【声劇】ほどけない嘘【朗読】
☆所要時間:約3分
☆人数 :1人用
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それは
小さな小さな
嘘だった
そっと
影に隠したのが
最初の出来事
これは
怒られるから
これは
嫌な顔をされるから
見えないように
隠しただけ
見えなければ
気付かなければ
知らなければ
キミは
怒らないし
嫌な顔もしないし
苦(にが)い思いもしなくてすむ
だから
ボクも困らない
これは
ボクのためだけではないんだよ
これは
キミが笑顔でいるためでもあるんだよ
キミから
見えないように
影へと追いやった
端(はし)が見えそうになったから
奥へ奥へと押し込んだ
こう言っておけば
キミは不安にならないし
こうだったと説明すれば
キミはそれ以上ボクに質問しない
そのうちに
嘘は
連(つら)なる
また
押し込む
嘘は
かさばる
また
押し込む
嘘の束(たば)は
あれよ あれよと大きくなって
絡(から)まる
絡(から)まる
隠し事は
まるで
出口の見えない毛糸玉のように膨(ふく)らんで
ボクは
解(ほど)けぬ嘘で
がんじがらめになっていた
全部が嘘ではなかったのに
ほどけない
ほどけない
「全部が嘘にしか、もう見えない。」
ボクが見えなくなったキミは
ボクからも見えなくなってしまったんだ
End
〜マコのひとりごと〜
嘘って、自分を守るためにある気がする。
誰かを傷付けたり攻撃したりする嘘もあるけど、どうしてその嘘をついたかをたどっていくと、自分を良く見せたいとか、自分の立場を良くしたいとか、結局自分を守るベールのようなものかなと思う。
都合のいい嘘、優しい嘘、たくさんたくさん。
キミのためだなんて
それはウソ。
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