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アラサー発達障害者、就労移行支援に通う②(準備編:雇用保険と障害年金)

前回の記事をご覧になってくださった方、ありがとうございます。もしまだご覧になってない方はぜひ①の解説編をお読みになって下さい。前の記事からかなり日が空いてしまいすみません。

この記事では主に就労移行支援施設利用中のお金の準備について解説します。今回は主に「雇用保険」と「障害年金」について解説します。実際に、私もこの2種類のお金をもらいながら生活をしておりました。

※制度についてはあくまで個人が執筆したもののため、内容についての詳細は各関連機関にお問い合わせ下さい。

就労移行支援事業所は、フルタイム勤務を目指す人の場合週5日の通所を最終目標にすることを利用者に求めてくるため、必然的に「働いて生活費を稼いで就労移行支援事業所に通う」ということが非常に難しくなります。(パート勤務を目標とするならまた変化します)

注意点として、就労移行支援事業所には「工賃」や「賃金」などは存在しないため、いくら訓練をしようと実習に行こうと訓練を受けようと0円にしかなりません。

「(障害のつらさ、通所日の関係上)働けないのに、何かしらお金を得ないと生活費が無くなって詰む」ということなので、利用者であった私からしても、かなり不条理に感じます。

就労移行支援事業所に通所している時に何かしら給付金などが出ればよいのですが、残念ながらそう言った制度は存在していません。

就労移行支援事業所に通うには、働けずともお金を給付(または貸与)してもらえる制度を使う必要があります。

就労移行支援利用中の資金源

※【】は主な関係機関です

失業手当【ハローワーク】

正式名称は「基本手当」。就労移行支援に通う前に(一定期間)雇用保険に加入している状態でお勤めをしていた場合貰えます。下記のatGPのサイトで詳しく解説されていますが、この点で大切なのは「就職困難者」とハローワークに判断されれば、下記の表3のように、健常者(表1,2)と比較して非常に長い期間の失業保険が受け取れるという点です。

ちなみに私は、3カ月間の待期期間こそあったものの、就職困難者として300日の給付となり月々16万円ほどの給付金を受けていました。

就職困難者身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳などいずれかの障害者手帳を持っていれば該当します。他、保護観察中の方なども該当していますがここでは割愛します。

※精神障害者には例外があり、てんかん、躁鬱病、統合失調症に該当する方は医師の診断書があれば就職困難者として手続きが可能になる場合もあります。なので、手帳が無くても該当する場合があるため、諦めずに社会福祉士や精神保健福祉士(ソーシャルワーカー)が在籍している病院などで確認することをお勧めします。


追記:障害者手帳を取ることについて

私のように一般雇用をされている最中に発達障害が発覚した方や精神障害の状態に陥った方は、退職をされる前に診断医を見つけて手帳申請用の診断書を書いてもらい、障害者手帳を入手しておくことをお勧めします。

ご本人にしてもご家族にしても、障害者として社会的な差別を受けたくない、身も心も障害者になりたくないという気持ちもあるかとは思います。

しかし、そうした心理・社会面でのリスクはあるものの、手帳取得によってデメリットが生じることは基本的にあまりありません(強いていうなら一部生命保険会社から加入を断られる可能性が出るリスクがあるくらいです)。

むしろ障害者控除などの税制面での控除や失業保険の給付日数の増加、社会福祉協議会が提供する生活福祉資金の貸与対象になるなどいくつかの支援制度が受けられるようになります。入手すること自体については、当事者である私からもお勧め致します。

手帳を手にしたからと言って使わなければいけない義務はありませんし、友人や会社に伝える義務もありません。手帳なんていらないと感じたり、デメリットだと思えばいつでも市町村の障害福祉課で返納できます。使わない時は自宅の金庫に鍵をしめてしまっておいても問題ありません。

あくまで「困った時に最悪の状況に陥らないための保険」として手帳を取っておくと非常に安心できます。

手帳の入手は診断を含めると場合によっては年単位で時間がかかることがあるため、短期間の治療が難しい精神障害や発達障害のように治ることのない障害が発覚した場合、なるべく早めに手帳のことや失業時のことについて担当医や病院のソーシャルワーカーに相談することをお勧めします。

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・障害(基礎・厚生)年金【年金事務所】

障害年金は、日本年金機構で以下のように説明されています。

障害年金には「障害基礎年金」「障害厚生年金」があり、病気やけがで初めて医師の診療を受けたときに国民年金に加入していた場合は「障害基礎年金」厚生年金に加入していた場合は「障害厚生年金」が請求できます
なお、障害厚生年金に該当する状態よりも軽い障害が残ったときは、障害手当金(一時金)を受け取ることができる制度があります。また、障害年金を受け取るには、年金の納付状況などの条件が設けられています。

「障害基礎年金」は1,2級、「障害厚生年金」は1,2,3級と等級外の手当金に分かれており、等級の数が多く、等級認定外の一時金である手当金がある障害厚生年金の方が受給できる難易度が比較的低いと一般的に言われています。

一般的に、申請の時点で、無職または障害者雇用である方が比較的通りやすく、一般雇用だとなかなか通らないことが多いようです。そのため、転職を検討されており一定の無職の期間がある方は申請のチャンスです。

私は、前職を辞めた後、障害年金申請の専門職である社会保険労務士に依頼してヒアリングの他、書類作成のアドバイスや申請代行、担当医との情報共有を行って頂き、半年ほどかけて障害厚生年金の3級の支給決定通知を頂きました。

申請後、数か月後に受給の判定結果が通知され、通過していれば年間に受給できる金額や次回の更新年・月が記載された証書が郵送されてきます(障害によっては更新がないものもあります)。その後、更新時期が来るまで偶数月の15日に年間金額の内の2か月分にあたる金額が振り込まれ続けます。

障害年金を申請するメリット

経済的に助かる。何といってもこれです。私が受給している障害厚生年金の3級の場合、最低金額であっても583,400円が年間に支給されます。(あくまで今の最低金額かつどんぶり勘定ですが)もし、30歳の私が老齢年金の受給時期である65歳まで障害年金を最低額のまま貰い続けたとしたら583,400円×35年=20,419,000円、という生涯で2000万円を超えるお金の支給を受けることができます。

私は障害者雇用で働いており、一般雇用の時に比べて賃金が非常に低いためお金が極めて重要となります。障害者雇用で働く上で、障害年金を受給できているかいないかで、生活の安定具合に天と地ほどの差が出るとも言われています。

そして重要なのが、障害年金の支給金額は税金の課税対象にならないという点です。障害者手帳と併用すれば税金を障害者控除で減らしつつ、障害年金で実質的に手取りを増やせるということになります。

申請にかかる手間暇と精神的負担はかなりのものですが、障害者が経済的安定を目指す上で障害年金はかなり重要な要素といえるでしょう。

障害年金申請に必要な書類

受診状況等証明書:(障害の)初診日の証明書。診断を受けた病院が発行。

②障害年金専用の医師の診断書:診断を受けた病院が発行。

③病歴・就労状況等申立書:発病から現在までの通院歴・就労状況・生活状況・障害の状態を記述する書類です。 下記の日本年金機構のホームページからダウンロードするか、社労士さんから貰えます。


私のような発達障害については先天性の障害のため、乳幼児期から現在まで(障害があったため生じてしまったであろう否定的な出来事を)具体的に記述する必要があります。

そのため記述量が膨大になる上、失敗した記憶、いじめられた記憶や人に嘲られた記憶など思い出したくもない記憶まで思い出して書かなければならず、はっきり言ってものすごく精神的に負担がかかります。私自身、二度と書きたくない書類ナンバーワンです。

そして、もう一つ注意点として障害年金は申請して一度落とされてしまうと2回目以降はなかなか通らないと言われています。私の担当の社労士さんも同様のコメントをしていました。

障害という困難を抱えつつ、落とされると後がない状況下で自分にとって不快な過去を思い出し、審査の判定者にわかりやすく伝えるというのは大変な困難です。

また、医師の診断書を貰う時も、担当医への状況の伝え方を誤ると「軽い」症状として書かれてしまい、不認定となる可能性が上がってしまいます。社会保険労務士さんのような障害年金などを専門とする専門職に相談に乗って頂き、必要ならば担当医との仲介役になってもらいながらじっくり時間をかけながら進めるという方法がお勧めです。

障害年金受給において重要な3つのポイント

①初診日の時点で国民年金か厚生年金に加入している。(20歳前に診断された方を除く)

②原則(例外あり)初診日から1年6か月以上を経過している

③初診日の時点で保険料を納めている、または免除申請をしている

私は、26歳で(発達検査の)初診を受け、当時はフルタイムで介護職をしていたため厚生年金に加入しており、年金申請が29歳の時でしたのでこの3条件を満たすことができました。

そもそも自分が条件に合致しているかわからない場合、社労士さんにお願いして調査して頂くこともできるので、わからなくても諦めないでまずは相談してみて下さい。

社会保険労務士さんに依頼する時の費用

①事務手数料 2~3万円

初回のヒアリングや相談を経て、正式に社労士さんに依頼する時点で支払います。基本的に依頼者と社労士さんが合意した後に支払うものですが、依頼を決める前のヒアリングや相談の時点で(依頼しないにも関わらず)「相談料」を請求してくる「悪質な」社労士がいたケースもあると聞いているため、料金形態は必ず確認して下さい。

②受給通過時の報酬支払

一般的に、障害年金の年額の内2か月分にあたる額が請求されます。これは万が一障害年金が通過しなかった場合請求されません。

まとめ

雇用保険は障害者手帳(や医師の診断書)があれば大幅に受給期間を延長できる
障害年金は、制度や申請手続きが複雑で、精神的な負担が大きいため社会保険労務士など専門職の力を借りることが重要となる。


あくまで個人体験のものですが、何か質問したいことなどがありましたらTwitterDMまでお願いします。




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