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黒フェルトアクセサリーのコーディネート(カラーコディネートテクニック)

2月になりましたが春はまだ遠そうな寒い日々が続いていますね。
今回はブロックアクセサリーを使ったコーディネートのデザイン的な基礎部分からの説明をしていきたいと思います。

コーディネート説明をやろうと思った理由

とあるコミュニティサイトのようなSNSを通して知ったのですが、私が思っていたよりも「コーディネートの上達方法が分からない」「おしゃれの勉強の方法が分からない」というような投稿が多く、正直あまり詳しくないですがInstagramやTik tokやYoutubeなどでノウハウ系の投稿がたくさんあるからそういう悩みはSNSがなかった時代と比べて減っているのかなと思っていたのですが案外多いんだなということ知りました。

「そういうノウハウ系の投稿を見たらいいのでは?」と思ったのですが、いくつかInstagramのそういう投稿をしているアカウントをチェックしてみたのですが、発信できる情報に限りがあるので端的だったり、内容の好みと服の好みが合わないと参考にならなかったり、基礎が出来ていることが前提であったりというような投稿が多い印象でした。
上記のきっかけとなった上達方法や勉強の仕方に対してのそのSNS内での返答も「雑誌、街行く人を見る」「誰かの真似をする」のようなものばかりで「何がどうやって能力を身につけることができる」方法というものが殆どなく、私は誰でも気軽にその人自身の思い描くおしゃれを楽しむことができるようになって欲しいという思いでクリエイターとして活動しているため自分にできることをやってみようと考えました。
(せっかくなのでその課題に対する私がした返答も近いうち転載したいと思います)

もう一つが、MAKOTO IWAKIのアクセサリーは実物を見たことない方でも写真で見てわかるように大ぶりな物が多いです。
大ぶりですと「主張が強くて使い方が難しい」という方がある程度いるようで、素材も普通のアクセサリーのように金属や樹脂ではなく布なので余計に馴染みがなく難しく感じられてしまっているというようなお声をいただきました。
お持ちになられている方であれば実感できるかと思うのですが、どちらかというとマフラーや手袋の友達のような感じで、布であることで服との相性がよく異物感が少ないため大ぶりであっても樹脂や金属のアクセサリーより馴染みやすいのですが実際に着けてみないと体感していただくことが難しいと思うので何かしらで少しでも伝えることができればと考えました。

TwitterやInstagramにアップしているコーディネートを用いればその2つの説明をすることができるかと思いコーディネート説明をしてみようと思いました。

ファッションとしてどうこうではなく、ファッション・プロダクト・グラフィックなど多くのデザインの共通の基礎の部分から説明をしていこうと思います。
私は色を主体としたコーディネートが得意なので主に色彩理論が中心になるかと思います。
ただ、小難しい話は極力しないようにしようと思います。本当に基礎からすると長くなり本や講義で学んだほうがいいかと思うので「そのコーディネートにどういうテクニックが含まれているか」という説明の仕方で、より詳しく知りたい人がどうやったら掘り下げて調べることができるきっかけを記していきます。

黒フェルトコーディネート:線香花火ネックレス+フラワーバッグ+打上花火ブレスレット

簡単にアイテム紹介

線香花火ネックレス

線香花火をモチーフに「線香花火ブロック」を3枚使用したラリエットタイプのネックレスです。
内径は~46cmの可変式で、先の火花の部分は約5×3cmで程よく主張する大きさで細い部分は0.8cm幅のサイズ感です。
アウターの襟などに着けなければ胸辺りにくるシンプルなウールフェルト製のネックレスです。

線香花火ネックレス【フェルト】 | MAKOTO IWAKI(マコトイワキ)ECサイト⁤

フラワーバッグ(ノーマルサイズ)

広げた状態で横60㎝×縦60㎝と6倍のサイズの打ち上げ花火ブロックの四隅をヒモで結び袋状にしたバッグです。
結んで使えばハンドバッグ、ほどいて広げて使えばブーケバッグとして細長いものを持ち歩くことが出来ます。
持ち運んだ花を花瓶に移し替えたあとは花瓶の服に。

陶器やガラスの花瓶では出すことが出来ない布地の柔らかい印象がより花の華やかさを引き立ててくれます。
花をコーディネートする楽しみが増えて生活を彩ってくれます。
ギフトとして花と一緒に添えて贈るのにも最適です。

フラワーバッグ【フェルト】 | MAKOTO IWAKI(マコトイワキ)ECサイト

打上花火ブレスレット

打ち上げ花火をイメージしたブロックを5枚組み合わせたブレスレットです。

高さ10cm×内径21.5cmと大ぶりですが、タイトなコーディネートに身につければサイズのコントラストが際立ち、アウターやセーターの上から身につけることが出来ますので単調になってしまいがちなコーディネートに彩りを添えられます。

打ち上げ花火ブレスレット【フェルト】 | MAKOTO IWAKI(マコトイワキ)ECサイト⁤

コーディネート説明

アクセサリーをどのように使っているか

上の3アイテムを下のようにあわせました。

ざっくりというと、太い網目のベージュのコットンニットとグレーの千鳥格子のジョッパーズパンツと合わせています。
これにアクセサリーがどのような効果をもたらしているか説明していきます。

まず、身につけている物の主従関係についてですが、
主:ニット・パンツ・バッグ
従:ネックレス・ブレスレット
というようになっています。
これは、どういうことかというと「主」というのは文字通りコーディネートのメインとなる部分で、「従」が主の部分を整えるためのアイテムです。

下の写真は雑ですが上の写真の「従」のアクセサリーを加工で消したものです。

色のバランスとしては肌に近いベージュにポイントの黒、ベージュと黒の中間くらいの明るさのグレーで悪くはなく、印象もあっさりとしていますが襟ぐりの黒い部分が浮いていて少し悪目立ちしてしまっている印象があります。

ネックレスをプラスすると矢印で示すように首元で下向きの方向性が出来て、上から下への黒色の流れを作ることが出来ます。
ですが流れは出来ましたがベージュの面積が広くて下まで黒がたどり着いていない印象です。

今度はネックレス無しでブレスレットをプラスしたものです。

こちらは腰の高さの位置に黒がポイントでプラスされて色の配置のバランスは良さそうですが下側のほうが重い印象でまとまりがよくありません。
首元にもう少しアクセントがほしい気がします。

改めて元の画像です。
首元から下向きの黒の流れを作ってベージュの途中で黒をポイントで置いて下半身の黒・グレーへつなげていくことで全体のバランスが良くなっています。

バッグなしだとこのような感じで、こちらのほうは黒がポイントだけなので全体的に軽やかな印象です。

色の分析

上のコーディネート画像の色の構成をわかりやすくすためにそれぞれ部位ごとに単色塗りにしました。(雑ですみません…。)

色ごとに抽出してバランスを出したかったのですがいまいちきちんと色を出してくれるツールが見当たらず、ざっくりですが
明るいベージュ:40%
ミディアムグレー:30%
黒:20%
肌:10%
くらいな感じですかね?

更にまとめると
ベージュ系:50%
ダーク寄りの無彩色:50%
という感じで全体的に半々な色の割合になります。

色の基礎

この輪っかは「色相環」というもので、配色の基本として「赤+緑」「黄色+青」「オレンジ+青緑+紫」のように反対側の色の配色や全体的にバランスよく同じ角度で離れた位置の配色だと色が整いやすいので「調和の取れた配色」となります。

そうではなく「緑+青」「黄色+赤紫」「青紫+青+オレンジ」のように近しい色や偏った組み合わせの配色でバランスが取れているものを「不調和の調和」と呼びます。
「ややこしいな!」という感じの名前ですけどまさに「色のバランスで言えば調和が取れていないけど上手いこと調和している」というような配色で、ただ偏ってたらただの不調和です。
こつとしては明るさや彩度と言った「トーン」と言われる部分で配色の共通点を作ったりしてバランスを整えます。(後ほど具体的に説明します)
不調和の調和は色の印象を強く出すのに役立ちます。
赤+黃=暖かく明るい印象
青+緑=落ち着いて静かな自然の印象
という演出に役立ちます。

色は「色相」「彩度」「明度」の3つの要素で出来ていて、色相は上の色相環の示すような「何色」というような区分です。
彩度は色の濃さで、上の色相環の色は彩度100%で、彩度0%が白~グレー~黒の無彩色です。
明度は色の明るさで、明るさ100%=白、明るさ0%=黒と思って大丈夫です。

こんなの見たことある人も多いと思いますが、「トーンマップ」といわれるものです。
横軸が彩度で左側に行くと色の彩度が薄くなって色味を感じなくなって、右側のビビッドトーンがいわゆる原色の彩度100%です。
縦軸が明度で上だと明るく軽やかな印象の色味で、下だと暗く重々しい印象の色味になります。

こういったことを具体的に覚える必要はないですが、感覚的にでも理解できるようになると配色を考えるのが楽になります。
正直私も「〇〇トーン」と言われても「えーーと、あぁ、うん、知ってる知ってる。あれね」という感じです。

コーディネートの色

また話を戻しますが、今回のコーディネートの有彩色はベージュ系だけなのでいわゆる「不調和の調和」の組み合わせです。

色相環に色を当てはめてみるとだいたいこのあたりです。
「え?全然色あってないんですが……。」という印象ですが、ニットのベージュはライトグレイッシュトーンくらいで彩度が低いため色相的には合っていても彩度がかけ離れているので別の色相のように感じます。

わかりにくいかもですが、これは上の色を抽出した画像を作る際のグラフィックソフトのニット部分のベージュです。周りの円が色相で三角部分が彩度と明度で、彩度が低くて明度が高いことがわかります。

明るく彩度の低いベージュ+ミディアムグレーが中心で色の印象としてはベージュが持つ「黄色人種の肌=落ち着いたニュートラルな生っぽい印象」とグレーの「いぶかしげではあるけど少し軽やかさと柔らかさを持つ印象」を併せ持っていて、それを黒で引き締めてるイメージです。

思い切って色を抜いてみると下のようになります。

これで明度がわかりやすくなりました。
こうやって並べてみると、ベージュの彩度が低いからか色付きと色抜きであまり大きな印象の差はないですね。

肝心の明度に関しては、
ライトグレー~ミディアムグレー~黒のグラデーションになるような配色で上手くまとまっています。

さらに部分的に見てみると、ニット部分は「ライトグレー+黒」で混ぜるとミディアムグレーと同じぐらいの明るさになるような配色です。
黒の配置にも注目してみると、「頭・腰の高さ・足」とバランスよく配置しているためこれもバランスを上手く取る要因になっています。

全体的にミディアムグレー寄りのコーディネートになって、逸脱した色がない自然な優しい印象のバランスとなっています。

色のまとめ

色相=ベージュとミディアムグレーが中心の印象となり柔和で落ち着いた印象
彩度=唯一のベージュは低彩度で黒やグレーとバランスを取りやすい
明度=ライトグレー~ミディアムグレー~黒とグラデーションになる配色で、黒をバランスよく配置することで全体を整えている

といった感じの不調和の調和の配色のコーディネートになっています。
アクセサリーが大ぶりであることでこういった色の調整に役立つツールとして使うことが出来ます。

素材の組み合わせ

MAKOTO IWAKIのアクセサリーは現在「ウールフェルト」「和紙」「スエード調の人工皮革」「樹脂加工した織り生地」の4種類で展開しています。
今回はウールフェルトなのでこの素材感がどう活きているか説明します。

改めてですが、トップスのニットはコットン100%で太めの網目のニットです。
パンツはウール58%・コットン42%のジョッパーズパンツです。

まずトップスからですが、編みが太めなので割りとボリュームのあるニットですがコットンなのでサラッとした印象です。
それにウールフェルトのネックレスとブレスレットが重なっています。

写真で見た感じでもあまり素材の合わせの違和感がないかと思います。
シャツなどのもっとさらっとしたコットンにウールフェルトを合わせるともっと「ウールのアクセサリー着けてます」感が出るのですが、今回は編み目の目立つニットということがポイントとなっています。
ウールフェルトはさらっとしておらず、ウールの繊維がケバケバと飛び出てどちらかというと凸凹のある印象です。
ニットも同じように凸凹のある印象で、狭い視点で見るとジャンルが違いますが広い視点で見ると似たようなジャンルの物同士であるため印象の差異が少なく相性が良くなっています。
また、ウールフェルトは2mm厚のものを使っており、ニットも同じような厚さなので視覚的に同じ弾力の物が合わさっていてそれも相性良く馴染む理由になっています。

パンツはそこまで説明不要だと思いますが、薄手の上品な印象のある織り生地ですが、ウール同士で同じように繊維の毛羽が飛び出して近しい印象で、細かい千鳥柄がちょうどよいノイズになって視覚的にウールフェルトともトップスのコットンニットとも相性がよくなっています。

このように洋服の素材感とアクセサリーの素材感を合わせてあげるだけで、大ぶりのアクセサリーでも悪目立ちせず上手く馴染んで調和の取れたコーディネートができます。

個人的には、あまり硬いアクセサリーの感触が得意ではないので時々しか他のアクセサリーを着けないですが、小さい細いリングやネックレスでも金属や樹脂だと異物感で主張を強く感じます。
同じ素材感だと服の延長線上で色や柄をポイントでプラスする感覚でアクセサリーを身につけることができるので個人的にも自分で作成したものを愛用しています。

形の合わせ方

シルエットうんぬんはややこしいので言いません。
Yラインは力強くて、Iラインはスッキリしててとかいちいち考えませんよね?私も考えません。
〇〇ラインに囚われずアイテムの持つ印象で考えたほうが楽だと思ってます。
今回はコットンニットとジョッパーズパンツでボリュームがあって丸みを感じる服が主となっています。

バッグもですが身につけたアクセサリーも共通して角がなく丸みを感じる輪郭のもので統一させて全体的な印象を変えずに、より丸っこく可愛い印象に仕上げています。

まとめ

今回は「際立った特徴のない落ち着いたコーディネート」の分析といった内容でした。
毎回こんなに具体的に細かく考えているわけではなく、あくまできちんと分析しながらやるとこういう合わせがのパターンがありますよ。という解説でした。
普段からきちんと意識していってなれてくると経験で「なんとなくこんなもんでしょ」という感じで感覚的にわかるようになります。

実際には
「今日はこのニット着たいな。パンツはー、これにしよ。うーん悪くないけどなんか違うな。なんか胴のところが寂しいから衿ぐりに合わせて黒のブレスレット着けてみようかな。素材は冬だしフェルトで。
もう一息だな。とりあえずネックレス足してみよう。他の色だとごちゃごちゃするな。黒で合わせてみるか。あーいい感じ。
全体的にさっぱりしてるしバッグは可愛らしいフラワーバッグにしてちょっと印象付けとこう。」
くらいな感じで軽く数パターン試してみている程度です。

私は製作者ということもあって色々自分用に作っているので手軽にとっかえひっかえ合わせることが出来ますが、多くの方はそうではないと思うので私のブロックアクセサリーに限らず手持ちのアクセサリーではいまいち合うものがないけど合わせるトレーニングをしてみたいという方は、布でも紙でもなんでもいいので色のついたものをアクセサリーに見立てて服に重ねてみるとそれで十分わかります。
なんなら写真に撮ってスマホで色を足すのが楽です。
アクセサリーを新しく買う際にそういった方法で試してみると実物とその服を合わせることが出来なくても失敗が減るかと思いますよ。

さっくりまとめようと思ったのですが思いの外長くなってしまってここまで読んでくださった方ありがとうございます!!
予定を明らかにオーバーした時間の掛かりっぷりなので頻繁にできるかわかりませんが他のコーディネートでも解説していって、オシャレするときの役に立ってもらえたら嬉しいです!

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