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福祉サービスは「楽しい」のか?

 今回は、ちょっと辛口でひねくれた内容かもしれません。

「福祉の仕事って楽しい!」
「おじいちゃん、おばあちゃんと話していると楽しい!」

 と聞くことがありますが、僕としてはなんだか違和感があります。

楽しいって言うけど、綺麗ごとだよね。そんなに楽しいんだったら、仕事を辞めたりなんかしないよね。

 もちろん、ウキウキするような出来事もあるのは確かだとは思いますが、仕事と捉えた時の「楽しい」は、誰にとって「楽しい」のかが疑問に感じてしまいます。
 
 また、楽しいの基準は、個人差があり、人それぞれ。すべての人が楽しく感じることはほとんどないと思っている。スタッフは、利用者一人一人の性格や趣味、生活歴、障がいや認知症の程度を理解することが必要であると同時に、楽しさの工夫をする必要があるとも思います。
 スタッフとしては、雰囲気を盛り上げるために「楽しさ」をアピールしているかもしれないし、頭の中では「こんなことして本当に楽しいんだろうか」と疑問を持つこともある。また、利用者としては、楽しくないことを「楽しい」と言っているとしたら、スタッフや他の利用者を「思いやって」いるかもしれない。
 スタッフとしては「楽しい」とされている場面で、楽しくなさそうにしている利用者がいるのは、気にしてしまいますが、大多数のうちの「少数」として把握されてしまう。

 そこで、レクリエーションの意味を改めて考えると「楽しみ」を追求するというより、

「recreation」という言葉は、「re=再び」「create=つくる」が合わさった「つくりなおし」(語源=ラテン語)が転じて「再びつくる、元気回復」するという意味があります。「余暇(自由裁量時間)」を利用して、自発的に、個人または集団で行う活動や経験であり、ゆとりと楽しみの創造を目標とするととらえられています。

 となり、楽しい=レクリエーションとは違っている。

 では、介護・福祉スタッフは、何をもって「楽しい」と言うのか?
 話の内容だろうか、活動だろうか。
 利用者の笑顔が見られることだろうか。
 スタッフだけで「楽しい」ということは、利用者を無視しているから、第三者から見ていると、何だか変な温度差、感じがするときもあります。

職員ができること

 「楽しさ」を福祉サービスを考えていくと、職員が「楽しくする」工夫を一生懸命考えているかが重要だと思います。職員が創意工夫をして、利用者の楽しんでいる顔を思い浮かべてレクリエーションの内容を考えている。それが、利用者にもつながると思います。「これでいい」と考えていると、どこを楽しんでいいのか分からないのは当然です。

そもそも、楽しくなくてはダメなんでしょうか?

 介護・福祉サービスの内容では「生きがい」や「成長・発達」を触れていることはあるけれど、「楽しみ」を明文化していることは、ほとんどない(と思う)。だから、結局は楽しくなくても、サービス自体は成立するのか?楽しくするのは、利用者にサービスを継続して利用してもらえるようにするためや、辞めないための「手段」であるのかな。

 また、介護・福祉スタッフの「楽しい」と思える場面と、高齢者や障がい者が「楽しい」と思える場面は、年齢も、身体状態も、福祉サービスを使う理由も違う。利用者にとっても「何でこんなことが楽しいのか」「バカバカしい」と見ているかもしれない。さりげない支援や変化でも、楽しんでもらえるようにしていることが、利用者にも伝わらないことも、スタッフには「苦痛」になる。
 仕事として考えても、「何か次につながる発見」「心躍る体験」をした時が「楽しい」時であり、いつも思えるわけではない。
 楽しい時というのは「雰囲気」も関係しているんだろうなと思います。1人よりも大勢で、暗いよりも明るい、といった感じで。
 それもあって「いつも楽しい」となっていると疑問を感じてしまいます。 

 僕としては「楽しい」と言うより、「有意義な時間を過ごさせてくれて、ありがとう!」「あなたといると、こちらも笑顔になる!」と言った方が良いのではないでしょうか?

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