５.照明計画をお客様目線で

空間のイメージを一変させてくれる要素が「照明」です。照明は、日常から切り離した癒やしの空間を作る上で重要な役割を果たしています。
店内のレイアウトが決定したら、次は照明の計画を立てましょう。

照明を使ったムード作り
間接照明には、空間をおしゃれに演出できたり、気分をリラックスさせてくれる効果があります。
また、間接照明を使って陰影を作ることで空間に立体感を生み出して、奥行きや広がりを感じさせる事ができるので、メイン照明だけでなく間接照明も使ってムードのある空間を作りましょう。

コンセプトに合った色味と明るさを選ぶ
照明は昼光色、昼白色、電球色（※1）などの色味に分けることができます。オレンジっぽく暖かい色味を持っている電球色はリラックスしたい空間に合う照明であるのとは対照的に、仕事場などの集中したい環境には適しません。といったように、照明を使用する環境によって使い分けをすることで、空間の印象をガラッと変えることができます。例えば通常の蛍光灯などに使われる青白い灯りは「日常的」な印象を強めます。
お店のコンセプトに合った明るさ・色味の照明を使って、非日常的空間を演出することがサロンインテリアを作り出す上でとても大切です。

次に、コンセプトに合った照明についてお話していきます。

リラックス感を演出する照明
白熱電球（もしくはLED電球色）のオレンジ色の灯りを使って、照明はやや暗めにすることでリラックス感を演出します。

スタイリッシュさを演出する照明
天井面の照明を広く大きなものにすると、天井が高く見せることができます。また壁・天井を全面的に照らして影を作らないようにすると、開放感のあるスタイリッシュな印象を与えられます。
また、天井が低い場合は照明器具の高さを調整することで、圧迫感が出ないようにすることもポイントの一つです。

サロンインテリアにおいては設備ごとに適している照明が異なります。
次に、サロンインテリアの設備にあわせて必要な照明についてお話ししていきます。

ヘアサロンのセット面
JIS照度基準で、セット面は750ルクス～1500ルクス(※2)が必要と考えられます。ヘアカラーの色味等をお客様に見せるためにも、昼白色のダウンライト等を用いて「自然な明るさ」を演出しましょう。

参考URL
https://www.hikariiku.com/mariot-club/eye/vol-4/5.htm

ヘアサロンのシャンプー台
オレンジ色の電球色の照明を使って照度（※3）を落とし、くつろぎやすい空間を演出します。こちらも足元等にフットライトを置くことでオシャレな空間を作りやすいです。

トイレ
蛍光灯色から電球色にチェンジします。光度(※4)を落とした分、コーナーに間接照明を置くのもおすすめです。

着替えコーナー
やや薄暗い方がお客様が安心する傾向があります。
荷物や手元が見えやすいように、荷物置き・鏡等のコーナー部分には間接照明を置くと効果的です。

手元の明かりを調節する
ネイルサロン等の場合、「お客様に色味をチェックしてもらいたい時には青白い光の方が良い」ということもあります。
太陽の明るさに最も近い自然な光の色であるため、色味をしっかりと確認する必要がある場面では、昼白色の青白い照明を使用する方がよいでしょう。
手元の灯りについては、色・照度等を簡単に調節できるLED照明を使ってみると良いでしょう。
必要な時のみ昼白色に調節すれば、空間のムードを壊すこともほとんどありません。

メイン照明を変えられない場合には？
しかし自宅サロンや事務所スペース等を改装したサロンの場合、「メイン照明をなかなか変えられない」ということもありますよね。
そんな時には、布等を使って蛍光灯をできるだけ隠すのもひとつの手です。
防火性のある布をシェードのように天井に張れば、蛍光灯の灯りも柔らかな色調に変えることができます。

また思い切ってメイン照明の器具（もしくは蛍光灯）を外してしまい、複数の間接照明のみを灯りとしてみるのも良いでしょう。
スタンドライト・フットライト等、高さの異なる箇所にいくつかの明かりを灯せば、部屋全体を明るく見せることもできます。

まとめ
今回は、サロンインテリアにおける照明計画についてお話していきました。
照明をうまく使いこなして、日常と切り離した空間を演出することで、よりお客様を癒やすことのできる人気サロンにすることができます。
照明計画をしっかりと行い、理想の空間づくりをしていきましょう。

※1「電球色」はオレンジっぽく、「昼光色」は青白っぽい色を指す
※2  ルクスとは、国際単位系（SI）における照度の単位のこと
※3  照度とは、光に照らされた面の、明るさの度合
※4  光度とは、光源の光の強さの度合のこと