あなごのしっぽ
事務所の外で打ち合わせをして、回転寿司で一人、少し遅めのランチを食べることにした。見た目は回転寿司だけど、お寿司は回っておらず(コロナからかな)、値段もちょっと高級である。昼はランチセットがあった。
やっぱりお寿司は美味しいなぁと、エイヤと頼んだ上から2番目にお高いランチセットを食べていると、近くの席に70代後半から80代の、上品な雰囲気のマダム2人が座った。
マダムのうち一人が席につくなり、中で寿司を握る職人に言う。
「私ね、アナゴの尻尾が食べたいのよ」
職人は明らかに戸惑っている。
特に常連というわけでもないらしい。
アナゴを堪能するメニューがあるらしく、「これですかね?」と確認する。
「普通のでいいの。普通のアナゴの尻尾にしてちょうだい。」
隣から別の女性が言った。
「私は普通のとこでいいからね、アナゴちょうだい」
職人は、少し首を傾げながらも了解した。
「一つは尻尾の方で、一つは普通のアナゴ。ですね?」
「そう。ありがとう。私ね、尻尾のところ、大好きなの」
マダムは嬉しそうににっこり笑った。
職人も笑って頷いた。
私には、アナゴの尻尾の客観的な価値がわからない。高級な希少部位だったりするのだろうか?そんな話聞いたことはないけれど。
高級だろうがそうでなかろうが、尻尾は一尾に一つ(二つ?)だから、廃棄される部位ならともかく、ちょっと面倒なお願いな気がする。
でも、ちょっといいなと思った。
言いたいことはちゃんと伝える。
最終的にみんな笑っている。
大体のことは空気を読みあってうまくいく。
いい人と思われたい。
面倒な人と思われたくない。
だから、ちょっとこうだったらいいのにな、うれしいんだけどなと思っていても、あえて口に出す人は少ない。
でも、あえて言葉にすることで生まれる交流がある。
伝えることで進んでいく「理解」がある。
ちょっと怪訝な顔をされてもめげてはいけない。そして、お願いの意味をちゃんと伝える。
誰かと一緒に仕事をすると、必ず思うことがあるはず。
(もう少しこうしてくれるといいんだけどな。まぁ、あえて言うほどでもないか。)
(君がやってくれないからさ、僕が毎回やってるって知ってる?本当は君の仕事だと思うんだけどさ…。まぁいいんだけど。)
そういうの、口にしてみませんか。
なぜそのお願いをしたいのか、どれだけ助かるのか、とセットで。
意外とあっさり解決すること、あると思います。みんな笑顔のままで。
【今日の質問】
本当はこうして欲しいんだけどな、と思っていることない?
ちょっと勇気出して、伝えてみない?
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