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まこ
2024年7月29日 00:27
山が近い しゃわしゃわしゃわしゃわ春蝉が鳴いて しゃわしゃわしゃわしゃわきみが深い青に漕ぎ出でる様をわたしは少し前から振り向いてじっと見つめていた 浅く水を掻きぜんぜん前に進まないと飛沫を浴びて眉を寄せるパタパタと球のように服に吸い込まれ焦燥の熱に染み入り吐く息と共に溶け出る わたしは対岸が遠くてそう感じるだけだよと そう出かかったこえが春蝉のこえに掻き消されーーーしゃわしゃわしゃわしゃわし
2024年7月4日 03:57
隣の席のカップルがなぜこんなもの暗記させられるんだと空で案じた一節左耳に残るつづきが細やかな糸となってその日の日没を紡ぐ集中して 置き去りにして千年前の帰り道右前足のない猫がそれを咥えながらアパートの階段をスタスタ登って逃げたわたしはそれを結えてクローゼットにくくりつけたけれど君がこじ開けようとしたドアロックはあまりにも調子の軽い音で倒れた子供が好きだと笑う君のこめかみのニキ