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はじっこ


回転寿司に来て、流れていくレーンを目で追っていると、たまごが流れてきた。ただのたまごではない。はじっこのたまごだ。しかも両方、はじっこのたまご。

私は思わず手に取った。はじっこの食べものって何故かすごく美味しそうに見える。

海苔巻き、卵焼き、かまぼこ、ゆでたまご。全部はじっこを食べるととくに美味しく感じる。なんだか、はじっこにおいしさが詰まっているようで寧ろそればっかり食べてしまうのだ。

たまごのおすしを食べてみたけれど、普通のたまごのおすしとすごく違いがあるわけじゃない。ただ、はじっこかはじっこじゃないかという差。特に意味もなく、ただ長いものが包丁でスパッと切られて、その端にあったもの。食パンみたいに耳と生地の部分の味が違う訳でも、ない。


卵焼きといえば、昔母親が作ったお弁当に必ず入っていた。母は料理があまり得意ではなく、味が一定しない人だったから、甘い時もしょっぱい時もあったけど、くるくる巻かれるそれを母に邪魔だと言われながら、見てるのが好きだった。そして、切り終わったあとにお皿にちょんと乗っている卵焼きのはじっこを食べるのが大好きだった。よくこれのせいで弟と喧嘩したけど。


私が今食べているのは味の差もなく、綺麗に巻かれている卵焼きだ。食べると全年齢向けなのだろう、少し甘い。甘くてもしょっぱくても母のたまごやきを思い出す。


次に帰省した時に、作ってとお願いしてみよう。嫌な顔しそうだけれども、それもまぁ、いいか。


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