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『日本児童文学』7・8月号に「あこがれのダールさま」を

『日本児童文学』(日本児童文学者協会・小峰書店)に、「児童文学に喝!」という1ページのコーナーがあり、7・8月号に私は、「あこがれのダールさま」という記事を書かせていただきました。

『日本児童文学』(日本児童文学者協会・小峰書店)

ロアルド・ダールは大好きな作家で、拙著『童話を書こう!』(青弓社)では、小道具についての「おいしい味つけ」の項で、おなじみ『チョコレート工場の秘密』を、
また、『童話を書こう! 完全版』(青弓社)では、第5章「構成と構造」の「起承転結」の項で、「アンブレラ・マン」(『王女マメ―リア』収載の短編)を取り上げ、解説しています。
今回のコラムでは、『奇才ヘンリー・シュガーの物語』(評論社)について、ふれました。

ところで、次の写真は、ダールの名作短篇がテレビシリーズ化されたもののDVD。私が持ってるのは、第1集のBOX。1枚に3本収録で、計9本。「予期せぬ出来事」とあるように、どれもオチが見事な作品です。
各話の前にダールさまご自身が登場して、その作品について、ちょこっと話してくれるのがステキ💖
たとえば、「暴君エドワード」では、ダールさまはこんなふうに語っています。

ロアルド・ダール「予期せぬ出来事」

「この物語を書いた頃は、常にベートーヴェンの四重奏を聴き終えてから執筆を。曲が私の肌や脳、指にしみこむと、素晴らしいインスピレーションが湧いてきて、作品に影響が出ます。いずれにせよ、素晴らしく高揚した気持ちで机に向かえば、駄作を書くのは難しいのです。この作品は、突飛な考えから生まれた音楽的なストーリー」

さて、どんなストーリーかといえば…。

年輩の夫婦、ルイザとエドワードのところに迷い込んできた一匹の猫。
ルイザがピアノを弾いていると、猫はリストの曲にだけ熱狂的な反応をみせます。
ルイザは図書館にいき、「転生」やリストについていろいろ調べ、猫の顔に、リストと同じ箇所ににほくろがあることに気づき、確信を持つのでした。
「フランツ・リストが転生した猫よ! 世界中に知らせなきゃ」
「なにをバカげたことを」と、くさす夫に、妻は言います。
「ひどいわ、私の人生で『初めて』素晴らしいことが起こったのに!」
ルイザは、「猫のために」特別のごちそうをつくるのでした。
さて、その間に夫は…? そして、猫は…?🐈

どうなったか、考えてみてくださーい。
原作とTVドラマでは、ちょっとラストのニュアンスが変わっています。
夫エドワードを、名優ジョゼフ・コットンが演じている、印象深い作品です。

ダールはじつにさまざまな作品を書いていますが、こ~んなに暑い夏はやはり、こわ~い話を観て、読んで、気分だけでもぞくぞくっとね~☺️