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2024年7月の記事一覧

あおいもり

あおいもり

山が近い しゃわしゃわしゃわしゃわ
春蝉が鳴いて しゃわしゃわしゃわしゃわ

きみが深い青に漕ぎ出でる様をわたしは少し前から振り向いてじっと見つめていた 浅く水を掻きぜんぜん前に進まないと飛沫を浴びて眉を寄せるパタパタと球のように服に吸い込まれ焦燥の熱に染み入り吐く息と共に溶け出る わたしは対岸が遠くてそう感じるだけだよと そう出かかったこえが春蝉のこえに掻き消されーーーしゃわしゃわしゃわしゃわし

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隣の席のカップルがなぜこんなもの暗記させられるんだと空で案じた一節
左耳に残るつづきが細やかな糸となってその日の日没を紡ぐ

集中して 置き去りにして

千年前の帰り道
右前足のない猫がそれを咥えながら
アパートの階段をスタスタ登って逃げた
わたしはそれを結えてクローゼットにくくりつけたけれど
君がこじ開けようとしたドアロックはあまりにも調子の軽い音で倒れた

子供が好きだと笑う君のこめかみのニキ

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