ふるさとイベント大賞の事例から①「Tシャツアート展」と「てぬぐいひらひら」
あまり知られていませんが、「ふるさとイベント大賞」というユニークな表彰があります。主催は総務省の外郭団体である一般財団法人地域活性化センターです。なんと27年前から開催しています。
京都の祇園祭や青森のねぶた祭など誰もが知るような大きなイベントが対象ではなく、アイデアがキラリと光るイベントにスポットを当てているところがミソです。
今年度は2月28日に表彰式が行われ、私も会場にいました。毎年「このアイデアは他地域でも使えそう」と思えるイベントがいくつもあります。
今年、おっと思ったのは、選考委員会表彰を受賞した「てぬぐいひらひら」(鳥取県境港市)です。
このイベントは境港市の伝統産業である「伯州綿」をPRするために、伯州綿を使って製作した手ぬぐいと、全国各地から集めた130種の手ぬぐいを展示しています。秋空にひらひら舞う手ぬぐいが鮮やかで美しいです。
実はこのイベント、あるイベントを参考にしています。
それは高知県黒潮町の「Tシャツアート展」です。受賞団体の方がスピーチで話されていたから間違いありません。なんだか嬉しくなりました。
「Tシャツアート展」とは4キロの砂浜にイラストを施した真っ白なTシャツをひらひらさせるという現代アートの企画です。イラストのデザインは全国から1000人もの応募があります。
主催者のNPO法人砂浜美術館は平成27年度に総務省の「ふるさとづくり大賞」を受賞されました。当時、取材したことが印象深いです。砂浜美術館の詳しい活動内容は以下の動画にて…。
Tシャツアート展は愛媛や徳島、和歌山など他県に広がっています。イベントのコンセプトに共感されたからだと思います。
境港市も基本的には同じ発想です。ビジュアルに強いインスピレーションを受けたのだと思います。
おもしろいのはTシャツではなく、てぬぐいをひらひらさせたことです。これにより地域色が出て、Tシャツアート展とはひと味違うイベントになっています。
この境港市のアレンジ例は地域創生の参考になると思います。
既存の成功事例をそのまま自分の地域で再現するのは簡単そうに見えて実は難しいです。地域によって資源や人が全然異なるわけですから。
だったら、一部分、ワンアイデアだけ拝借する方が現実的です。
うちはてぬぐいの産地ではないが、ふんどしの産地だから、それを使えないだろうかとか。あらゆる可能性を探ることもクリエイティブです。
また、アレンジできそうなちょっとしたアイデアの引き出しを増やすことも重要だと思います。
そういう意味で「ふるさとイベント大賞」の受賞事例を知ることは役に立ちます。
実は私が参加している東京都港区の地域団体「赤坂・一期一会プロジェクト」も過去の受賞団体のアイデアを思いっきり取り入れています(笑)。その内容は次回ご紹介します。