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【短文朗読】月と姫【1人声劇】

☆所要時間:1分
☆人数 :1人用



仄暗い(ほこぐらい)その部屋には、
いつも笑顔のお姫様がいました。

お姫様は言うのです。

「私のために涙を流してくれる御方を待っているのです」

「私を離さないでいてくれる御方を待っているのです」


皆、我こそはと名乗り出て、それはそれはたくさんの贈り物をお姫様に届けました。

しかし、お姫様はニコリと笑うだけで、
今日も、扉を閉じるのです。


お姫様の言葉は、半分が本当で、半分は願い。


痛いほどに恋焦がれたい

愛おしさに零れる涙を拭いたい

狂おしいほどに求めたい

どこまでも追って愛し、

どこまでも追いかけ、自分を愛してほしい


お姫様は毎夜毎晩、月を眺めて願うのです。

切なそうに、愛おしそうに。

まるで、叶わぬ恋をするかのように。


「私が見つめた分だけ
見つめ返してくれるあなたが
隣に居てくれたら良いのに」


お姫様は、今夜も窓辺で瞼(まぶた)を濡らすのです。


End


〜マコのひとりごと〜

元はnanaというアプリに投稿していた台本を少しリメイクしました。

お姫様のセリフがあるからどうだろう…と思っていたら、男性の方が多く読んでくださって、嬉しい驚きを感じたことを覚えている台本です。

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