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ビタミンの働きと必要量

前回までの3つの記事は三大栄養素について書かせて頂きました。
今回はもう少し栄養素を細かくした”微細栄養素”のうちのビタミンについてお話ししたいと思います。

微細栄養素とは?

そもそも微細栄養素ってなに?
とお思いの方もいるかと思います。
微細栄養素とは簡単に言うとビタミンとミネラルのことです!
このビタミンとミネラルも人間の体にとってとても大切で欠かせないものになります。

炭水化物・タンパク質・脂質・ビタミン・ミネラルを総称して”五大栄養素”と言われるほど重要なものになります。


大切と言われても役割や働きなど、どんなものなのか理解しないと具体的に何に大切かピンとこないと思うので少し解説していきましょう。



ビタミンとは?

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炭水化物・タンパク質・脂質の役割はエネルギー源になったり、筋肉や爪など様々な組織を作ったりすることです。
ビタミンはそれを円滑に行えるように補助する働きがあります。
炭水化物・脂質・タンパク質の代謝を助けたり、それらの活性化を補助したりと三大栄養素の働きをスムーズに行えるように陰ながら支えているのです!

ビタミンが不足すると三大栄養素の働きが弱まるだけでなく、欠乏症というビタミン不足によって起こる病気や症状の原因になってしまいます。


ビタミンの分類

ビタミンは大きく分けて水溶性脂溶性に分けることができます。

水溶性ビタミンはその名の通り水に溶けやすく煮込んだり長い時間水に晒すとビタミンが失われやすいです。
大量に摂取しても見ずに溶け込みやすいため尿などで排泄され過剰摂取による障害はほとんど出ません。
そのため摂取の上限が定められていないものがほとんどです。

脂溶性ビタミンは水には溶けずらく調理過程でビタミンを失うことは少ないです。
油に溶けやすいため脂質との相性が良く一緒に摂取するとビタミンの吸収率が良くなります。
脂溶性ビタミンは水に溶けずらく尿などで排泄されにくいため過剰摂取の症状が報告されていて、摂りすぎには注意が必要です。


それぞれのビタミンの働きと必要量

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〜水溶性ビタミン〜


【ビタミンB1】
炭水化物の代謝に大きく関与します。
心臓を含む神経筋系が正常に機能するために必要になります。

不足すると神経炎や脚気やウェルニッケコルサコフ症候群などの症状が見られます。

推奨量
男性1.4mg
女性1.1mg

■ビタミンB1が多く含まれる食品

豚ヒレ100g     1.32mg

うなぎ100g     0.75mg

五穀米100g     0.34mg

玄米100g         0.16mg


【ビタミンB2】
炭水化物・脂質・タンパク質全ての代謝に関与しています。
この中でも特に脂質のエネルギー代謝に大きく関わります。

欠乏すると口内炎や口角炎、角膜炎などが起きます。

推奨量
男性1.6mg
女性1.2mg

■ビタミンB2が多く含まれる食品

豚レバー100g                3.6mg

牛レバー100g                3.0mg

鳥レバー100g                1.8mg

魚肉ソーセージ100g     0.6mg

鯖の水煮100g                0.4mg


【ビタミンB6 】
タンパク質の代謝、神経伝達物質の合成機能に関与しています。
アミノ基転移反応というアミノ酸の代謝に必要となるため、タンパク質を多く摂取する人はこのビタミンB6がとても大切になります。
ヘモグロビンの合成や免疫の維持にも働きます。


不足すると舌炎、口角症、貧血、リンパ球減少などの症状が見られる。


推奨量
男性1.4mg
女性で1.2mg

■ビタミンB6が多く含まれる食品

カツオ100g                   0.76mg

カタクチイワシ100g     0.58mg

ししとう100g                0.39mg

いりごま100g                0.64mg 


【ビタミンB12】
赤血球の形成とタンパク質の代謝、神経系の健康維持に関与します。
他のビタミンでも赤血球の生成に関与するものはいくつかありますがビタミンB12は特に大切と言われています。 

不足すると巨赤芽球性貧血、脊髄および脳の白質障害、末梢神経障害が起こる

推奨量
男女ともに2.4μg
※1000μg(マイクログラム)=1mg

■ビタミンB12が多く含まれる食品

牛レバー100g                52.8μg

鳥レバー100g                44.4μg

豚レバー100g                25.2μg

牛モモ肉100g                2.4μg



【葉酸】
正常な発育発達、赤血球の形成に必要です。
細胞の生成や再生に寄与することから発育に欠かせないと言われます。
胎児の先天性神経管閉鎖障害のリスクを減らす為、妊婦に推奨されます。

不足すると貧血や動脈硬化を引き起こします。
母体に不足があると胎児の神経管閉鎖症や無脳症のリスクが高まる為、妊婦や妊娠予定のある方は摂取量を増やす必要があります。


推奨量
男女ともに240μg
※妊娠予定や妊娠の可能性がある女性はプラスで240μgが推奨される。

■葉酸が多く含まれる食品

焼き海苔100g     1900μg

卵黄100g             140μg

ほうれん草100g   210μg

鳥生レバー100g   1300μg



【パントテン酸】
炭水化物と脂質の代謝に関与する他、副腎皮質ホルモンの分泌にも関わります。
パントテンとはギリシア語で”どこにでもある”と言う意味らしく
その名の通り幅広い食材に含まれているため不足することはほとんどないと言われてます。

不足すると不眠やしびれ、副腎障害や灼熱感などの諸症状が出る。

推奨量
男性5mg
女性4mg

■パントテン酸が多く含まれる食品

鳥生レバー100g     10mg

乾しいたけ100g     7.9mg

たらこ100g            3.6mg

挽割り納豆100g     4.2mg



【ナイアシン】
炭水化物・脂質・タンパク質全ての代謝に関与します。
そのほかにも脂肪酸の生成、ステロイドホルモンの生合成
ATPの産生、DNAの修復や合成にも関わるなど幅広い役割を持ちます

不足するとペラグラ(発疹、神経障害、消化器官障害など)を発症

推奨量
男性15mg
女性11mg

■ナイアシンが多く含まれる食品

たらこ100g                        60mg

ビンチョウマグロ100g      26mg

鶏胸肉100g                         16mg

乾しいたけ100g                  20mg


【ビオチン】
炭水化物・脂質・タンパク質全ての代謝に関与します。
抗炎症物質の生成に関与しアレルギー症状の緩和などに作用する効果も持ちます。


不足するとアトピー性皮膚炎や脱毛、うつなどの症状が出る可能性があります。

卵白に含まれるアビジンはビオチンの吸収を阻害するため卵白を大量に摂取する人は注意が必要。

推奨量
男女ともに50μg

■ビオチンが多く含まれる食品

乾しいたけ100g     36μg

きくらげ100g         27μg

鳥生レバー100g      232μg

あさり100g             22μg



【ビタミンC】
皮膚や細胞のコラーゲンの合成に深く関与し血管の健康維持に働きます。
抗酸化作用が有名で活性酸素の除去の効果も持ちます。
他にも葉酸のを活性化させたり、鉄のヘモグロビン合成を補助する作用があります。

不足すると顔色が悪くなったり、貧血、呼吸困難、免疫低下などの症状が出ます。

推奨量
男女ともに100mg


■ビタミンCが多く含まれる食品

アセロラ100g          1700mg

いちご100g              62mg

赤ピーマン100g       170mg

ブロッコリー100g    120mg

〜脂溶性ビタミン〜


【ビタミンA】
網膜細胞の保護作用、視細胞における光刺激反応に重要な物質です。
暗い所での視力を保つのに働きます。

ビタミンAの前駆物質であるβカロテンには抗酸化作用があり、免疫の活性化も期待されています。

不足すると乳幼児では失明に至ることもあり
成人では夜盲症や皮膚の乾燥などを発症します。

過剰摂取で吐き気や頭痛、皮膚が剥ける、肝臓肥大が懸念されます。

推奨量
男性850μg
女性650μg

摂取上限
男女ともに2700μg

■ビタミンAが多く含まれる食品

卵黄100g          480μg

ひじき100g       360μg

牛乳100g           38μg



【ビタミンD】
カルシウムとリンの吸収を促進し、骨の形成と成長にとても関与します。
日光を浴びることでビタミンDの前駆物質が体内で生成されるため、陽に恵まれている日本人は不足することは稀と言われています。

もし不足すると小児ではくる病、成人では骨軟化症、高齢者では骨粗鬆症のリスクが上がるなど骨に関する症状が主に現れます。

過剰摂取では高カルシウム血症や腎障害などを引き起こします。

推奨量
男女ともに5.5μg

摂取上限
男女ともに100μg

■ビタミンDが多く含まれる食品

きくらげ100g       85μg

乾しいたけ100g    12μg

しらす100g            61μg

いわし100g            32μg



【ビタミンE】
生体の不飽和脂肪酸を酸化させない抗酸化作用を持ちます。
血流の改善や性ホルモンの合成にも関与し
ビタミンEの摂取は不妊に対して効果的と言われています。

不足すると血流が悪くなり冷えや肩こりが起きやすくなる他
シワやシミができやすくなったり不妊や、溶血性貧血、筋ジストロフィーなどの症状が出る。

過剰摂取では血が止まりにくくなると言われている。
しかしビタミンE は比較的体内に貯留しにくく通常欠乏症や過剰症は発症しないと言われている。

推奨量
男性6.5mg
女性6.0mg

摂取上限
男性800mg
女性650mg

■ビタミンEが多く含まれる食品

アーモンド100g      30mg

ヒマワリ油100g      38mg

たらこ100g              7mg

落花生100g               11mg



【ビタミンK】
血液の凝固作用にとても大切で血を止める作用を持つ物質の生成を補助します。
骨形成の調整や動脈硬化防止にも働きます。

不足すると血が止まりづらくなったり、骨が弱くなったりします。

ビタミンKの過剰摂取による症状は報告されておらず
過剰摂取症はないとされているため脂溶性ビタミンの中でも摂取上限が設定されていません。


推奨量
男女ともに150μg

■ビタミンKが多く含まれる食品

ひじき100g          580μg

パセリ100g          850μg

鳥モモ肉100g       120μg

鶏ムネ肉100g       110μg




以上が各ビタミンの役割と摂取基準になります。
それぞれ働きが違いどれも健康を維持するためにとても大切な役割を果たします。
補助的に働くものも多いですがその補助がないと健康体を維持することは難しくなってしまいます。

ビタミンは摂取した分がそのまま吸収されるわけではなく、一緒に食べたものの組み合わせなどでも吸収率が変動します。
その影響もあり過剰摂取の症状が出ることは稀であり、過剰摂取に関してはそこまで神経質にならずに食べていいと思います。

しっかりと身体を機能させていくためにビタミンの摂取も意識して生活しましょう!

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