わたしたちはどこから来てどこへ向かっていくのか。

「女性」或いは「女の子」
そう形容されたときわたしは言い知れない違和感を抱く。不適切な言葉のように思う。そしてそんな時、そこはかとなく孤独を感じる。わたしはどこにも所属せず帰属意識を持たず、広い世界の中にたった一人で立ち尽くしているように思うのだ。

わたしはトランスジェンダーである。
辞書などでは「体の性と心の性が一致しないが、外科手術は望まない人」と定義される。
わたしは女性の肉体を持ちながら、その精神は男性でも女性でもなく、そのどちらも不適切なように思えるのだ。いや、もしかするとどちらでもあるのかもしれない。
そして現実で所属する組織の人々の誰にも打ち明けられずにいる。

それはただ、思想的なものなのかもしれない。
わたしはかけがえのないわたしであり、わたし自身でありつづけ、どうしようもなくわたしなのだ。
わたしは何者かである必要はなく、それを誰かに押し付けられる必要もないのだ。
そしてかけがえのない誰かは、かけがえのない誰かを愛する。
不特定多数の人が帽子だと思うそれは、ぞうを丸呑みしたウワバミなのかもしれない。
わたしたちはそれが帽子だと決めつけることで、それが内包するものに気づかない。そして帽子だと思いつづける。

人が誰かを理解することはかなりのエネルギーを必要とする。わたしたちはパートナーや友達のなにを理解して、寄り添っているのだろうか。

ウワバミに丸呑みにされたわたしはだれにも気づかれずにここにいる。そして隣には何かに飲み込まれた誰かがいるのかもしれない。

#日記 #ポエム #エッセイ #LGBT

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