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【ケアストレスカウンセラー】Part1 Step1-4 人間のこころと行動

みなさんこんにちは。このシリーズでは、『ケアストレスカウンセラー公式テキスト』に準拠した内容を自分なりにまとめています。テキストの内容だけにとどまらず、周辺知識も含めるようにしました。さらにテキストだけでは分かりにくい部分は、他の資料にもあたった上で執筆しています。

前回からずっと、こころの中の細かな動きについての話が続いていますが、普段意識せずに生活しているので、なかなかイメージしにくい部分かと思います。個人的には特に、「感覚」と「知覚」の違いがよく分からずに苦労しました。
前回の記事はこちら。

今回の記事でも引き続き、人間のこころが行動に及ぼす影響について見ていきます。特に、ロボット(AI)と人間とを比較しながら、心があるのとないのとでは、行動にどう違いが出てくるかに注目して見てみましょう。

1.人間の認知は一瞬だが複雑

前回挙げた例のように、音楽が聞こえたとき、人間は瞬時に以下のような順序で認知していきます。

感覚(五感)→知覚→認知

そして、その認知によってその後の行動が変わります。例えば…

「これ、嫌いな音楽だ!」→スキップして飛ばす
「これ、大好きな曲だ♪」→ボリュームを上げる

一方、ロボットはどうでしょうか?

音を感知する→音を音楽だと判断する→メロディに乗って踊る

これらの動作はロボットにも可能です。では人間と何が違うのでしょうか?それは、こころのはたらきがあるかどうかです。

一見ロボットにも人間と同じような動作ができるように思えますが、それはあくまでもそのようにプログラムされているからに過ぎません。それでも、プログラム通りの反応をしてくれるので、仕事の上で大いに助けになります。

一方、人間はどうかというと、その時の精神状態や周囲の状況で、知覚や認知できることに差異が生じることがあるのです。

例えば、Amazon Echo に「アレクサ」と話しかけると、必ず反応してくれます。でも夫に話しかけた場合、返事が返ってくる確率は100%ではありません。それは、その時の夫のこころが何かに気を取られているからです。

このように五感に異常はなくても、人のこころは時に実際とは異なる知覚や認知をしてしまうことがあるのです。

2.「錯覚」はこころのはたらき

(1)視覚

まず、下の図を見てみましょう。何に見えるでしょうか?

ルビンの杯
(エドガー・ルビン。デンマークの心理学者)

黒い部分を見ていると、盃に見えますし、白い部分を見ていると人の横顔に見えてくるでしょう。

ゲシュタルト心理学全体をひとつのまとまりとして知覚すると主張する)の形成に大きな影響を与えたルビンは、手前に浮き出て見えるまとまりの形を、背景に広がって見える部分をと呼びました。人はこのように、図と地の分化(分離)によって形を認識しているのです。

一方、ロボットにとってはどちらにも見える、ということはありません。「白黒の模様」もしくは「杯」か「顔」のどちらかのみの知覚しかしないのです。

また、知覚から得る情報にノイズが多かったり、逆に情報が少なかった場合は、個人の経験が大きな影響を与えることがあります。(経験の要因 ヴェルトハイマー

例として、「だまし絵」と呼ばれる下の絵をご覧ください。

若い女性と老婆

人によっては若い女性に見えたり、一方で身近にお年寄りがいる人には老婆に見えたりします。このように、経験によってパーツのまとまり方が異なるため、内容が人によって違って見える、ということが起きるのです。


次は幾何学的錯視のさまざまな例を挙げます。

①ミュラーリヤー錯視
(2本の水平線は同じ長さ)
②ザンダー錯視
(2本の対角線は同じ長さ)
③ツェルナー錯視
(水平線はすべて平行)
④ポッケンドルフ錯視
(斜めの線は一直線)


⑤ヘリング錯視
(2本の水平線は平行な直線)
⑥エビングハウス錯視
(中央にある2つの円は同じ大きさ)

上に挙げたような錯視も、ロボットにとっては数値を測れば事実が分かりますので、計測を誤ることはありません。でも人間は錯覚を起こします。これは人にこころがあるからこそなのです。

(2)聴覚

耳にはたくさんの音刺激が入ってきます。しかし私たちはそれらの音すべてに意識を向けて聞いている訳ではありません。

例えばあなたがカフェにいるとしましょう。店内には心地よいジャズが流れています。一人で静かにコーヒーを飲んでいるときはそのジャズに耳を傾け楽しんでいるかもしれません。ところがそこに知り合いがやってきて、遠くからあなたの名前が呼ばれたらどうでしょうか?たくさんの音の中でも、あなたの注意は瞬時にその友人の声に向けられ、他の音と聞き分けることができるでしょう。

これがカクテルパーティ効果(選択的注意)と呼ばれるものです。この言葉はお聞きになられたことがあるかもしれませんね。

このように、その場で臨機応変に必要な情報が何であるかを判断できるのは、心の優れた機能です。

一方、ロボットは先述のように、プログラムされた動きしかできません。ある時には音楽に、またある場合には人の声に反応する、というような、注意を向ける対象を臨機応変に、意識的に変えるということはできないのです。

さて、次回からはいよいよ、こころと学習、そして動機づけの話に入ります!だんだん心理学の核心に入っていくので楽しみです。

今回のポイント

・何かを感じて動くことが、こころのはたらきである。
・錯覚は、こころがあるために起きる

『ケアストレスカウンセラー公式テキスト』21ページより

理解度チェック問題

次の文章の正誤を答えてください。
① 認知行動において、最初の段階のはたらきは「知覚」である。
② 五感を通して受け取った情報の「意味」は常に一定である。
③ こころがあるからこそ、人混みの中でも待ち合わせの相手を見つけ出すことができる。
④ ロボットでも錯覚を起こすことがある。
⑤ こころの機能とは、まず何かを感じて、それから行動を引き起こすことである。


答え
① 誤(認知行動の最初の段階のはたらきは「感覚」です。)
② 誤(人の欲求や期待、経験、価値観などによって変わります)
③ 正
④ 誤(錯覚を起こすのはこころのはたらきによります)
⑤ 正






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