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【感染症シーズン到来】免疫力をサポートする食事の工夫とは?

だんだんと寒くなってきました。
コロナだけではなく、インフルエンザなどの感染症にも気をつけなければならない季節です。

インフルエンザなどにかかりやすい人もいれば、わたしのように全くかからない人もいます。
(わたしは生まれてからインフルエンザにかかったことがありません。)

「免疫が弱くて……」
「免疫力があるからかかりにくい」
なんて言葉を耳にしますが、そもそも「免疫」って何なのでしょうか?

免疫力とは?免疫の仕組みは?
また免疫力を上げる栄養素から何を食べたらよいかをまとめました。
これからの季節に少しでもお役に立てるとうれしいです。


(1)そもそもも免疫ってなに?

免疫には、「自然免疫」「獲得免疫」があります。

■自然免疫とは
ウイルスや細菌などの異物が体内に入ってくると、真っ先に駆けつけて戦ってくれる免疫反応のことをいいます。

自然免疫は「人が生まれつき持っている免疫反応」であると言われていてもともと備わっている、自分の体をウイルスや細菌から守る大切な仕組みのひとつです。

「マクロファージ」「顆粒球」「NK細胞」といった免疫細胞がこれにあたります。
マクロファージは、食細胞で顆粒球がウイルスや細菌などを食べてやっつけます。

またNK細胞は、ウイルスや細菌に感染した細胞を破壊し、死んだ細胞はマクロファージが食べて片付けます。


■獲得免疫とは
生まれながらに備わっている自然免疫に対し、自然免疫から免れたウイルスや細菌、がん細胞のような病原体が現れた時に活躍する免疫です。

ウイルスが感染した細胞を攻撃する免疫細胞

異物(抗原)の目印を認識し、抗原に合った攻撃方法を学習し記憶していく免疫反応を指します。

獲得免疫ではT細胞やB細胞といった「リンパ球」が活躍します。
異物(抗原)に出会うと、これらのリンパ球が大量に増殖されます。
獲得免疫では自然免疫で対応しきれなかった異物(抗原)に対しより強力な作用で対抗しますが、初めて出会った抗原に対して有効性を発揮するまでには数日の準備期間が必要となります。

しかし、既に出会ったことのある抗原に対しては学習・記憶済みですので、速やかに対応することができます。
一度、水痘にかかった人が二度とかからなくなったり予防接種で感染を防ぐのはこのためです。


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生まれたばかりの赤ちゃんが風邪をひきにくいのは自然免疫が備わっているから。

それに対して、よく口にする「免疫力をつけなきゃ」というのは獲得免疫のことを指していることになるということになります。


(2)免疫の仕組みってなに?

わたしたちの体の免疫システムは大きく分けてふたつ。
ウイルスや細菌などの異物を体内に侵入させないように体を守る「粘膜免疫」と体内に侵入してしまったときに異物と闘う「全身免疫」です。


■ 【防御】粘膜免疫
体内にはウイルスや細菌、病原体、また花粉など……

「異物」が侵入するチャンスがたくさんあります。
これらの異物を侵させないように体を守っているのが「粘膜免疫」です。

粘膜免疫が働く場所は、その名の通り、目、鼻、口、腸管などの粘膜。
ここで異物が粘膜を介して体内に侵入するのを防ぐことで感染から免れます。

冬になると感染症の発症が高くなる理由はさまざまありますが空気が乾燥していることで喉や鼻の粘膜も乾燥し、感染に対する防御反応が弱まってしまうこともひとつの要因です。


■ 【攻撃・排除】全身免疫
異物が粘膜免疫を潜り抜け、体内に侵入して増殖してしまうことを「感染」と言います。
ここまでくると、細胞が異物をとらえて攻撃や排除するよう「全身免疫」が働きます。

全身免疫はすぐに相手を捕らえて攻撃する、人が生まれつき持っている「自然免疫」と相手の性質を見極めて攻撃する「獲得免疫」のふたつで体を守ります。

もちろん、生まれ持った自然免疫が強いにこしたことはないし、獲得免疫もどんどんつけた方が良いでしょう。

しかしカラダに侵入する前に初期のとりでである「粘膜」で体に侵入させないようにしたいですよね。

粘膜免疫を弱めるリスクは小児や高齢者だけではなく、ストレスを感じている人や、睡眠不足の人なども挙げられるのでリラックス・休養もしっかりとりましょう。

(3)免疫力を上げる栄養素(1)たんぱく質

さて、免疫について頭で分かっても「実践」できなければ意味がありません。ここからは、積極的にとりたい栄養素についてお伝えしていきます。

簡単な答えを求めがちですが
「これだけ食べていればいい!」
という訳にもいかないのが実際のところ。

基本的には「バランスの良い食事」……という耳にタコができそうなワードなのですが、その中でも注目したい栄養素のひとつが「たんぱく質」です。

たんぱく質というと、筋肉や皮膚をイメージしますが、血液やホルモン、免疫細胞などもたんぱく質によって合成されます。
不足すると皮膚や粘膜なども弱くなり免疫力が下がりやすくなってしまうのです。

たんぱく質はエネルギー源でもあります。
エネルギー不足は体温の低下を招き、免疫細胞の活動が弱まってしまう恐れもあるのです。
(たんぱく質ばかりに注目すると炭水化物を減らす人もいますが、しっかりごはんなどの炭水化物を食べた方が体温が上がりますのでこちらも十分とる必要があります。)

たんぱく質

たんぱく質源と言えば、肉や魚、たまご、豆製品、乳製品など。

「肉や魚は嫌いじゃないし食べているつもり」「しっかり摂れているから大丈夫」と思うかもしれませんが……
☑朝食を食べていない(1日1~2食しか食べない)
☑おにぎりだけ、サンドイッチ、インスタント食品だけ…といった食事が多い
☑カレーやパスタ…単品メニューに偏りがち
だとたんぱく質が不足しがちに。


玄米と鮭の塩焼き献立_R

ごはん、みそ汁、主菜、副菜といった定食スタイルを意識してみましょう。
主菜で手のひらサイズのたんぱく質がとれていれば、足りているのでOK!

「わたしは大丈夫!」
の過信が自分の食事の足らないところを見つけにくくなってしまう原因になりかねませんので、この機会にしっかりと振り返ってみてくださいね。


(4)免疫力を上げる栄養素(2)発酵食品・食物繊維

腸には全身の免疫細胞の多くが存在すると言われているため、腸内環境を整えることが免疫力アップのカギとも言えるでしょう。

腸のはたらきを整え、腸管免疫を上げるためのポイントについてお伝えします。

■発酵食品
発酵食品には乳酸菌やビフィズス菌が含まれていますが、これは善玉菌を増やす働きがあり腸内環境の改善に役立ちます。

発酵食品

身近な発酵食品は
味噌、納豆、ヨーグルト、チーズ、ぬか漬けやキムチなどの漬物、甘酒など
があげられます。

一度にたくさん摂ったからといって、すぐに腸内環境が整うわけではなく、また腸内に定着することができないので毎日継続的に摂ることが大切です。


■食物繊維
食物繊維は、腸内細菌のエサとなり善玉菌を増やす働きが期待できます。
また便通を良くする役割もあります。

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多く含まれる食品は
根菜類をはじめとした野菜やいも類、きのこ類、いも類、海藻類、果物など
そして忘れてはいけないのが、穀物です。

穀物は、控える人も多く摂取量がどんどん減っていますが
とても食物繊維の大切な摂取源と言っても過言ではありません。

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おすすめは白米に雑穀を混ぜた雑穀ごはんや玄米ごはん。
エネルギー(カロリー)がほぼ変わらないのに、食物繊維以外にもビタミンやミネラルの値がアップします。

その他、オリゴ糖も腸内細菌のエサとなり、善玉菌を増やす働きをサポートします。

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ごはん(食物繊維)
具だくさんのおみそ汁(食物繊維・発酵食品)
納豆(食物繊維・発酵食品)
ぬか漬け(食物繊維・発酵食品)
…という朝食ってこれらを全てカバーするすばらしい組み合わせですね!

発酵食品や食物繊維をふだんから取り入れるのも決して難しいことではありません。
習慣を変えると意外と簡単かもしれませんよ。

(5)免疫力を上げる栄養素(3)ビタミンA・C・E

「ビタミンエース」という言葉を聞いたことがありますか?
「ビタミンA」「ビタミンC」「ビタミンE」の3つを総称ですが抗酸化作用があり免疫力も上げる効果が期待できるとして「ビタミンACE(エース)」と呼ばれています。

■ビタミンA
皮膚や喉、鼻、消化器官などの「粘膜」を正常に保つはたらきがあります。
乾燥から肌を守りウイルスなど感染しにくくなるのです。

ビタミンA

多く含む食品は、レバーやうなぎ・卵の他、にんじん、かぼちゃ、小松菜、ほうれん草などの緑黄色野菜にも豊富に含まれます。


■ビタミンC
抗酸化作用があり、美肌効果があることで知られているビタミンC。
コラーゲンの合成を促す効果もあるため 乾燥から肌を守り細菌などの感染しにくくなります。
また、病気などのストレスへの抵抗力を強めるという働きがあります。
(ストレスも粘膜免疫を弱めるリスクになるとお伝えしました。)

ビタミンC

多く含む食品は、ブロッコリーやパプリカ・トマト、じゃが芋やさつま芋などのいも類、果物などに豊富に含まれます。

■ビタミンE
強い抗酸化作用があり、生体膜の酸化を防ぎ、細胞の健康維持を助けるはたらきがあります。

ビタミンE

多く含む食品は油脂類や種実類、まぐろの油漬け缶、かぼちゃなどに豊富に含まれます。


どれも大切な栄養素ですが、日本人は野菜が不足しがち。※
感染症シーズンだからこそ、野菜をしっかりと摂り ビタミンA(β-カロテン)で粘膜免疫を維持していきたいですね。

カラダに侵入する前に初期のとりでである「粘膜」で体に侵入させないようにして感染症予防を心がけましょう。
野菜をしっかりと摂れれば、ビタミンCもいっしょに吸収することもできそうです!

※国が推奨する1日の野菜摂取目標量は、350g
日本人の平均野菜摂取量は約290g(平成21年~30年国民健康・栄養調査(厚生労働省)での日本人の平均野菜摂取量)


今日は、免疫力のサポートにビタミンA・C・Eが大切!
野菜に含まれるビタミンAで粘膜免疫を維持しよう というお話でした。


(6)免疫力を上げる「献立」のコツ

免疫って何なのか、仕組みもなんとなくわかった。
どんな栄養素がよいかも、わかった。

……で、結局、日々の食事はどんな献立で食べたらいいのでしょう。

【献立】【下味調理】豚の生姜焼き (1)_R

簡単に言うと 一汁二~三菜 そろえた 定食スタイル にすれば自然とこれらの栄養素がとりやすくなります。


主菜(メインのおかず)があれば、たんぱく質はOK!
おみそ汁を用意すれば、発酵食品(みそ)もとることができますし
たっぷりの野菜を入れれば、ビタミンA・C・E食物繊維も補給できます。

野菜や海藻などがメインの副菜を入れてもさらにカバーできますよね。
ごはんも雑穀を入れたり、玄米に変えたりすれば
エネルギー(カロリー)をほとんど変えることなく
食物繊維やビタミン・ミネラルの値をアップすることができます。

外で食べるときは、「単品」ではなく「定食」を頼むように。
単品だったらサイドメニューを頼むようにしたらOK。
コンビニでも同じです。

でも、今年は家ごはん率も高くなりましたよね。

玄米と鮭の塩焼き献立_R

朝だって、ごはんとみそ汁、あと鮭や納豆などあればOK。
おかず1品の時は、おみそ汁の具材をよりたくさんにしてしまいましょう。
副菜も朝は前日の残りだっていいじゃないですか!


▼みそ汁を考えないで作れるようになるコツはこちら!

3食全て一汁二~三菜そろえるのも大変なので、
朝と夕ごはんだけなどでも大丈夫。
まずは、自分のできる範囲で食事をととのえてみてくださいね。


(7)コンビニ、レトルト食品……ちょっとのコツで免疫力アップするちょい足しテクニック

免疫力アップするためには、一汁二~三菜 そろえた 定食スタイル にすればいいって言うけれど……
そんなの毎回できるわけない!
と思ったアナタ。

分かります、わかります!!
基本ごはんはコンビニだったり、
パスタやごはんに、ソースかけるだけの単品だったり…
そんな食事でも、少しでも免疫力アップするちょい足しテクニックについて
お伝えしようと思います。
(最近ひとりランチが多いわたしのリアルな食事だったりします。)

まずは、茹でたパスタにソースをかけるだけ……の食事。

ちょい足し_ミートソース (2)_R

パスタにミートソース。
ほぼ野菜なし…"(*´Д`)

ちょい足し_ミートソース (3)_R

ここに、なす1本を輪切りにして、オリーブオイルで焼いたものを添えてみましょう。
なす1本80gくらいだから、これだけで不足分の野菜を補給できてしまいます。

なす以外に、ズッキーニやアスパラ、かぼちゃやかぶなどでもよいですね。
生鮮野菜を切って焼いたり茹でたりできたらよいですが、オフィスなどで難しい場合は冷凍野菜やコンビニ野菜もうまく活用すると良いと思います。

そう、免疫力を上げる栄養素(3)ビタミンA・C・E でもお伝えしましたが
不足しがちな野菜をしっかりと摂ることで ビタミンA(β-カロテン)で粘膜免疫の維持をサポートすることができるのです。


ちょい足し_たらこスパゲッティ (1)_R

たらこスパゲッティも このままだと、見事に野菜なしですが…

ちょい足し_たらこスパゲッティ (3)_R

生の春菊をたっぷりとのせてサラダ感覚でいただきました。
これから旬を迎える春菊は生のままでもおいしくいただけるんですよ!
(むしろ、臭みがなくておすすめです。)


コンビニパスタでは、「カット野菜」や「サラダ」も売られていると思うのでこれらを追加してもいいですよね。

ちょい足し_カレー (1)_R

最後はごはんメニュー。ルーをかけただけのカレーです。
(牛丼や中華丼などのレトルトも同じ要領でアレンジOKです!)
お肉がちょろちょろ…野菜は入っているものもありますが写真のバターチキンカレーは溶け込んでいる野菜以外はなしでした。

ちょい足し_カレー (4)_R

そこに、茹でたほうれん草を加えても良いですし…
(写真は1/4袋分なので、約50gです。冷凍野菜のほうれん草でもいいですね!)

ちょい足し_カレー (5)_R

切るだけで食べられる「トマト」をトッピングしてもよいですよね。
もちろん、切るのも面倒だったら、ミニトマトでもOKです。
写真はミニトマトより少し大きめのサイズのトマトで1個100gくらいです。

ほうれん草もわざわざ茹でるの面倒…と思ったらレンジでチン!でもよいですし、冷凍食品(野菜)をうまく活用してもよいと思います。

全て定食ではなく、コンビニ、レトルト食品などの単品メニューもNGではありません!
野菜のちょい足しで、ビタミンAによる粘膜免疫をサポート。
さらにビタミンC・Eも摂取して免疫力アップしましょう。


長々とご説明してきましたが、毎日・毎食の食事……少しの心がけで免疫力をサポートしてくれることがわかったでしょうか?
わたしも記事を書きながら、より気をつけなくちゃ!と気持ちが引き締まりました。
こうして自分の食事、カラダと向き合う事が大切かもしれませんね。


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