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新井英樹「ザ・ワールド・イズ・マイン」 を全巻一気読みした

Kindle Unlimitedに新井英樹の「ザ・ワールド・イズ・マイン【オリジナル版】」が全巻来ていたので、昨日から14巻一気に読んだ。

数年前に1巻だけ途中まで読んでいたのだけど、
「なんだ、これは濃いな。濃いすぎる」
と放置していた。

高3の次男が、藤本タツキのチェーンソーマンは面白い、Netflixにもアニメが来ていると言っていた。
藤本タツキって今年「さよなら絵梨」の読み切り配信が話題になっていたので読んだ作家だな。
「さよなら絵梨」にはちょっと新鮮に驚いたので、チェーンソーマンも読んでみようか、とコミックの方を1巻だけ読んでみた。

あれ?このコマからはみ出さんばかりの情報量と熱量、どこかで見たことがあるな。。
と思い出したのが、新井英樹のマンガやん!
以前に読んだことのある「キーチ」と「キーチVS」、
そして今回の「ザ・ワールド・イズ・マイン」

ものすごい熱量。
何かを語らずにはいられないという熱気。
こんなマンガを14巻も書き続けるなんて、恐ろしいまでの執念がないと無理でしょ。
マラソンなんてもんじゃなくて、ダッシュで超人マラソンの距離を走っているようなもんじゃないか。

そして、あまりの情報量の多さに、拡大してみれるKindleとはいえ書かれていること全てを咀嚼するのは不可能。

熱が上がってくるにつれて、これは何を描いているの? 一体今どうなっているの?何を見せられているの?
と混乱せざるを得ないコマが多くなってくるのもある。

だけど、途中で止めようなんて思わせず、一気に読ませられるのは流石。
ここには何かがある。
何かがあるんだけど、具体的にじゃあどんなメッセージを受け取った?
と言われても言葉で簡単に説明するのは難しい。

リアルにトシモンみたいなテロリストが出てきたらたまったものではないし、マンガとはいえ人をコロしまくるのはどういうことだ?なんて批判もありそうだが、目を捉えて離さない。
だけど彼らの行動原理も理由も理解不能。
そりゃそうだ、理解出来た方が怖いけど。
同じようにかなりデフォルメしているとはいえ、警察、政治家などの権力者達も理解不能。
いや、奴らの方が実態としてはかなりリアルな方なにかも。
時代的には1990年代終わりから2001年までの連載時期だったので、影のフィクサーとしてウィッシュの祖父の竹◯◯が出てきているが、あれはよく訴えられなかったな。姿かたちもそっくりに描いているのに。
今のカルトまみれと国民無視の金儲けしか考えていない自民党と安倍政権を描いてくれたらどんな話になるだろう。是非お願いしたい。
そして、アメリカ・・・。
うん、奴らはそうだよな。
もはや近親憎悪としかいいようのないほどにアメリカ文化に依存してしまっている世代なのだけど、ラストのちょっとしたミスによる全面核戦争だなんて洒落にならない感じが怖い。
20年経った現在も、かなりリアルなディストピアフィクションとして読めてしまう。

ヒグマドンは結局何だったんだろう?
物質として存在していたが、抽象概念が物質化した奇跡?
だからあんなに膨張していったのか?
ヒグマドン含めてオーラスの地球再生までいくと、流石に想像力も限界を超えてしまいました。

新井英樹はコミック「ひとのこ」も全2巻、すでに購入して本棚に突っ込んであるけど、まだ恐ろしくて手を出していない。
かなり体力がある時に一気に読まないといけないだろうから。



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