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刹那を描く

基本的な歌詞のセンテンス


作詞家 Makoto ATOZIの提唱するソングライティングセラピー作詞教室では、作詞をする際の言葉の整え方(メロディーとの合わせ方)、心に響く歌の書き方、作詞への向き合い方の3本の柱を中心に作詞法を伝授しています。

先日オフィシャルウエブサイトに書いたことと重複しますが、今回は歌のセンテンスについてお話しします。

たとえあなたが作詞に興味がなかったとしても、新しい知識として、何かを感じていただけたなら嬉しく思います。


歌のセンテンスは区切りながら


上手に歌を書けていない方々は、何行にも渡って言葉をダラダラとつなげてしまい、歌の歌詞というよりは、手紙のようになってしまっていることが多い。

昨日のブログで、作詞は言葉の組み合わせではないと話しましたが、言葉を整えることは重要です。

書いたら終わりではなく、一字一句、本当にこの言葉、この行のメッセージで物語は伝わるのか、これが最高の一字一句なのか、それを導き出すことは作詞家にとって大切な仕事です。

歌のセンテンスに区切りを与える


歌を歌詞として書くときには行があります。

1行1行で表現に区切りを与える。これは基本になります。

たとえば下記の歌詞を読んでみて、どのように感じられますか?

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 思い出に立ち止まらないで歩いてそして

 ぼくは忘れないで行くから ほらあの日

 心のページを開いたら眩しすぎるあの日々がある


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パッと見では、何が良くないのか、わからない方もいらっしゃるかもしれません。

この歌詞のような手紙のような歌詞になりきれていない歌詞は文章に区切りがないのです。

歌、音楽は聴覚から感じるものなので、文章が長すぎると、音楽として聴いたとき、意味が全くわからなくなってしまいます。

いや、俺はわかるよ、わたしはわかります、

という方は下記の歌詞を読んでみてください。

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 思い出に立ち止まらないで

 でも 忘れないで

 心のページを開く

 眩しすぎる My Friend


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先ほどの歌詞のような文章に1行1行ずつの区切りを与えました。

こうすることで言葉にポエジー(詩感覚)が生まれ、聴感上の心地よさが生まれます。

歌は音楽ですから耳と身体から感じたとき、そしてハートで感じるときのフィーリングはとても大切。

作詞とは音楽の一構成要素です。場合によっては音楽そのものでもあります。

刹那を描く


多くの聖者が 「過去は夢の如し、今だけがあり、未来は予感でしかない」と説いてきました。

音楽はまさに、いまこのときを楽しむものです。

リスナーは、音楽を聴きながら、一瞬一瞬の音に身を委ねています。

歌詞の数行を時間の流れに置き換えるなら、1行目の今から始まり、2行目に移ったとき、すでに1行目は過去、3行目は未来になります。

3行目に移れば、1行目2行目は過去、3行目こそが今、このとき、4行目から先は未来、まだ見ぬ先のことです。

何行にもわたって歌詞を書くということは現在の不在を表すことになるのです。

そこには刹那がない。

瞬間の中にあるからこそ美しいもの、それは青春のように輝くときめき、純粋感、情熱、愛情、慈愛。

瞬間の中にあるからこそ、感じられる愛はあります。

連続する刹那の表現によりリスナーは歌に酔いしれて、感動をすることになります。


これが正解とは言えないながらも


世の中には様々な歌があります。

中にはずっとセンテンスをつなげて成功している歌もあります。

それはなぜ成功しているのか。

その場合はセンテンスをつなげていても持続する刹那がそこに描かれているからです。

とても上級な歌の描き方です。

初心者の場合は、最初はセンテンスを短くすることを意識する。

これは大切なこと。

そして、様式美。今回の歌詞はメロディー先ではなく、詞先をイメージしていますので、文字数を自由に描きました。

メロディーが先の場合は、ここの文字数はメロディーでは4文字だけれど、どうしても5文字入れたいという場合の誘惑に負けないようにします。

作曲家が4音を指定しているのであれば、しっかりと綺麗に4音・4文字で表現する。

その際には歌いながら、4音の響に対して心地よい母音が当たっているかをよく吟味する。

それも刹那です。

詞先で描く場合は、刹那が生まれやすいように、これも様式美を意識して音数・譜割を決めます。

瞬間瞬間を歌に落とし込み昇華させる。

歌の歌詞を用紙にすればA4一枚の内容ではありますが、描かれている刹那はとても濃いものなのです。

本来はね。

だから言葉として組み合わせとしてではなく、整え磨き、研磨することは重要。

そうすることで、意味、メッセージ、物語は輝きだします。

これは、使い方によってはブログなどでも有用な考え方だと思います。

今日は歌のセンテンスについて話してみました。

窓の外では小鳥たちが可愛く鳴く声を響かせています。

梅雨の少し前、美しい白い雲の朝。

今日もいいことがあるといいですね!


Makoto ATOZI


作詞講座 Makoto ATOZI 阿閉真琴作詞講座 Makoto ATOZI 阿閉真琴

song-therapy.main.jp


作詞家 Makoto ATOZI プロフィール

平井堅「楽園」より作詞家としてのキャリアをスタート。以後、ジャンルの枠を超えて様々なアーティストの音楽制作、レコーディングに参加。
現在は歌を書く喜びを伝えたいという志から、ソングライティングセラピー作詞教室を主宰。
今後は作詞だけではなく、詩人として、旅人として、真理探究家として、世の中に価値あるものを提供できるようにと精進中。
近々の目標としては、しっかりと自分の経済基盤を立て直し、インド・リシケシへ旅してアシュラムに滞在し詩集を出版したい。
日本全国へ詩を届ける旅をしたい。


歌詞提供アーティスト
男性アーティスト 50音順

嵐 / 今井翼 / 岩田光央 / おれパラ(小野大輔 鈴木健一 森久保祥太郎 寺島拓篤) / 宇都宮隆 / ESCOLTA / 笠原涼二 / KAT-TUN / 神谷浩史 / Coming Century / GYM(山下智久) / ジャニーズJr / Skys The Limit / Silky Voice / Sexy Zone / タッキー&翼 / TRIPLANE / CHILD HOOD / 20th Century / NEWS / 畠中祐 / PaniCrew / 平井堅 / V6 / 藤木直人 / 前川清 / 光永亮太 / Lead


女性アーティスト

新井裕子 / 石川さゆり / 石嶺聡子 / 上原奈美 / 片瀬那奈 / 上白石萌音 / SATOMi / The Girls with Sifow / SANA / Shifo / 島谷ひとみ / シュークフラッシュ / Z-1(当時 上戸彩所属) / 中島由紀江 / 中野めぐみ / 中原小麦 / 中村美律子 / nami(玉置成実) / 平田志穂子 / BENI(安良城紅) / Boogaloob、 / majiko / MINAKO(米米CLUB) / mirai

今日の一言

優しい呼吸をしてみましょう。

自分では腹式呼吸をしているつもりでいても、実際は上半身上の方だけで呼吸をしていることが多いです。

ゆっくりと息を吸って、息が肺を降りて、お腹の底まで届くことを意識して呼吸してみましょう。そしてお腹の底まで届いた大きな空気は肺、喉を通って空へ放たれる。

ぼくたちは大きな世界の先にある意識。

何を叶えたいだろう。

叶えることを心に、呼吸をお腹の底まで届け空に放ちましょう。

いただきましたサポートは活動生活資金として大切に使わせていただきます。創作活動を持続できますよう温かな御心とサポートいただけましたら幸いです。よろしくお願いいたします。あなたが幸せでありますように。