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散髪屋で順番を抜かされた話

はじめて行く散髪屋に入った。

店に入ると先客が3人いた。

この店は特に受付もなさそうだ。

はじめて入る店の場合、システムがよくわからない。
とりあえず先客が座っているところが待合所らしい。
他の客と同じく椅子に座った。

しばらくすると母子が入ってきた。
「梅丸です」
と言うと空いている席に座った。
すると、奥から女性が出てきて
「はい梅丸さんね」
と言って出迎えた。
さっきまでいなかった女性だ。

今のが受付なのか?
僕は受付を通していないのか?

まあ。いいや。
少し不安に思いつつ、そのまま座っていた。

男性1人でカットしてるので時間がかかる。
入店してからだいぶ時間が経ったようだが、先客の3人が次々と奥のチェアへ座り散髪を済ませていく。

さぁ、次は自分の番だ。

立ち上がって、行こうとしたら、

さきほどの母子を受付した女性が奥から出てきて、
「はい次、梅丸さん」
と呼びかける。

これまでの3人の先客は名前を呼ばれず。
暗黙の了解で(おそらく入店順)決まっていた順番で、
阿吽の呼吸とアイコンタクトでそれぞれが
"はい、次は私ですね"
という感じで奥のチェアへ進んで行っただけだったのに。
(そう言えば、あのカットをする椅子は何と呼ぶんだろう?)

「はい、梅丸さん」と呼ばれた母親の方が、僕の方をチラリと見て、
"あなたの方が先の順番だったようだが、名前を呼ばれたのでお先に行きますね"
というニュアンスを出しながら、女性に
「はい、梅丸です」
と返している。

その時点で、
「あ、次は私です。私が先に来てました」
と言えば良かったのだけど、相手は小さい子供連れ。
何も言えずに、
"先に言っていいですよ"
という感じで母子に会釈すると、母子は奥のチェアへ腰掛けた。

あの時どうすれば良かったのか?
相手は小さい子供だし、
あそこで順番を主張するのもなぁ、と思いつつ釈然としないまま再び順番を待つ。

"最初にちゃんと平等に受付しろよ"
と店の者らしき女性にも腹を立てる。

はじめての店なんだからシステムを知らなかっただけじゃないか。

えい、腹立たしい。
こんな店では髪の毛は切らない。
もう帰ってやる。

と思うものの、今まで待った数時間も惜しい。

さて、あなたならどうする?

これは実際にあったのではなく今朝起きる間際に見た夢の話。

「梅丸さん」という母子の名前は、きっとNHK朝ドラ『ブギウギ』の歌劇団の名前から連想したんだろう。
そんなところも全く夢らしい。

それにしてもおかしな夢を見たものだ。
他人に順番を抜かされた夢。
フロイト派の学者ならこの夢に何かの意味を持たせてくれるだろうか?

<了>

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