マキゾー

マキダ マキゾーです。町田町蔵ではなく、マキダ マキゾーです。パチもんでも偽物でもなく…

マキゾー

マキダ マキゾーです。町田町蔵ではなく、マキダ マキゾーです。パチもんでも偽物でもなく、また成り済ましでもなく、れっきとした別人です。掌編小説が好きですので、掌編小説ばかり書く予定です。あと、愚にもつかないことを呟きます。見棄てないで下さい。スキが貰えると、咽び泣いて悦びます。

マガジン

  • 掌編

    このマガジンには、わたしが書いた掌編を収納しています。暇潰しにどうぞ。

  • 日々の無駄な呟き

    このマガジンは、日々垂れ流される、わたしの無駄な呟きを収納しています。

  • 日記

    本当にどうでも良い駄文を載せているところです。

最近の記事

棲みなすもの3

   3  「知らない場所に行こう。知らない場所、知らない場所」  と言って自分が辿り着いたのは名古屋市であった。二日ほど歩き通しで疲れ果て、力なく名古屋の街を歩いていたところ、ビデオ・エックス名古屋店なる個室ビデオ店のチラシに『アルバイト・正社員募集中! 未経験者歓迎! 皆勤手当1万円 能力手当 短期昇給有 制服貸与 車通勤OK 寮完備』という文字を見付けた。そこで公衆電話を探し、縋るような思いで電話をしたところ、履歴書どころか面接もロクになく採用という運びになった。時給は

    • 棲みなすもの2

         2  数日後、木島から大判の封筒が届いた。中にはCDと数枚の写真が入っており、写真は『続・夕陽のガンマン』でクリント・イーストウッドが着たのと同じようなカウボーイハットにポンチョ姿、咥え煙草で目を細める木島が写っているのだが、これが何度見ても笑える。どう見てもおかしい。という珍妙な代物で、今後の人生でどんなにツラいことが起きても、この写真を見れば一転して笑顔になれる、そんな素敵な写真だった。  一転して、同封されたCDの方は憐れというか無様というか、全編通してギターが無

      • 棲みなすもの

           1  『おもしろき こともなき世を おもしろく』  と詠んだのは誰だったっけ? そうそう、確か高杉晋作だ。良く憶えていないが、幕末になんかやった人だったはずだ。子供の頃に授業で習ったと思うが、ちゃんと授業を聞いていなかったから憶えていない。で、これは確か辞世の句だったと記憶しているのだが、それはさておき、自分はこの句を半紙に殴り書いて、それを前に「ううむ」と唸って座っている。そうして、おもむろに姿勢を正してから、  「おもーしろーきー、こともーなきー世をー おもーしろー

        • オデュッセイア

           2100年の近未来、本格的に地球がヤバいことになっていた。……と書くと、なんだか酷く頭が悪い文章に見えてしまうが、実際にヤバいとしか形容のしようがない。  具体的に言うと未知のウイルスとの終わりなき戦い。地球温暖化とそれに伴う海の酸性化。海面の上昇に伴う土地の減少。大規模な干ばつが頻繁に起こるようになる一方で、台風や竜巻などの天災が巨大化する。そして少ない土地と資源を奪い合う戦争が起きた。  ご覧の通り、この状況を一言で言い表すのであれば、“地球ヤバい”なのである。  過酷

        棲みなすもの3

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        • 掌編
          15本
        • 日々の無駄な呟き
          15本
        • 日記
          4本

        記事

          同調、同調、同調圧力。

           ノーベル賞を獲った科学者が、日本で働かない理由について訊かれて、自嘲気味に「わたしには周囲に同調する能力がないからです」と言ったのがニュースになっている。  そのニュースを見て、或る男が「わたしと同じだ」と呟いた。  事の真相は別に存在するとして、その男が何を思おうが、またまた何を呟こうか自由だ。  だから……なのかは判らないが、その男は呟いた。  「わたしと同じだ」  すると、また別の男がやってきて、ガッシと手を握って言った。  「あなたのお気持ち、お察しするに余り有りま

          同調、同調、同調圧力。

          キラキラと輝くもの

           誰が言ったか名付けたか知らねえが(実は知ってる。ベネッセだよね!)、世の中にはキラキラネームなんてえ代物が存在する。  キラキラと輝くような華やかな名前ってな意味らしく、それに対して古来から使われている名前はシワシワネームと呼ばれるそうだ。  まあ、それは別にどうでも良い。今日の主題はそこじゃねえんだ。キラキラネームというものが存在する。  これ歴史は結構古かったりして、かの文豪、森鴎外も息子や孫に杏奴(アンヌ)だの富(トム)だの、挙句の果てには樊須と書いてハンスだの、眞章

          キラキラと輝くもの

          脳みそあり〼

           仏舎利というものがある。仏さま……この場合はゴータマ・シッタールダ……その人の遺骨のことだ。  東南アジアを中心とした世界各地にこの仏舎利は点在し、全てを集めると仏さまは身長500メートル級の巨人になるらしい。  ぅわあい、さすが仏さま。孫悟空が筋斗雲でひとっ飛びしても、その掌の上から出られなかっただけのことはある。  この仏舎利、実は日本にも存在したりするのだからハンパないことこの上ない。  さて、時代は一転して現代。  プリンストン大学のトマス・ハーヴェイという教授は

          脳みそあり〼

          タイムマシーンにおねがい

           コロナによるリモートワークでの欠席により、職場の掃除の順番が高速で回り始めた結果、時間跳躍が起きてしまった。  ……と言ったところで、別に光の速度を超えたことによる相対性理論によって……などという小難しいはなしではない。もっと単純明快なはなしだ。  例えば、A、B、C、おれの順で掃除をすると定めたとして、Cが掃除をした翌日、Aとおれがリモートワークをしたとする。するとオフィスの掃除の順番はBに飛ぶ。これで二日間の時間跳躍をした……という仕組みである。  こうした短い時間跳躍

          タイムマシーンにおねがい

          政治への怒り

           「生きていても良いことが少ない……。つらいばかりの人生じゃ……」  目の前の老爺が言った。  「そうですねえ、おとうさん。年金は削られる一方なのに介護保険は取られる一方……」  隣に立つ老婆が首肯する。  すると、老爺は語気を強めながら声高らかに演説する。  「それもこれも、最近の政治家がイカン。政治家はクズと同義語に成り果てた!」  「そうねえ、そうねえ……」  流石にここまで言われては黙っていられない。  「ちょっと待って下さい、おじいさん」  おれは優先席からすっくと

          政治への怒り

          プチトマトで日の丸弁当。具沢山でうまうま!

          プチトマトで日の丸弁当。具沢山でうまうま!

          烏賊にぐち天、梅ひじきと、海のもの満載弁当。 今日もおいしく出来ましたっと!

          烏賊にぐち天、梅ひじきと、海のもの満載弁当。 今日もおいしく出来ましたっと!

          うらやま妬ましい

           真っ当に生きなければならないという強迫観念と、しょせん真っ当には生きて行かれぬおれという人間の狭間に生じた些細な乖離に、擦り潰されそうな人生を送っている。  どだいまともな人間じゃねえのだから、真っ当に結婚して子供を授かり、人並みの幸せを得るなんて期待しちゃあいねえ。  もともと、こころのぶっ壊れた人間なのだ。  「あなたは愛情と依存の区別がないひとね」  と面と向かって、冷たく言い放たれたこともある。が、さもありなん。何しろ事実なだけに「こいつぁ上手いことを言うなあ」と思

          うらやま妬ましい

          今日はネタ切れ……

          今日はネタ切れ……

          Superman Lives Matter?

           ある日スーパーマンが目を覚ますと、BLMの煽りを受けて自らが黒人になってしまっていることに気付いた。  当初はスーパーヒーロー仲間のフラッシュが過去改変を行った結果の黒人化を疑ったが、本人に聞くと  「わしゃもう時間移動どころか、走るのも歩くのもままならんわい。ええのう、宇宙人は老化が遅くて……」  と言った具合で嫌味を言われる始末。  仕方がないのでクラーク・ケントとしての日常を送りつつ、この件の追及はじっくりと時間を掛けて行うことにした。  まず驚いたのは、黒人になった

          Superman Lives Matter?

          無知の知

           今から大体2500年ほど前に、ソクラテスというごっつい物知りおじさんがいた。そのソクラテスの弟子がある時、デルポイの神託所でこんな質問をした。  「世の中で最も、かしこな人は誰でしょう?」  すると、デルポイで神託を与えている巫女はこう答えたという。  「ソクラテスっすね。ヤツは最もかしこな人間です」  それを聞いた弟子が喜び勇んで師匠にそれを伝えたところ、ソクラテスは頭を抱えて悩んだという。  ソクラテスは自分ではおバカちゃんだと思っているのに、万能であるはずの神々がソク

          無知の知

          ネタ屋

           「そこのお兄さん、ひとついらんかい?」  「あん? 何をだ?」  年末、上野アメ横をそぞろ歩いていたら、唐突に声を掛けられた。  「そらぁ決まってるだろ。ネタだよネタ。小説のネタだよ。ネタひとつにつき、商業利用なら一万円。非商業利用なら千円で良いよ」  ネタ屋を名乗る男はそう言ってから、おれを値踏みするようにジロジロと見ると、  「見たところネットに投稿しているだけの素人作家か。仕方ねえなあ、非商業利用の千円だ。さあさあ買った買った」  と、続けた。  何だぁ? と一瞬鼻白