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社会人芸大生になって良かったこと


こんにちは。
前回は私が芸大に通う動機について投稿しました。

早いもので今年度がうまくいけば卒業年度です。
もっとゆっくり学んでも良いのかなと思いつつも、大学に通う目的も通っている中で変化し、納得してきました。
それは、大学にいる間にすべて学ぶのではなく、興味の幅を広げること、です。
今回はあくまで私の目線ですが、どんな授業を学び、どんな視野が広がったか、その過程でどのような本を読んだか・・自分の備忘も兼ねて記します。


1.芸術って美術だけじゃない(あたりまえだけど)

まず、感じたことは、もともと大学に入るきっかけとして、以前から好きであった絵画、特に西洋美術以外も芸術の範囲は広いと言うこと。
たとえば、バレエや演劇、歌舞伎といった舞台、オーケストラやジャズといった音楽、写真、文学までもがすべて芸術なのです。

そりゃあそうだ、と言う感じではありますが、大学で「芸術史講義」と言う授業を受け、上記のような様々な芸術の分野の視点、さらには文学・歴史的背景など多角的に学ぶことで、芸術の視野が広がり、それらが全て絡み合っていることを知りました。

それと同時に今まで興味を持っていた芸術の世界はこれほどまでに広かったのか!とさらに知的好奇心がくすぐられる思いでした。

平日仕事をしながら、時間が取れる時は寝る前に、あるいは休日に芸術の世界に入り込み、仕事(ロジカル重視)と芸術の狭間を行き来する日々です。

2.ものを美しいと思う心 美学

さらに面白いと思ったのは、こうした芸術の歴史、発展の流れを学ぶだけではなく、理論系も学ぶことです。

芸術=美しい
あるいは
美しいと思う心
それは何から来ているのか?

そういったことを学ぶ美学の講義もあります。
美学は哲学の分野の一つです。

この分野が私の中ではとても面白く、難しい用語などもあるのですが、芸術の成り立ち、その時代ごとの芸術の位置づけ、さらには現代美術に至るまでが西洋美術といった分野の切り口とはまた違った視点で学べました。

桜の花を美しいとなぜ思うのか?それは桜の開花の時期と日本の学校の節目(別れ・出会い)の季節や散り行く花の儚さが重なって見えるからなのか・・?
美しいとなぜ思うのか?という解釈を改めて考えることができました。

美学に興味をもって読んだ書籍のうち面白かったのははこちら

  1. 西洋美学史 小田部胤久

  2. 近代美学入門 井奥陽子

  3. 美学への招待 佐々木健一

  4. 美意識の値段 山口桂


3.とっつきづらい写真や映像作品も見てみよう

さて、芸術とひとつとっても様々な分野があることは先ほど述べました。
その中でも自身がとっつきづらいと思っていたのは写真や映像。
現代美術も好きですが、とりわけ写真や映像は何をどう解釈したらよいのか・・というので敬遠しがちでした。

しかし、写真や映像にも発展の歴史、表現の方法の変化など背景がありました。報道写真から芸術という分野の写真に至るまで、写真家としてのプライドのせめぎあいなどはまた絵画とは違うものがありました。

いま、「背景」、と書きましたが、芸術を学ぶことは現在に至るまでの流れ・バックグラウンドを確保して、その系譜がいかに現在の作品に引き継がれているか、を体得することなのだと思います。
そうすることで、芸術鑑賞の幅も奥深さも数段変わってくると思いました。

そういった様々なことを実践?として学ぶには、恵比寿の写真美術館に通うのがとてもよかったです。
最近は、寺田倉庫でやっていた束芋さんと海外アーティストによる「触れてなどいない」という映像を用いたインスタレーションも面白く感じ、自身の中でも芸術の受け皿が多様になってきたように思います。

写真関連で読んだ本は以下です。少し通史のようなものに偏っているので、もうすこしスコープを狭めて今後読んでいきたいです。

  1. 現代写真論 (シャーロン・コットン)

  2. 「現代写真」の系譜(圓井義典)

  3. 日本写真史 上・下 (鳥原学)


4. 世界情勢を投影する 文学


さて、文学も芸術のひとつです。
私自身、読書をすることは好きなのですが、あまりこれを芸術だ!と思って読んでいることはなかったように思います。
しかし改めて芸術の分野を考えると、文学もその一つ。

そして、大学で学んでいくうちに、アメリカ文学、イギリス文学、ロシア、日本・・・とそこには様々なジャンルがあり、その時代の明るさあるいは暗さなどが克明に記されているものであることを改めて感じました。
上記に上げたような文学ジャンルは中学・高校の国語で登場したとはいえ、あまりきちんと読んでこなかったことに衝撃。。。
もちろん、現代の小説だって面白いのですが、「教養としての文学」、に始めて触れた瞬間でした。

そして、これらの文学は戯曲・オペラ・・といった舞台演劇にもつながっていくのです。そして、この演劇からさらにパフォーマンスアート・・へと発展していきます。

といっても、まだまだ文学は奥が深く、実際に読んで味わいたいと思ったものの、どうしても数ページしかページをめくれず、、その表現の難しさに辟易してしまっているのが現在の私です。

とはいえ、、各国の文学の特徴をとらえたい・・ということでかじる程度に読んでいるのはこの辺り。

  1. 文学こそ最高の教養である(駒井稔)

  2. 世界は文学でできている(沼野充義)

5. まなびはどこまでも続く・・

さて、私のこれまでの学びのハイライトは「視野を広げる」なのかもしれません。
実際、仕事も業界や分野を決めずにいろいろなことがしたい!ということでコンサルティングファームに勤めていますので、昔からいろんなことを知りたい・やりたいという気持ちが変わらずここまで来ているのだと思います。

現時点では、広く浅く学んでいる印象です。
一応今年度の卒業を目指しながら授業をとっているものの、それで終了、とはしたくありません。

好きな芸術の視野が広がったので、その中で自分の興味関心を特定しつつ、深さを追求していきたいです。
通史だけではなく、特定の作家や分野を深めてみたり。
義務教育のための勉強、就職のための勉強、というところから抜け出したからこそ、損得なしに、より柔軟に、好きなだけ、好きなタイミングで、自分のペースでやっていけるこの社会人大学生はとっても楽しいと感じます。

では今回はこのあたりで・・!

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