていただけると嬉しいです。

服飾業界をめざすまで

服はなんとなく子供の頃から好きでした。
一番古い記憶だと3歳の七五三のときに、おめかししたけど買ってもらったばかりのヒーロー物の靴をどうしても脱ぎたくなくてギャン泣きしていたようです。
他にも4歳ぐらいの頃に初めてのトランクスにテンションが上ってそのまま遊びに出ちゃって途中で気づきどうやってこのピンチを脱しようか悩んだり。
肌が弱くて肌触りをすごい気にしたり色に執着があった記憶があります。
お気に入りのものを身につけられると嬉しかった。

高校生になり「自分らしいおしゃれってなんだろう」と思うようになり、面白いと思った手の届く服には色々挑戦するようになりました。ときどき「何あの格好w」みたいなことを言われることもありましたが、上手くおしゃれできれば自分が笑顔になるし、上手くいかなくて笑われてもそれで誰かのネタになるならいいかという気持ちで乗り切っていました。
お金はなかったですけど色々なお店の方から良くしていただけていました。
友人からコーディネートの相談を度々受けることがあり、その多くが「どう着たら良いかわからない」ではなく「何を着たら良いかわからない」というようなものでした。
着たいと思った服を着たら良いんじゃない…?」ととても不思議でした。
それからそれについて考えることが多くなり「そういう人でもファッション楽しむために出来ることはなにか無いか。出来れば世間の価値観ではなく自分自身を好きになって自分だけのおしゃれを楽しんでほしい。」という想いを抱くのと合わせて、捨てられる服があまりにも多いということを知り消費者を煽り浪費させることが当たり前な服の売り方に疑問を持つようになり服飾業界を目指すようになりました。

服飾学校からブロックを考えつくまで

熊本を出て東京の服飾大学に進学し、初めの頃はオートクチュールの世界を目指していました。その人のためだけのスペシャルな服を作ることで悩みにも寄り添えて、その人の魅力を引き出すことができ、それを大事に使い続けることが出来るのではないかと考えました。
ですがそれは一部の裕福な人もとにしか届けることが出来ないと気が付き違う道を探すことになりました。

その中でISSEY MIYAKEの服に出会って洋服の可能性を知りました。
伝統もはじめは新しいものでした。その中で良い物が残ることで伝統となります。ISSEY MIYAKEのプロダクトは伝統を理解し、新しい革新的なものと融合させることを大事にして、それで生み出されたものがプリーツプリーズやA-pocといった新しい服たちです。
そこから今の服の形にこだわる必要が無いと感じ考え方を改めることにしました。

ISSEY MIYAKEのような特殊な技術力満載の服作りは学生には出来ないので、もっと本質を探るように努めました。
「自分らしいおしゃれ」をいろいろな人が楽しむにはどうしたら良いか考えたとき「自分と向き合うこと」が必須だと思いました。
どうやったら向き合うことが出来るか。いい服を作ってそれをただ服を選んでもらうだけではメディアの情報に翻弄されてしまう可能性だってあると考え、「工夫できる服」というコンセプトで作品を作っていくことにしました。
袖や身頃などにコードを通して長さを調整したり、ボタンを付け替えてボトムからトップスに変形したりと何かしら一工夫できる要素を加えた服をいくつか作っていったのですが、確かに着るときには自分の好みについて少なからず考える切っ掛けを作ることが出来るがそれだけでしか無く、それに飽きればそれまでで他の服と何も変わらないと気が付きました。

さらに環境問題は無視できず、作品を作るたびに残布のゴミが発生して「これが無駄にならなかったら良いのに」と、浪費された服だけでなく、それを作る過程でも環境負荷が大きいことを知りました。(廃棄物だけでなく加工や流通など環境負荷が大きいタスクがいくつもあります)

間に余談ですが、産業別で見た際にアパレル産業の環境汚染のランキングは2位だということをご存知でしょうか?もちろんワースト2位です。
最近になって問題が表立って来ましたがこれは今に始まったことではありません。また、日本を含めアパレルの労働環境の問題も有名です。
今既にこの先困ることもないくらい十分すぎる服が世の中にある中で服を作るということは責任と覚悟が必要で、安易な気持ちでやってはいけないと私は思っています。

話は戻り、私は古い建築物が好きで、地元の熊本に帰省した際はよく熊本城に行っていました。今現在は震災で内容は変わってしまっているかと思うのですが、熊本城は加藤清正が様々な工夫を凝らして作られている名城であるため構造を紹介するスペースが当時はありました。
その中で木造建築技法の継手・仕口といったものと出会いました。
これは、木造ですとどうしても柱や梁と言った部分が長い年月を経て腐食してしまい、その際にまるっとその部分を取り替えるのではなく、問題のある部分を切り取り、新しい木で作ったパーツを釘などを使わず立体パズルのように複雑な切り口で組み合わせることで頑丈に組み合わさります。

「服もこのように組み合わせることで長く使い続けることが出来るのでは?」と考えました。
補正・リメイクといった手法でそのようなことは可能で、昔ながらの方法であれば刺繍で傷を隠したりパッチワークをしたりといったものもあります。
「半オーダー」のような形としてそれを行うかとも考えましたが、そもそもそれをオーダーする人はどんな人かと考えたとき、その人は既に服を大事に長く使っているだろうし、自分の体に合わせるために補正屋さんに持っていっているだろうと考えました。
もう少し踏み込んで考えて、継手の組み合わせる形と釘を使わないことに着目し、糸を使わず組み合わせることが出来、それが可能であれば身につけた人のアイデアでその人自身で出来るのではないかとアイディアを突き詰めていって誕生したのがブロックシリーズでした。

こちらがその際に作成したブロックシリーズの一作目です。
ロゴや説明図で使っているブロックの形はこのときの形を元にしています。

これは大学3年生の時の作品で、色物しか作ってこなかった3年間だったので4年生のときは服として自分の好みを追求して、シンプルで身体に寄り添った美しい服、アジアを中心とした各地の伝統衣装、それにまつわる刺繍などの手仕事といったものに取り組んでいました。
その中で、手仕事に宿る想いというものがとても印象的でした。
伝統的な刺繍には模様に祈りを込めた物が多く、大切な人が着るものに大切な想いを乗せていました。自分が物創りを通してしたいのは「着る人に自分自身の想いを大切にして欲しい」というものがあります。
それを通してブロックシリーズであれば、工夫でき、長く使うことができ、想いを込めることができると可能性を感じ今後取り組んでいくことを決めました。

卒業してから

当時はTwitterが登場したばかりの時代で、個人で販売するということも一般的ではなくそういったサービスの黎明期でした。

右も左も分からない中でとりあえずコンテストに出したりしながら実績を作っていき、服としてではなくアクセサリーとして使うことで可能性が広がるといった考えに至りますが、そのアクセサリーをどう売るのか、当時はウールフェルトと和紙しか可能な素材がなく、どちらも高価で色などのバリエーションも片手でお釣りが出るくらいしかなく製品の幅があまりにも狭く悩んでいたら資金の問題もあり一度断念することになりました。

その後一度熊本に戻ろうと思い、たまたま熊本を拠点にしているアパレルブランドと出会いそこでパタンナー&生産管理として働くことになりました。
デザイナーズブランドの普通の服作りを学びながら、オーダーもやっているブランドだったのでそれについても学び、休みもないような環境でしたので初め3年ほどは忙殺され、なんとか時間を作れるようになってから空いた時間で制作を再開しました。

この当時は、きちんとした時間をとることが出来ないのでその中ででも出来るコンテストに出したりしながらcreemaやminneといったハンドメイド系のサイトで販売していた程度でした。
ブロックの種類が増え、使うことが出来る素材が増え、商業性を持たせることは難しいと考えるなかで興味を持ってくださった熊本のセレクトショップさんなどで取り扱って頂く機会が出来てきました。

そして当時の環境でできることに限界を感じ冒頭の通り、ちょうど1年ほど前にアパレルブランドを辞め独立することにしました。

この1年間

この一年はわかってなかったことにたくさん気がつけて、次々に課題が現れ勉強だらけでした。

はじめ半年は即売会系のイベントに参加することで生のお客様と触れ合うことができ、発見や挫折など経験し、その中で一番届けたい人には届けるのは容易ではないということに気が付きました。
一番届けたい人というのは自分らしいおしゃれが出来なくて悩みを抱えているような人です。落ち着いて考えればわかるのですが、いままでそういった悩みを持たない人が多い環境にいたせいか、完璧に感覚が麻痺していたようで、それで悩むような人はブロックアクセサリーのような特殊なものには普通は手を伸ばさず、好奇心旺盛な人やファッションを楽しんでいる人に好まれるアイテムだということを知りました。

写真の撮り方、SNSの発信の仕方、お客様が何を求めているかなどなどあれこれ勉強して未だ抱えている課題ばかりですが、やっていないことが多すぎて伸びしろしか無いと前向きにとらえるしかないと開き直ってます!
どうやったらそういった人たちが安心して身につけてくれるか、どうしたら魅力的に感じてもらえるか、今まで考えているつもりで考えていなかったことが盛り沢山です。

この1年での1番の収穫は、ブロックアクセサリーを色々な方に楽しんでいただくことは一筋縄にはいかないときちんと実感できて淡い期待を無くし現実的にどうすれば良いかと取り組むことができるようになったことだと思います。

あとは今まではフェルトや和紙や人工皮革といった不織布でしか作ることができなかったのに悲願の普通の生地を加工して作ることができるようになったことで作品の幅が格段に広がったことです。

ブロックアクセサリーを通して伝えたいこと

私が叶えたいこと

ファッションの役割は色々あると思います。
すごい人と思わせたり、魅力的な人と思わせたり、変身ベルトのように勇気をもらえる人がいたり、ただ着られれば良いという人もいると思います。
私は、服は楽しいものだと思っています。
自分が着たいと思ったものを着て、自分の満足のいく組み合わせを見つけ出し、お気に入りのものを身に着けて出かける。ただそれだけがたまらなく楽しいです。
思い思いのファッションを楽しむ人であふれる世の中が私の夢です。

私は男ですが身長が158cmで足も小さく、ちょうどいい服も靴もなかなか無くて長いこと満足のいくファッションが出来ていませんでした。
ですが、私はこの体格を気に入っていて、それだけ大変ということは私にしか出来ないスタイルがあります。
10代の頃はSNSはなく雑誌が主流で、雑誌も見たところで参考になることが少なかったため自分で模索するしかなかったというのもあり、着たい思ったものにとりあえず袖を通し、それに対して自分が思ったことを大事にし、人から何を言われようと自分が心から良いと思ったものしか買ってきませんでした。

仲の良いお店の方から最近「気になっているものがあるはずなのに、自分が何をいいと思って何を着たいと思っているのかわからないという人が増えている。SNSに載っていることをとても重要視している人が多い。」といったような話をよく聞きます。

私の10代だったころと比較するとSNSなどで膨大な参考情報が溢れています。調べれば自分に近いスタイルの資料を見つけ出すことができ、探しても見つからないなんてことが少ないのではないでしょうか。
そんな中でどこにも載っていないようなアイテムでどこにも載っていないようなコーディネートをするなんてとても勇気のいることだと思います。誰もそれが正解だなんて言ってない服で人と会ってなんて思われるだろうか不安だと思います。
でもそれで良いんだと思います。そのコーディネートが正解だと言う人はあなた一人さえいればそれで十分です。人からなにか思われてもそれは好みが違っていたり理解してもらえなかっただけなので何が良いと思ったか語り倒してしまえば理解してもらえるかもしれません。

そのためには、自分の好きをきちんと知らないといけません。別に服オタの変態になる必要はありません。
自分の着たい物が分からなくても、お店やネットで目に止まった服にはなにか魅力を感じたはずです。その奥底にあるものをきちんと見つめてあげればいつか自分の着たい服がなんなのかがわかります。

その、気になったものは肌触りかもしれませんし、色かもしれませんし、他にはない物珍しさかもしれませんし、きれいなシルエットかもしれませんし、お気に入りのキャラクターかもしれません。

その商品の魅力をお店の人やSNSなどの発信者に求めるのも知らないことを知れて良いかもしれませんが、一番は自分自身に「何が良いと思った?」と聞くようにしてみてください。

そうして選んだ服にはあなたの想いが宿り宝物になります。それは別にハイブランドの服であってもいいですし、名の知れぬブランドでも、ファストファッションだってそうなり得ます。
その服と自身の想いを大事に着てほしいです。
ある意味自分の分身ですので壊れたって「なんとか直せないか?」と考えるでしょう。
そうすれば無駄な浪費で無惨に捨てられる服が減っていくと思います。
もし、そういった人が増えたらアパレル業界は打撃を受けるかもしれませんが、そうならないとどんどんおかしくなっていってしまいます。
サスティナブル素材やリサイクルの仕組みを免罪符のように取り入れれば今まで通りで大丈夫なんてことはないと感じています。

ブロックアクセサリーを作る理由

これはMAKOTO IWAKIのコンセプト文のようなものです。
組み換えできるということ以外にも、布製だから軽く柔軟性あって付け心地が良いので硬い樹脂や金属が苦手な人には使い勝手がよく、服と素材の相性が良いので合わせが簡単という良いところがありますが、馴染みがない方からしたらブロックアクセサリーは正直扱いにくいと思います。
似たようなアクセサリーは無いから参考になるものは少ないし、その上いくつもあるパーツを自分で組み替えることが出来るだなんてパニックになっちゃいますよね。
これはクリエイターのわがままでしか無いですが、ちょっとでも気になってくれたら手にとってみてほしいです。そして身につけてみると「案外簡単だな」と思っていただけるように作っています。

組み替えることが出来るからって組み替える必要があるわけではないので、布製の変わったアクセサリーとして見ていただけるととっつきやすいと思います。
そして使っているといつか「あれ?このコーディネートに合いそうなのに微妙に合ってないな…」というようなタイミングが来ると思います。
そのときに「パーツを減らしてボリュームダウンしてみよう」とか「まるっと組み替えてみようか」とかそうして試しているとしっくり来るものが見つかると思います。
アクシデントで1パーツだめにしちゃっても、組み替えればなんとかなると気がつけたりもすると思います。
さらにそれに慣れてくると、「もしやこれって…」と普通の服でも丈や幅をちょっとだけでも調整すると様変わりすることに気が付いたり、今まではダメージで捨てていた服のリメイク方法を思いついたりすると思います。
そうすると服の楽しみ方が一気に広がります。今まで諦めていた服も工夫でどうとでも出来るようになります。

また、アクセサリーというものは馴染みの無い人からしたら無くても変わらないただの装飾品かもしれませんが、いざ使ってみるとたった1つでコーディネートの雰囲気を変えたり、バランスの微調整をすることができる便利なアイテムです。

服はベーシックなシンプルなものでもアクセサリーをプラスするだけで印象を変えることが出来るので、服をキャンバスにアクセサリーで描くことができます。
ブロックアクセサリーであれば更に自分自身の想いを乗せて自由に描くこともできます。

そういったブロックアクセサリーを使うことで得られる体験を通して、もっと服を好きになってくれる人が増えてくれることを願って作り続けています。

最近思うこと、最後に

正直、最近はやるべきは物創りではないのではとも思っています。
前述の通り、自分自身が良いと思えるものを大事に楽しめる人が増えてほしいという想いでクリエイター活動を続けていますが、ブロックアクセサリーでは現状、既にそういった想いを持って自分の好きなものを楽しんでいるような方にご購入していただく割合が多く、そうではない方に届けるためには様々な工夫が必要だと考えています。
そうしたときに取るべき手段を物創りに執着する必要がないのではないかと考えるようになりました。それに色々な人の自分自身の好きを大事にすることもファッションに限る必要もないとも考えるようになりました。
別にクリエイターを辞めようと思うという話ではなく、違うアプローチからも考えることで視野が広くなりもっと良いものをお届けすることが出来る気がしました。
執着すべきことはクリエイターであることではなく達成したい目的であることを見誤ってはいけないと感じています。

新たに作ったシリーズのKnot Bagもブロックアクセサリーから一旦離れた違うプロダクトとして考えました。
きっかけとしてはブロックアクセサリーより頭を使わずとっつきやすい工夫できる物というところからの発想です。これもまだ試作段階で、誰のためになるのか見えてこない限り実際に製品として作り続けるかはわかりません。

物創り以外の話もしましたが、物創りでやっていないこともたくさんありすぎるので、自分が何のためのやっているかを見失わないようにしながら、原点を忘れずそれに向かって進んでいきたいと思います。
それを振り返るための今回の記事でした。
独立して1年経ちましたが、むしろようやくスタートラインに立った気がします。
8000文字オーバーで長かったですが、ここまで読んでくださった方誠にありがとうございます!


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