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ミネラルの働き

前回の記事は微細栄養素のビタミンについて書かせていただきました!
今回はもう1つの微細栄養素であるミネラルについて記事を書いていきたいと思います!

ミネラルという言葉自体は聞いたことがあっても
ミネラルが具体的にどんな物の事を言い、どんな役割があるか知っている人は
そう多くないと思います。

今回はミネラルの役割や働きについて触れていきます。


ミネラルには多くの種類がありますが
人体に必要な必須ミネラルは16個と言われています。
その16個のミネラルは”主要ミネラル””微量ミネラル”の2つに分類されます。

ミネラルの分類

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主要ミネラルには
・カルシウム
・リン
・カリウム
・ナトリウム
・マグネシウム
・(塩素)
・(硫黄)
この7つが分類されます。

微量ミネラルには
・鉄
・ヨウ素
・亜鉛
・銅
・セレン
・マンガン
・モリブデン
・クロム
・(コバルト)
この9つが分類されています。


”主要ミネラル”と”微量ミネラル”
名前だけ聞くと
主要ミネラルの方がより大切なんだ!
と誤解してしまいがちですが、そんなことはありません。
”主要”と”微量”の違いは
大切度ではなく摂取量で区分されています。


微量ミネラルはその名の通り摂取基準量がとても微量なのですが
我々の体の中で大切な働きをすることに変わりはありません。


今回も前回のビタミン同様各ミネラルの役割と摂取量を見て行きましょう!

※塩素はナトリウム、硫黄はアミノ酸、コバルトはビタミン12に含まれ単独での摂取や欠乏が起こらない為、摂取量が定められていないので抜いてお話しします


〜主要ミネラル〜

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【カルシウム】
カルシウムは体内に一番多く存在するミネラルになります。
主に骨や歯などの主要成分になります。
その他にも筋肉の収縮や神経興奮の抑制、血液凝固にも関与しています。


不足すると骨や歯の形成不全が起こります。
高齢者特に女性では骨粗鬆症のリスクがとても高まります。
そのほかにも筋痙攣やてんかんなどの症状が現れます。


過剰に摂取すると高カルシウム血症や軟部組織の石灰化、泌尿器結石などの症状が見られます。
他にもリンや鉄など他のミネラルの吸収を阻害します。


推奨量

男性800mg
女性650mg

摂取上限
男女ともに2500mg


【リン】

リンは二番目の体内に多く存在するミネラルです。
8割はマグネシウムやカルシウムと結合し骨や歯の構成成分になっています。
その他にも細胞膜の成分になったり、運動エネルギーとして重要なATPの代謝にもこのリンが使われます。
浸透圧の調整や心臓、腎臓の機能維持、神経伝達にも関与します。


不足すると脱力感や筋力低下、溶血などの症状が出ると言われていますが
リンは様々な食品の中に多く含まれているため不足することはほとんど無いと言われています。


過剰に摂取するとカルシウムの吸収を阻害すると言われています。
カルシウムとリンどちらかを取りすぎると、どちらかの吸収を阻害してしまう働きがあるので摂取比は約1:1が望ましいとされています。


推奨量
男性1000mg
女性800mg

摂取上限
男女ともに3000mg


【カリウム】

カリウムはナトリウムとともに体内の浸透圧の調整が主な働きになります。
ナトリウムとの関係が深く、カリウムは腎臓でのナトリウムの再吸収を妨げ血圧を下げる効果もあります。


不足すると脱力感や筋力低下、食欲不振、骨格筋の麻痺などの症状が出ると言われていますが通常の食事ではほとんど不足することはないと言われています。


過剰に摂取することも腎機能が正常であればほぼ無いとされています。
そのため摂取上限は設定されていません。

しかしカリウムのサプリメントの摂取や腎機能の低下などで過剰症になってしまった場合はカリウムをうまく体外に排出できず筋収縮のコントロールができなくなったり手足の痺れ、心電図異常などの症状が現れ、重い場合は心停止になる場合もあるのでサプリメントの使用には注意が必要です。


男性3000mg以上
女性2600mg以上


摂取上限設定なし


【ナトリウム】
ナトリウムはカリウムとともに体内の浸透圧の調整に関与します。
その他に筋肉の収縮や栄養の吸収や輸送にも関与します。
胆汁、膵液、腸液の材料としても使われます。


不足すると疲労感、血液濃縮、食欲不振を起こしますが通常の食生活で不足することはほとんどありません。


過剰な摂取が近年問題になっていて
過剰摂取による高血圧やがんなどの生活習慣病が問題視されています。


推奨量

男性8g未満(食塩相当量として)
女性7g未満(食塩相当量として)


摂取上限設定なし

※具体的な摂取上限は設定されていないが推奨量以内に収めることが望ましい。


【マグネシウム】
マグネシウムはビタミンDによって吸収が促進され、過剰なカルシウムやリン摂取によって吸収が抑制されます。
エネルギー産生に深く関与していて栄養素の合成、分解にも関わっています。
その他にも血管を拡張させたり血小板の凝集を抑制し血栓の予防にも働きます。


不足すると不整脈になりやすくなり、慢性的に不足している場合は虚血性心疾患、動脈硬化のリスクが高まります。
他にも吐き気や精神障害、筋肉の痙攣なども起こりやすくなります。


過剰に摂取された場合は尿中に排出されるので過剰症になることはありません。


推奨量

男性340mg
女性270mg

摂取上限設定なし


〜微量ミネラル〜

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【鉄】
鉄分の多くは血液中のヘモグロビンの構成成分になります。
ヘモグロビンになり酸素の運搬を行うというとても大切な役割を担っています。他にも筋肉中に酸素を溜めるミオグロビンの構成成分にもなったりしています。


不足すると皆さんご存知のように鉄欠乏性貧血になり貧血症状が出現します。
体のだるさ、息切れ、顔面蒼白などの症状が主に現れます。


過剰に摂取することはほとんどないですが
サプリメントなどで過剰摂取した場合は鉄過剰症を発生させるリスクがあります。


推奨量

男性7mg
女性6.5~10.5(月経時は必要量増加)


摂取上限

男性50mg
女性40mg


【亜鉛】
亜鉛のほとんどは筋肉か骨に存在します。
様々な酵素の構成成分になるため色々な生体内の反応に関与しています。
DNAの合成にも必要なので胎児や乳児の発育などにとても大切です。
インスリンを作る膵臓や精子を作る睾丸など新しい細胞を作る組織では重要になります。
他にも活性酸素の除去や味覚、免疫など本当に様々な働きに関与します。


不足すると成長障害、味覚障害、生殖機能障害など関与する働きが多い分多くの症状が現れる恐れがあります。
他には貧血、食欲不振、下痢、脱毛、免疫低下などの症状に含まれます。


過剰に摂取すると良性の前立腺肥大のリスクを増加させる可能性があります。
他にも亜鉛の過剰摂取によって銅の吸収が低下するので銅欠乏の症状である吐き気や下痢、善玉コレステロールの低下などの症状が現れます。


推奨量
男性10mg
女性8mg

摂取上限
男性40mg
女性35mg

【銅】
銅の多くは筋肉か骨に存在しています。
ヘモグロビンの合成や免疫の向上に加え動脈硬化の予防やエネルギー生産などにも関与します。


普通の食事で不足することはない
と言われていますが
不足すると貧血や骨異常、心血管系の異常などが挙げられます。


過剰に摂取することもほとんどありませんが
遺伝的疾患で銅が蓄積されてしまうと肝障害や関節障害などが起こると言われています。


推奨量

男性0.9mg
女性0.8mg

摂取上限
男女ともに10mg


【ヨウ素】
ヨウ素は甲状腺ホルモンの主成分になります。
基礎代謝の促進やタンパク質、脂質の代謝にも関与します。


不足すると甲状腺機能の低下などが起きます。
妊娠中の不足は流産や胎児の甲状腺機能低下のリスクが高まります。


過剰に摂取することはほとんどないが
取りすぎた場合も甲状腺の機能が低下すると言われている。


推奨量

男女ともに130μg

摂取上限
男女ともに3000μg

【セレン】
セレンは肝臓や腎臓に含まれます。
抗酸化作用を持ち細胞の酸化を防ぎます。


不足すると心筋障害や下肢筋肉痛、皮膚の乾燥などの症状が出ます。


過剰に摂取することはほとんどないが
症状としては毛髪や爪の脆弱化、疲労感や胃腸障害などがあります。

推奨量
男性30μg
女性25μg

摂取上限
男性420μg
女性330μg


【マンガン】
マンガンは肝臓、膵臓、腎臓や髪の毛に存在します。
骨の発達に重要で他にも糖質代謝や皮膚代謝などにも関与します。


不足すると骨の発達異常、成長障害、妊娠障害などが出る可能性がある。


過剰摂取はほとんど起こらないが
もし起きた場合はパーキンソン病に似た症状が出ると言われている。


推奨量
男性4mg
女性3.5mg

摂取上限
男女ともに11mg


【モリブデン】
モリブデンは肝臓、腎臓や皮膚に存在しています。
タンパク質代謝や鉄の代謝に関与します。


不足することはほとんどないが
先天的異常で欠乏した場合は脳の萎縮や精神遅滞、痙攣などが症状で挙げられる。


モリブデンの過剰摂取に関しては研究が少なく
過剰摂取により痛風様症状が報告された例もあるが研究データが少ないのでまだ過剰症と確立はされていません。

推奨量
男性25μg
女性20μg

摂取上限
男性550μg
女性450μg


【クロム】

クロムはすべての細胞に含まれます。
炭水化物と脂質の代謝に関与し、糖尿病、高脂血症、動脈硬化の予防が期待されています。


不足するとインスリンの作用が低下して耐糖能の低下が起こると言われています。


過剰に摂取することはほとんどなく
サプリメントなどで過剰に摂取したことによる過剰症も不明瞭なものが多い為、科学的根拠のあるクロム過剰症は報告されていません。


推奨量
男女ともに10μg

摂取上限設定なし



このようにミネラルもビタミン同様に様々な働きがあります。
イメージ的にはビタミンは補助的に働き作用などを活性化するものが多く
ミネラルは骨などの組織の素になる感じです。


ミネラルも摂取したものがそのまま吸収されるわけではないので
過剰症が現れることはとても稀です。
ミネラルの場合は不足もして欠乏症が出ることも多くないですが食事が偏っていたりすると症状が出る可能性はあるので気をつけて生活していきましょう!

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