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沖縄でマスコミ向け試写会って画期的かも

本コラムは、ドキュメンタリー映画『劇場が終わるとき』のディレクターズノートです。 → 『劇場が終わるとき』公式サイト

公開の二ヶ月前ですが、沖縄県内のマスコミ&関係者向け試写会を、日を分けて複数回実施することにしました。実はこれってあまり沖縄ではやってない方法だと思う。

東京スタイル

一般的な例で言えば、東京だといくつかある試写室を10回くらいはおさえて、試写状ってのに日程を書いてマスコミや批評家に送るもの。招待された方は都合の良い日時を選んで足を運ぶので、主催者側の負担も少ない。タイミング的には雑誌掲載や、宣伝企画を練るための時間を考えて、公開の数カ月前にやっている。とにかく映画をまず知ってもらうところから始めるので、用意周到に進められる。

沖縄スタイル?

沖縄(地方は似たようなものだが)の試写会は、本土で話題になった映画の宣伝が基本なので、公開一週間前とかに、フィルムが届いたタイミングで開催される先行試写会的なものが主だった。ニュースで報じられるなど、直前の話題作りが主な目的と考えれば、それはそれでことたりている。

でも僕らのような県産映画で、沖縄県内がファーストランになる映画が増えた現在、実は東京の試写会なみの事前の仕込み期間が、沖縄でも必要なのではと、いつも考えていた。

むやみやたらと試写をまわすと、人口の限られる沖縄では、身内への券売を削る事になるのでは…というドキドキはあります。でも、そもそも友達100人作ったとしても、目標動員には届かない。何より映画がおもしろければ、見せ込んで口コミを広げるのは正攻法なはずだ。

試写会の重要性って

試写の変わりに、DVDサンプルはもちろん、ネット経由の試写と言うのも増えたと思うが、これだと時間が自由すぎて、いつ観てもらえるかわからないのが実情。僕も映画館のディレクターの頃は忙しくてDVD観る時間もない。なので、積み上がった未見のサンプルDVDの雪崩におびえて暮らしていた。やっぱ試写会の予定を組んで足を運ぶと言うのは、観る側にも少なからずモチベーションをあげる役割がある。この日しかないと思えば、時間を作って出かけていくのも悪くない。何より映画はスクリーンで観るのが一番だし、観て欲しいと切に思う。

沖縄に試写室はあるのか?

では試写室をどうするかが問題になる。前述のように映画の上映館をあけてもらって開催するのはリスクが大きすぎる。もちろん専門の試写室なんて沖縄にあるわけがない。そんなときに閃いたのが今回の方法だった。

白羽の矢を立てたのは那覇市牧志にあるPunga Ponga。ブラジル料理の店だが、ビデオ上映の設備があって、普段からイベントスペースとしても斬新な切り口のイベントを開催している。僕も8ミリ映画の上映やトークを、過去に数回やらせてもらっており、話しもしやすい。何と言っても周辺にマスコミの本社ビルが多く、その気になればみんな歩いてやって来れる。試写室としては理想的な会場だった。

掟破りも試してみる

画期的と言うか、掟破りな方法も採用した。試写に招待した皆さんに1ドリンクオーダー(500円)をお願いする事にした。それはつまり、お金を払ってでも試写を観たいと思ってもらえる映画を、僕らは作らなきゃいけないわけだ。まあそれは当たり前と言えば当たり前でもある。

まあ、なんだかんだで南米産のお茶を飲みながら映画を観る、ちょっと楽しい時間でもある。東京のストイックな試写室とは、一味違った違ったスタイルの試写会場が定例化したらおもしろいと思う。

とにかく、宣伝と言うのはどこまでやればいいのかわからない。やった事のどれくらいが結果に結びついたのか正直わからないのだ。一生懸命宣伝したって、上映が終わったとたんに「いつやってたの?もっと宣伝しなきゃダメだよ」って、言われたりしがちな仕事なのである。
でもやらないよりは、やった方が良いというのは、歴然とした事実。せめて試した事のない宣伝方法をあれこれチャレンジしながら、関わる人がみんな楽しんでくれたら、それに越した事はない。

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