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大人になって再読した名作コミック

学生時代に読んだ本や漫画を、大人になってまた読み返すことはあまりない。が、今回、ひょんなことから、高校生の時に読んだ『BANANA FISH』を読み返すことになった。
1985~1994年まで連載された作品で、読み始めたのはもう40年近くも前になる。
吉田秋生さんのファンだった友人が、「おススメだから読んでみ!」と、コミックの新刊が出るごとに購入して、自分にも貸してくれていた。

この時、我々は高校生だったが、卒業後も連載は続き、その友人は発売されるたびに連絡をくれ貸してくれたので、おかげで最後まで読むことができた。(購入しなくてスミマセン)

あれから三十年。ほぼ記憶から消えかけていた。
そして、つい先日、Netflix のおススメアニメに突然上がってきて驚いた。

「アニメ化されてたの??!!」

しかも、それがもう5年も前のこと(;'∀')。

調べてみると、当時はネットで随分話題になっていたらしいが、全く気付かず今日に至っていた。

さて、ここでしばらく悩むことになる。
『BANANA FISH』は当時高校生だった自分にとっても、名作中の名作という位置づけになっていたので、アニメ化が酷いものだったら、という不安がよぎった。がっかりしたくなかった。

だけど…、気になる。めちゃくちゃ気になる。
PR画像を見ると、少なくとも作画は原作のイメージを損なってはいなかった。
そして何よりも、ストーリーの詳細を忘れている。

覚えているのは、美貌と知性に恵まれながらも、悲運な生い立ちを背負った17歳のギャングリーダーがマフィアと対立する話、日本人の少年との友情、そして、極めつけは、トラウマ級エンディング・・・。

それくらいだ。
やはり確認したい、という気持ちが勝った。

これ、少女コミックで連載だったなんて信じられない…。
国家を巻き込む巨大な陰謀を計るマフィアのボスと、それを暴き出し、彼からの肉体的支配から逃れようと戦いを挑む17歳のギャングリーダーとの対決。
自我を破壊する薬物、暗殺、国家犯罪、子どもへの性的虐待など、とても少女漫画とは思えない題材がてんこ盛り。

アニメ版は時代背景を現代に改編されていたが、それ以外は忠実に再現されていて、全く違和感は感じなかった。

さて、高校生だった自分がこれをどう見ていたのか?
次々と起こる事件や主人公を襲う悲劇など、息を呑むストーリー展開に引き込まれるものの、国家の陰謀や、薬物の構造の話となると、出てくる用語が難しくて、適当に読み飛ばしていたような…。
(それは今でもまだちんぷんかんぷんなのだが)

英二とアッシュの友情を超える強い絆に感動し、シン・スウ・リンもいい子だな~くらいには思っていた、と思う。
賛否分かれるラストは、悲しすぎて気が滅入るほど後味が悪かった。

このラストについては、読者・視聴者の間で様々な感想・意見が飛び交っているようだが、自分が今、30年を経て改めて(アニメで)観ると、妙に納得できた。
ここは高校生の時とは大きく違う点だ。

ネタバレしないようにここでは触れないが、あの終わり方しかないようにさえ今は思える。

そして、もう一つ印象強かったのは、かつてアッシュの(戦闘技術の)教師であったブランカという存在。
物語の終盤で登場し、アッシュと師弟関係でありながら敵対する中での、彼の複雑な心境と父性溢れる行動に心を打たれた。
当時はあまり印象に残らなかったのか、ブランカの存在はすっかり忘れていたので、今回、新鮮な気持ちで楽しめた部分でもある。

そういう意味でも、登場人物の中で一番ブランカが魅力的に感じたし、この物語の緊張感とドラマ性を高める重要な役割を果たしていたと気づいた。

さて、アニメを観た後、もう一回原作を読みたくなり、例の友人に連絡してみた。
30年も経っているのでもう処分したかな、とあまり期待していなかったが、、、

「あった!」

と返事が来て、飛び上がるほど喜んだ。(←買いなさい!)
押し入れから探し出してくれたらしい。
感謝!!
そして、今、もう2回読み直している。

1巻から最終巻では、アッシュの顔がずいぶん違う


やっぱり原作はまた素晴らしい!!
そして、その勢いで、番外編を自分で購入。

これを読んで、本当の完結を迎える

「読まなきゃよかった」「でも出会えてよかった!」

という、悲痛な訴えと称賛を同時に読者から引き出す、類まれな作品。
30年後にまた味わうことができて、本当にラッキーだったと思う今日この頃…。


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