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意外と知られていない脂質の役割と摂取量

過去のnoteで糖質(炭水化物)タンパク質について書かせていただきました。
今回はもう1つの3大栄養素である”脂質”について書かせていただきます。

糖質やタンパク質は効果や役割が知られていることの多い栄養素ですが脂質はどうでしょうか?
意外と知られていないことが多いように感じます。

この記事では脂質の種類や働き、どのくらい摂取すればいいかなどを解説していきたいと思います。



脂質とは

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脂質と聞くと頭に思い浮かぶものはなんでしょうか?
多くの人が”あぶら”と答えると思います。
”あぶら”にも”油””脂”が存在します。
この2つの定義的な違いは
常温で液体なのが”油”でサラダ油やオリーブオイルなどが当てはまります。
常温で固体なのが”脂”で牛脂やラードなどがあります。

上記のどちらの”あぶら”も栄養学的には脂質というジャンルに一括りで含まれます。

なんとなく脂質を摂ると太る
と直感的に感じる方も多いと思います。
確かに脂質は太ってしまう要因のうちの1つに含まれます。

脂質が体重増加の原因になる理由は単純明快、カロリーが高いからなんです。

他の3大栄養素の炭水化物・タンパク質の1gあたりのカロリーは4kcalなのに対して、脂質のカロリーは1gあたり9kcalもあるんです。
炭水化物とタンパク質に比べて倍以上もカロリーがあるんです。
この高いカロリーが太ってしまう原因の1つになります。

このことでよく勘違いされてしまうのが

脂質=悪い


というイメージです。
この悪いイメージからか、極端に脂質を制限したり、カットしたりする方も少なくありません。

確かに脂質を極端まで制限すれば摂取カロリーを抑えられて太らない、むしろ体重が落ちていく可能性もありますが弊害ももちろんあります。


脂質の種類や働きを理解して摂取するデメリットだけでなく摂取することによるメリットにもしっかりと目を向けていきましょう!



脂質の働き

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脂質は摂取することによってエネルギーとして利用されます。
特に有酸素運動などの低強度で運動時間が長い運動時に主なエネルギー源になります。


しかし摂取量が多くなった時に余った余分なエネルギーは体脂肪になり体に蓄えられます。(炭水化物も過剰摂取すると体脂肪に変換される)
脂質を摂取すればそれがそのまま体脂肪になるという事はないので安心して下さい!

逆に摂取カロリーが少なくなると蓄えた体脂肪をエネルギーとして使う事になります。
これが体脂肪が減り痩せて行く原理になります。

エネルギーとして利用される他にも性ホルモンビタミンDコルチゾールの生成脂溶性ビタミンの吸収を助けたり臓器の保護など大切な役割がいくつかあります。

脂質を過剰に削減してしまうと有酸素性の運動能力の低下も起きますし、ビタミン吸収の低下、ホルモン数値の低下も懸念されます。
特に性ホルモンにはアンドロゲン(男性ホルモン)など筋肥大や筋力など運動能力に大きな影響を与えるものもあるので生成に影響を与えない様に過剰に少なく摂取する事は避けましょう。


脂質の種類

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脂質は大きく分けて”飽和脂肪酸”と”不飽和脂肪酸”に分けられます。
この不飽和脂肪酸に含まれる”オメガ6”と”オメガ3”と呼ばれる脂肪酸は必須脂肪酸と言われ体内で生成されず食事でしか摂取ができない大切な脂肪酸になります。

この”オメガ6”と”オメガ3”は脳や神経系の発達や、先ほどの性ホルモン等の生成に不可欠なので必ず食事で摂取する様にしましょう。


飽和脂肪酸動物性脂肪やココナッツ油やパーム核油などの熱帯植物の油に比較的多く含まれます。
不飽和脂肪酸魚油やトウモロコシ油やオリーブ油など植物油に比較的多く含まれ、その中でもオメガ6は植物油に比較的多く、オメガ3は魚油に比較的多く含まれます。


脂質の摂取量

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脂質の摂取基準としては総カロリーの20~35%が推奨されていて
そのうち飽和脂肪酸は1/3に抑えることが望ましいとされています。


一般成人男性で例えると・・・
総摂取カロリーの基準値が2600kcalなので
脂質としては約520〜910kcalが摂取基準になります!

その中で飽和脂肪酸は1/3が目安なので約170~300kcalが基準値になりますね。
残りの2/3の約350~610kcalは不飽和脂肪酸で摂取しましょう!


グラムで換算すると脂質は1gで9kcalなので

脂質全体で約58~101g
飽和脂肪酸で約19~33g
不飽和脂肪酸で39~68g

上記のグラム数が摂取基準値になります!


主な食材の脂質含有量


鶏むね肉100gあたり約1.5g

鶏もも肉100gあたり約14g

牛もも肉100gあたり約9.6g

牛バラ肉100gあたり約32g

豚バラ肉100gあたり約34g

マグロ赤身100gあたり約1.5g

マグロトロ100gあたり約28g

さば100gあたり約12g

卵1個あたり約6g

牛乳1杯(約200ml)あたり約8g


ココナッツ油やオリーブ油などの油類は純粋に油だけを抽出したものなので
1gあたり脂質1gになります。

タンパク質を多く取ろうとすると脂質がおまけでたくさんついてくることが多いのでそこは注意が必要です!

僕自身は、お肉は脂質が少ない鶏肉や牛モモ肉を選び、グラムを測りやすいオリーブ油やココナッツ油などで足りない脂質の量を調整することが多いです!


脂質の摂取タイミング

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基本的には食事回数に合わせて均等に分割でいいと思います。
1日4食で60g摂取するならば1回15g程。

しかし脂質はカロリーも高く消化に時間を要することがあるので、運動前の食事に多量に摂取する事はオススメしません!


個人的には15g前後であれば問題ないのですが、トレーニング前に30g近く脂質を取ってしまうと消化に時間がかかりトレーニング中にお腹に違和感を感じることがあります。
ここはかなり個人差が大きいと思うので一概には言えませんが、色々試して自分に合う摂取量を見つけましょう。


競技者の脂質制限

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競技者で脂質を基準値より低く摂取する例として

1.炭水化物の摂取量を増やさないといけない時
2.体重管理が必要で減量が必要な時
3.血中コレステロールを低下させないといけない選手

主にこの3つが挙げられます。


に関してはトレーニングの性質などで炭水化物摂取を増やす時。
短時間高強度の運動がメインになる場合はグリコーゲンがエネルギー源のほとんどの割合を占めます。
この場合に炭水化物摂取を増やす場合があるのですが、その時に脂質も通常通り摂取してしまうとカロリーオーバーに繋がりやすくなってしまう為、脂質の摂取を控える。


については体重制限などで減量が必要な場合。
この場合は体重を落とすためにアンダーカロリーにする必要があります。
その中で優先的に摂取を抑えるのが1gあたりのカロリーが一番高い脂質になります。脂質を減らす事でカロリーを抑えやすくなり減量がやりやすくなります。



は稀なパターンではありますが心疾患の家族歴などでコレステロールのコントロールが必要な場合。心疾患のリスクを下げるために脂質を制限する場合があります。


もちろんですが上記のどれも極端な制限は禁物です。
脂質の摂取は抑える事はあってもゼロにはしないで下さい!


脂質は炭水化物やタンパク質と比べて摂取量を増やす事による著しいパフォーマンスの向上などは報告されていませんが、エネルギー源になったりビタミンの吸収を補助したりホルモンを生成したり体の機能を維持するためのとても大切な役割を担っています。

パフォーマンスを保つためにも脂質の摂取を怖がらずにしっかりとコントロールして食べる様にしましょう!

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