見出し画像

便利さより豊かさを求める家族の物語(岐阜県郡上市石徹白)

被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。

震源地となった能登半島は地域づくりがとても盛んで、これまでに10回以上取材に行っている愛着のある場所です。いま、知人の無事がわかるたびに安堵しています。

さて、10月に岐阜県郡上市の石徹白(いとしろ)で動画撮影をした平野彰秀さん(令和4年度ふるさとづくり大賞・優秀賞)の動画を年末ギリギリに公開することができました。

SDGs、小水力発電、昔の知恵を活用した服づくりなど・・・ご興味がある方はぜひ、ご覧ください。

先住民族の教えと平野家の共通点

私の地域創生の師である月尾嘉男(東京大学名誉教授)は日本のITの父と言える人です。

橋本、小渕・森政権ではIT政策のアドバイザー的存在で、小泉政権では民間人として初めて総務省の総務審議官(事務次官級)に任命されました。

一方、環境問題にも関心があり、世界中の先住民族を取材し、自然と調和した暮らしの知恵や伝統的な考え方をテレビ番組で紹介する活動を数年間にわたり行いました。

アメリカ大陸に先住するインディアンのナヴァホ族は「現在の環境は未来の子孫から預託されたものだから勝手に改造しない」、イロコイ族は「7世代先の子孫のことを考慮して物事を決定する」という教えが今も残っています。

世界最貧の国家元首として有名なウルグアイのホセ・ムヒカ元大統領は「貧乏とはモノを所有していないことではなく、無限の欲望があり、いくら所有しても満足しないことである」と力説しました。これを日本的に言えば「足るを知る」ということでしょう。

「アメリカ大陸にせいぜい400年前に進出した人々の欲望の構造が今や世界に浸透し、世界を不幸にしている」と月尾先生は喝破します。もちろん、不幸の国の中に日本も含まれます。

コンビニが一軒もなく、病院まで車で40分以上かかる石徹白。そこで暮らす平野さんと妻の馨生里(かおり)さんは「今の暮らしに豊かさを感じている」と言われます。

また、お子さんが4人いますが、子どもが増えれば増えるほど豊かさを感じるそうです。都会とは真逆の状態です。政府の子育て支援策などは全く気にされていないように思います。

ちなみに、以前取材した石見銀山の松場登美さん(令和2年度ふるさとづくり大賞・内閣総理大臣賞)が経営する古民家宿「他郷阿部家」のトイレにインディアンの教えが貼ってありました。

阿部家のトイレに貼られた「アメリカンインディアンの教え」

平野さんは松場登美さんに「学生時代に多大な影響を受けた」と話されていました。言われてみれば、二人の考えは共通しています。

復古創新。昔から続いてきた良さをただ懐かしむのではなく、そこから新しい価値を生み出すという意味です。これはインディアンの教えに通じます。

未来に進めない時は伝統文化を見直しましょう。地域創生のヒントが見つかるかもしれません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?