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IT業界には、何故鬱にかかる人が多いのか?

 あなたの周りに心のバランスを崩して、結果鬱になってしまった人、増えていませんか?私は社会人になって、30年近くになりますが、実感としてずいぶん増えたと感じています。鬱になる人、実際のところ増えているのでしょうか?

■鬱になる人は増えているのか?
 厚生労働省の患者調査によると、「気分の障害」で入院したり通院したりする人は、1996年の約6万人から、2017年の約11万9千人へと、増えています。倍ですね。

 また、実際に病気にかかる人も増える一方、こうしたことが社会問題として取り上げられる回数も増え、数字の増加以上に、我々の目に触れることが増えているという現状もあるのだと思います。

 ちなみに、自分が働いているIT業界(受託型ソフトウェア開発業)では、鬱になる人の割合が他の業界と比べて多いと言われています。厚生労働省が把握している数字で言うと、鬱による過労死の数は、福祉介護業界、医療業界、運送業界、総合工事業に次いで、5位です。結構生々しいですね。そしてなかなかの順位です。

 統計的にも多いと出ていますが、個人的な実感も同様ですね。同業他社の人と話していても、他業種に比べて「少ない」と感じている人は、1人もいません。この業界が大好きな自分にとっては、非常に悲しい現状です。

■何故、IT業界には、鬱になる人が多いのか?
 スウェーデンで産業ストレスを研究するロバート・カセラックという人が提唱した「仕事の要求度・コントロール」(*1)というモデルによると、以下の場合に仕事のストレスは高まると言われています。

①仕事の要求度が高い
②仕事の自律性が低い

 「仕事の要求度が高い」とは「難易度が高い」と言い換えてもいいかもしれません。例えば、「拘束時間が長い」、「高い集中力を必要とする」、「高いスキルを要求される」といったようなことですかね。確かに、IT業界の仕事の要求度は高いです。労働集約的で、ドキュメントやプログラムを作成する時は丸一日画面とにらめっこ、なんてこともよくあります。加えて業界動向の変化も早く、一年前の知識が役に立たない、なんてこともよくあります。

 「仕事の自律性が低い」とは「自分で決められることが少ない」と言い換えてもいいかもしれません。例えば、「仕事の進め方や内容に自由度が低い」、「仕事の守備範囲が明瞭でない」、「自分で期限を決められない」、「突発的な仕事に対応しなければならない」といったようなことです。IT業界の仕事の自律性は、これまた低いです。基本的に、システムの仕様も納期もクライアントが決めます。ただ、なかなか決まりません。作業のスコープや役割りも、決まっているようで決まっていないことが多かったりします。そして、トラブルになれば、クライアントの業務が止まっているわけですから、どんなことをしてでも、早急に復旧しなければいけません。大きな声では言えませんが、徹夜休出当たり前です。
 まさに、ストレスの宝庫と言っても言い過ぎではないような・・・(笑)

■じゃあ、どうすればいいのか?
 では、このストレスフルな業界で、したたかに立ち回り、楽しく仕事をしていくにはどうすればいいのでしょうか?

 それは、次回へ・・・・あれ??ここまで、中小企業診断士も企業内診断士も出てきてませんが、ハッシュタグつけて大丈夫・・・・・・? 大丈夫です。次回、どれだけ診断士活動が鬱予防に有効なのかを、熱く語らせてもらいます。楽しみに(笑)待っていてください。

*1:Karasek, R. A. (1979). Job demands, job decision latitude, and mental strain: Implications for job redesign. Administrative Science Quarterly , 24, 285-308)

ITベンダに勤務する、中小企業診断士です。得意のITを活かしつつ、常に楽しく前向きに、中小企業の方々と一緒にいろいろ考えていきたいと思っています。