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髪を切るのが面倒くさい

どうして人は髪が伸びるのか。

あぁ、今がいい感じなのでこのままでお願い

そんな訳にはいかない。

若い頃は散髪をしてもすぐに伸びて来る髪が、
年を重ねたらもう伸びて来ないかと言うとそんなことはない。
身長は大人になると伸びないのに、
髪の毛は確実に伸びる。

俺の髪の毛はいったいどこにいった!伸びてくるなんてありがたいじゃないか?

そんな人もいるかもしれないが、ごめんなさい。

若い頃は髪の形がどういう具合になっているのかは、着ている洋服と同じくくらい、ひょっとするとそれ以上に見栄えに影響するので一大事だ。

20代の我が家の男子たちはヘアサロンにかける予算が半端ない。
毎月髪を切りに行って1回が6,000円くらい?
何回かに1回はカラーリングをして来るので軽く1万円超え。

そして、カットから帰ってくるたびに新しい髪型になってくるので、それはそれで見ていても楽しいが、お金かかるだろうなと思う。

僕が若い頃は普通の男性が美容室に行くのはまだ珍しい時代だったので、床屋へ行っていたが、それなりに格好良く仕上げてくれる床屋を探すのも大変だった。

30代半ばから相方のススメもあって美容室へ行くようになった。
男性専用サロンではなかったので、最初は女性客と混じって髪を切ってもらうのに恥ずかしさを感じていたが、店長が同年代の男性だったのでやがて慣れて来て、2ヶ月に1回くらい行くのが楽しみになった。
カラーリングをしたのもその時がはじめてだった。

その後、地方営業所へ転勤になった時に、都会と比べて茶髪の男性の多さに少々辟易としてきた。
マイルドヤンキーというと怒られるだろうか。まぁそういうクラスターが多めなのは確かだった。
明るい茶髪の会社員を毎日見ていると、なんだかなぁと思ってやがて髪を染めるのを止めた。
逆張りというやつだ。

40歳を過ぎた頃、毎月の散髪代ももったいなく感じる時期があり、小さい息子たちを連れていくついでに一緒に1,000円カットで髪を切るようになった。
あいにく軽い天然パーマなので、短くさえしていればそれなりにまとまってくれる髪質だった。
男子なんだから、短く清潔感さえあれば問題なし。
そんな風に思っていた。

何年か1,000円カットに通ったが、いよいよ我慢ならなくなったのが、スタッフ達のやる気のなさ。
1,000円カットに過剰なサービスを求める訳でもないが、あそこまで無表情にやる気なさそうにすることもないのにな。
何かにいつも腹を立てているような不機嫌そうにイライラしている、客にもつっけんどんな物言いしか出来ない人もいた。
そんなスタッフに当たった日にはもう終わり。
こちらも不機嫌な気持ちになって帰ることになる。

子供たちも小学校高学年になって髪型を気に掛けるようになってから、男性客も行きやすい安いヘアサロンを見つけて行くようになった。

あぁやっぱり1,000カットの理容師カット(とも言えない技術だったかもしれないが)と美容室のサロンカットは仕上がりが全然違うな。
そんな風に思った記憶がある。

まぁ確かに流行りの髪型をするのであれば確かに全然違うのだろうけれど、短く切っている分には実はそんなに変わらない。
ただ丁重に扱ってもらいきちんとサービスを受けている、そう感じる気分の問題だけだ。

女性が頻繁に美容室へ行くのもそういうところがあるのだろう。
ついこの前カットしてきたばかりなのに、ちょっと前髪をとか言って予約を取っていそいそと出かけるのは気分転換になるからだと言う。

そのサロンも担当の人がある日突然姿を消したので行かなくなった。
そう、ある日突然辞めてしまったのだ。
今でもNさんは何処に行ったんだろうね?と家族で話をしているんだけど。

そして、今は近所の床屋に通っている。
同年代のマスターと奥さん2人でやっている、いわゆる町の床屋さんだ。

サロンではカットだけだったので、床屋のフルサービスを受けるのは新鮮だった。
肩や首筋のマッサージ、シャンプー、髭剃、顔そり。
何十年ぶりだろう。
マスターとの会話も楽しい。
やっぱりいいなぁ。
カットだけしてもらって帰って来るよりはさっぱりする。

だけど、これが毎月になると面倒くさい。

なるべく短く切ってくださいね。トップももうちょっと切ってもらっていいです。あぁ、裾もバリカン入れてもらっていいですよ。

そんな具合に伝えて、今のサイクルが上手くいけば2ヶ月に1回のペース。

だけど、面倒だなぁ。
散髪して1週間くらい経った頃がちょうどいいので、そのままずっとフリーズして髪型を保ってくれればいいんだけど、そういう訳にはいかない。

どうして髪が伸びるのかなぁ。
髪がまだあって、伸びてくれてるだけありがたいと思うべきなのかなぁ。

<了>

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