見出し画像

#3 再生水とは何か?

おはようございます、今日は台風が関東に襲来するという予報ですがどうなるのでしょうか?非常に不安です。
今回のブログでは、予告通り再生水についての基本的な情報をQ&A方式で紹介していきたいと思います。

Q1.再生水とはそもそも何か?
再生水は、通常の下水処理に加え、ろ過処理やオゾン処理などさらに高度な処理を行った水のことです。(東京都下水道局)
下水処理という単語が水分野の方以外なじみがないと思うので、通常の下水がどのように処理されるかから説明しようと思います。家庭や工場で発生した汚水や道路に降った汚水は、下水管に流入し下水処理場に運ばれます。

図1  下水道の仕組み(国土交通省)


下水処理場では沈砂池・最初沈殿池という池に入れることにより、下水の中に入っているゴミや砂を取り除きます。その後、反応タンクによってバクテリアや原生動物のような微生物の集まり(これを「活性汚泥」と言う) を下水に混ぜて、空気を吹き込みます。活性汚泥は、 下水に溶けた空気を呼吸しながら水の汚れを食べ、増殖し、水はきれいになっていきます。
これで処理した水は最後に消毒されて、集められた下水は綺麗になった下水処理水として海や川に放流されます。ここまでが通常の下水の処理方法です。

図2  下水処理の仕組み(国土交通省)

次に、再生水が下水処理水から、さらにどう処理されるかについて説明します。

図3 再生水処理(PUB)

下水処理後の再生水の処理方法については、各国でやり方が少しづつやり方が異なりますが、代表的なプロセスであるMF膜・RO膜・UV処理について説明します。
MF(Micro Filtration)とは細かい膜を使うことでバクテリア等の微粒子を取り除く方法です。RO(Reverse Osmosis)とは逆浸透という現象を用いてウイルスなどの不純物を取り除きます。逆浸透膜とは水を通し、その他の不純物を通さない膜のことを指します。逆浸透膜は海水淡水化でも用いられています。UV(Ultra Violet)処理とは、紫外線を用いて水中の微生物を不活化(簡単にいうと活動停止させること)で処理を行う方法を指します。

再生水を利用する方法は、この処理した水を水源に戻し、その水源から上水として用いるIPR(Indirect Potable Reuse)と処理した水を直接利用するDPR(Direct Potable Reuse)の2つの方法があります。

Q2.再生水はなぜ必要とされているか?
以前のブログでも軽く説明しましたが、水不足の解決手段として使用されています。日本は世界でも有数な水に困っていない国なのであまりなじみがないですが、多くの国々では気候変動に伴う水不足は深刻な問題になっています。
主な原因としては、人口密度が大きいという需要側の問題(シンガポールなど)と単純に降水量が少ない供給側の問題(オーストラリア・カリフォルニアなど)の2つに分けられます。

Q3.再生水は現在どのように利用されているか?

再生水は実は日本でも利用されていて、修景用水や親水用水(噴水等があたります)やトイレの洗浄水として利用する割合が多いことがわかります。
海外ではそれに加え、工業用水や生活用水についてもより利用されており、とりわけ飲用利用については議論になっています。シンガポールでは、再生水を原料とするnewbrewというビールも販売されています。

図4 再生水の活用方法(国土交通省)


図5 newbrew(PUB)

今回のブログはここまでとしようと思います。長文ですが読んでいただきありがとうございました。次回は再生水に関する課題と自分の研究で解決したい課題について説明したいと思います。

出典
再生水とは

下水道の仕組み
sikumi.html

PUB NEWater

PUB newbrew

我が国における再生水利用の動向と傾向
http://www.recwet.t.u-tokyo.ac.jp/content/files/200114suehisa.pdf