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2024年9月21日(土)  神奈川県立音楽堂 加藤訓子プロデュース        メタ・クセナキス 全3話 その2

「悪魔的、呪術的魅力が迸る演奏会」

演奏会解説 第2部・・・11名の奏者による「プレイアデス」

プログラムパンフレット

 第2部は11名の奏者による「プレイアデス」。4楽章構成で、第1楽章では加藤訓子が指揮をしていました。

この第2話では、まず「プレイアデス」の様子をお伝えしたいと思います👆

ステージの11名の奏者、全員が一騎当千と言ってよいほどの優れた奏者👆この事は極めて重要であり、また、これを実現する事は、極めて困難です👆

11名という決して小さくない規模の合奏を高次元で実現させるためには、各員の実力が拮抗していなければなりません。そしてこれは容易には実現できません。それは、実際にこの規模のバンドリーダーになって見ると判りますが、その経験がない状態では理解できない領域の事です。

そもそもクセナキスのプレイアデスを、現実のステージで演奏しようなど、この上なく困難な事です👆 高度な演奏技術が求められるだけでなく、クセナキスのあの音楽をしっかりと理解した上で演奏できなければならず、それができる奏者を10人を超える規模で集めるなど、不可能に近いことです👆

1人でもついていけない奏者がいると、たちまち音楽が崩壊しちゃいます。今回の奏者たちは、本当に素晴らしかった❣ まさに「一騎当千」という、最大限度の褒め言葉を使いたくなるほどの奏者たちでした。まあ、このうちの何人かは個人的によく知る奏者なので、この団体がスゴイ奏者の集合体であることは知っていたのですが、改めて実際のステージで彼らの演奏を味わうと・・・やはり言葉では表現しづらいです💦 あえて表現するなら、

おおおおおっ💦💦

となりましょうか(笑)

そして、彼らの素晴らしい演奏を、芸術的に高めていたのが、あの素晴らしい照明でした👆

演奏会の聴衆を異界へ誘う、上品で美しい照明

照明の重要さは、加藤訓子の前回の記事シリーズにも詳述してありますので、ご興味の向きはそちらも参照なさると、より理解が深まると思います👆

映画監督、押井守氏が言う通り「映画の半分は音でできている」のです👆 そして同様に(これは私の考えですが)「演奏会の半分は光でできている」のです👆

なので、演奏会をプロデュースするならば、照明や音響について、充分な知識と経験、つまり知見を持ち、その上で音楽と絡め合わせて考え、演奏会と言う一つの芸術を作り上げていかなくてはなりません👆 加藤訓子は、それができる、日本では非常に数少ない本物の芸術家と言えます👆

第2部の記事で、この照明を大きく取り上げているのは、第2部の始まり方の照明が、素晴らしかったからです💦 「おおっ❣❣」っとなりました👆   ステージ奥に横1列に並んだ照明ボックス(とでも言いましょうか、4つの灯体を1組に束ねたボックス)が、威力を発揮しました。

演奏開始と同時に、ボックス内の1灯が、全灯体一斉に、青色の光を客席に向けて放ったのです👆 客席に向けたこの灯体の配置は、通称「目潰し」と言う位置の配置です。「目潰し」の配置にすると、聴衆は、より強烈に光を感じ取ることができますが、一歩、角度や光量の設定を誤ると、演奏会全体がぶち壊しになってしまうような、両刃の剣でもあります。

この配置で、美しく上品な光を効果的に放つには、照明設計者の才能と経験が最上級であることが必要です👆 今回の照明担当は、それができる最上級の照明マンです👆

そして、曲が進むにつれて、ボックス内の他の3灯体が光を放ちました。 1灯体は、薄い青だったと思いますが、この薄い青をゲスト光色とでも言いましょうか、これの活躍場面は限定的で、主に活躍した残り3灯体の色は、赤、青、緑・・・

お気づきになりましたか❓ これ、光の3原色です👆 理論的には、この3色さえあれば、あらゆる色を作り出すことができるのですが、それを行っている照明担当者は、実は殆どいません。理由は単純明快で、この3色だけで演奏会の照明を全て賄おうとするには、絶妙な技術が必要だからです👆

加藤訓子の、この演奏会のステージ正面からの照明を、殆どこの3原色だけで作り上げた照明担当者、スゴイ腕前です❣ 脱帽です💦 この照明方法をとっていた演奏会の経験、私は一つだけです👆 1973年来日した、英国のプログレッシブロックグループ、ピンクフロイドが、この照明法をとっていました👆

元々ピンクフロイドは、大規模な照明を行うグループとして有名でしたが、光の制御という分野は、非常に難しいため、この照明法を使うことは本当に両刃の件なのです。私は思いました。加藤訓子の照明担当者、1973年のピンクフロイドのステージを、見たことがあるのではないかと・・・

照明について、かなりの字数を費やしましたが、演奏会における照明の効果とは、かくも重要な事なのです👆

本当は、演奏、照明と絡めて、もう一つの事を申し上げたいのですが、それは「コンセプト」についてです👆 が、この事は、次回、第3話にて詳述したいと思います👆

第2話を終わります👆 次回は加藤訓子というコンサートプロデューサー、演奏家、芸術家が、現在の日本の音楽界に与える影響について、私の推測と願いを織り交ぜながら、語ってみたいと思います👆 

第3話もお楽しみに(^_-)-☆

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