まきりい

しょうもないことを書いています。

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最近の記事

王手って言いたくない

私は老人施設で働いている。 ユニットには将棋を楽しまれている入居者様が3人いるが、入居者のMさんが最近めっきりと将棋をしなくなってしまった。   なぜかと聞くと、「……オレ、弱いから」と言う。 なるほど…と思った。   確かに毎回毎回負け試合ばかりじゃ楽しむどころかストレスが溜まってしまうだろう。   そこで私はいい作戦を思いついた。   私が将棋を覚えてMさんと対戦したらどうだろうか…と。 初心者の私はすごく弱いから、きっとMさんは私に勝てるはず。気持ち良くなったMさんの

    • 縁があるのか賭けてみた

      玄関の外へと出ると、もうすぐ9月半ばだというのに、「暑い……」と呟きたくなる気温だった。 ふと足元を見ると、めちゃくちゃ小型の可愛いコクワガタがちょこんと佇んでいた。 この前天へと召されたコクワガタよりも半分ほどと小さくて、一瞬違う虫なのかと疑った。 私はしゃがみ込み、間近でそれを確認してみた。 やはりコクワガタのメスだった。 10日ほど前に我が家のコクワガタが天へと召され、カブトムシまでが後を追うように居なくなってしまった。 二つの虫かごは空となり、悲しくなった私はも

      • さようなら、カブトくん

        ここ二日、カブトムシがリンゴを抱き抱えて貪り食べる姿がみられないな、と思っていた。 虫かごを覗くと、丸太の木の影に隠れている。 はは~ん、さてはまた隠れんぼをしてるんだね。と思って、微笑ましく私は「おやすみ」と挨拶をした。 翌朝も虫かごを覗くと、同じく丸太の木の影にいて、だるまさん転んだと隠れんぼをしていた。 も~う、お茶目さん! と微笑ましく思いながら、エサを取り替える。 カブトムシは丸太の木の影に隠れたまま動かない。 やはり人間の私との境界線は大切にするタイプのよ

        • カブトくん②

          コクワガタがある朝天へと召された。 その隣の虫かごの中にはカブトムシがいて、いつも土の中に身を隠し、姿を見せることがレアだった。 けれど、なぜだかコクワガタの虫かごが隣に無くなってから、カブトムシがいきいきとしだしたのだ。 土に潜り込むことはほとんどなく、人間の私が虫かごを覗いても動じることなくリンゴを抱き抱えて貪り食べる姿が見られるようになった。 ひと月前に玄関の外で弱々しくもがいていたコクワガタのメスを保護してから二週間後に、カブトムシのオスを飼うことになった。

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        • いきもの
          7本

        記事

          健康診断

          健康診断の結果がAランクだった。 私って毎年そう。 毎晩欠かさずに晩酌をしているのに、肝臓もAランクで、不思議に思う。 健康診断とは、日々の生活習慣の結果を見るものだから、診断日間近になって慌てて禁酒したりだとか、そんな足掻きはしない。 前日の夜もちゃんと満たされるだけ晩酌をして、当日を迎えた。 今年はさすがにBランクに落ちただろうと腹を括っていたけれど、結果Aランクで……。 なんなの、Bランクだったら休肝日を作るきっかけになったのに、今年もAランクだなんてスゴす

          ノーマルカーブ

          七年前、整形外科でレントゲンを撮った時、私の頚椎は普通の人とは真逆に曲がっていることが分かった。 手術もオススメできないらしく、神経を修復する薬を飲み続け、この人生を逆カーブと共に歩んで行かねばならない事実を突きつけられたのだ。 しかしその神経の薬は副作用で太ってしまうと聞いた。 食べてもいないのに太るだなんて、そんな濡れ衣的薬なんてまっぴらごめんだわ。と、服薬を拒否し、今に至る。 ところで、首と腰の背骨は一本で繋がっている。 最近の私の腰は油を差したいほどにギシギシと

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          とある雑草の話

          山肌コンクリート壁の隙間から雑草が伸びていた。 多分あれは、セイタカアワダチソウ。そこら辺にたくさん生えている珍しくもない雑草だ。 雑草の足場はコンクリートな上、急な斜面だ。 そういう珍しい所から生えるのは、雑草界のあるあるなのだろうか。 雑草は、律儀に急斜の壁面から30度ぐらい修正し、天へと真っ直ぐに伸びている。 よく地面と平行になるよう修正できたなと、私は感心しながらしばらくそれを観察した。 もしもあの雑草が人間ならば、几帳面なA型なのかもしれない。 雑草の根に近

          とある雑草の話

          さようなら、コクワさん

          コクワガタは快適な環境だと4年ほど生きるとネット情報にあった。 じゃあ、昨日の朝虫かごの中で動かなくなっていたコクワガタは、一体何歳だったんだろう……。 玄関の外でひっくり返って弱々しくもがいていたコクワガタは、炎天下の中、衰弱しているようだった。 私は迷いながらも保護することにした。 元気の無いコクワガタは、もう時間の問題かと覚悟を決めていたが、数日後にはよく動きよくエサを食べるようになった。 日々元気な姿を見せてくれるコクワガタを、私はさりげなく見ながら癒されていた

          さようなら、コクワさん

          配達の人

          仕事中に知らない番号から着信が3件もあった。 確認すると、 『道に迷いました。自宅の近くの建物を教えてください』 とのメールがあり、めちゃくちゃ怪しいと思った。私はそれを無視して仕事を続けた。 夕方再び着信があり恐る恐る電話に出ると、 道に迷ってしまって……。と言って配達の人が困っていた。 詐欺じゃなくて本当の話だったんだ…と驚かされた。 なぜなら今まで宅急便の人が道に迷うだなんてこと、一度もなかったから。 私も方向音痴なので、道に迷った時の不安な気持ちは良くわか

          ベランダの緑

          水耕栽培ってキレイだなと思って、スーパーで買った細ネギの根を水につけて再生されるのを楽しんでいたけれど、これ以上の変化は期待出来なさそうに思えた。 それにやはり、自宅の中にネギを栽培するリスクが拭えない。 どうしてもネギはネギ臭くて、Gを寄せ付けてしまわないかと心配になる。 私はこのテーマを以前から繰り返し、もう三周目となった。 やはりネギはネギ臭いと再確認し、水耕栽培を断念する世界線を繰り返している。 結局ベランダのプランターに植え付けることで、私はネギと向き合うのを

          ベランダの緑

          とりかわ

          鶏むね肉は安くて好きだけど、鶏皮がどうにも許せない。 昔給食の時、煮物の中の細かいそれを間違って口に入れてしまった時、視覚で判別できないほどの欠片を、味覚センサーが判別した。 不味い!! ……と。 全身の毛穴は開くどころか閉鎖した。 閉じるだけでは留まらず矛となり攻撃態勢となる。 つまり全身鳥肌。私自身が嫌いな鶏皮のようになってしまう悲劇。 鶏むね肉を料理する時、鶏皮は剥いで捨てるのがお約束だった。 それを何年も繰り返してきたが、ある日息子に見つかってしまった。

          正しい箸の持ち方

          息子が友達とバーベキューをした時、箸の持ち方が違うと気付かれてしまったらしい。 息子は、「正しい持ち方もできるけど、この方が持ちやすいんだよね」と応えたらしい。 すると息子の友人は、 「俺も3年前まではそうだったから気持ちよく分かるよ」と言ってくれたという。 息子はそろそろ正しい箸の持ち方に矯正しようかと呟いた。しかし自己流の箸の持ち方の方が持ちやすいし......と、葛藤しているようだった。 実は私も箸の持ち方は正しくない。 幼少期から強制されることなく自己流の

          正しい箸の持ち方

          ぎっくり腰について

          腰が痛い。 たぶんこれ、ぎっくり腰の前兆だ。 ぎっくり腰って、なってしまうと寝たきり生活を強いられるほどの激痛なのに、ちょっと納得できない点がある。 ぎっくり腰……。 この呼び名、ポップ過ぎない? 私、ぎっくり腰で起き上がれなくて5日も会社を休んだことが二度ほどある。 その理由を『ぎっくり腰』っていうの、しっくり来なかった。 ぎっくり腰 = 魔女の一撃 = 急性腰痛症。 同じものを指す呼び名だけど、ホントのところ私はどれを使いたい……? 『私、急性腰痛症なんです…

          ぎっくり腰について

          銀色オートメイル

          歯磨きをしていたら、突然異物が口の中に召喚された。 私は驚いて、ペッ! とそれを吐き出した。 コロンと洗面台に落ちたのは、銀色の詰め物だった。 舌で上の右奥歯をなぞると、空洞になっている。 この銀色の物体は、歯のオートメイルみたいなものなのかな? ちがう? でも、オートメイルって言えばカッコ良さげだから、私、そう呼ぶことにするね。 ところで私、今まで銀色のオートメイルと共に過ごしてたなんて、少しも知らなかった。 治療した記憶もない。 はるか遠い昔の治療すぎて、記憶

          銀色オートメイル

          玉ねぎの皮

          ハンバーグを作る時、玉ねぎがめんどくさくて代わりにネギやらビーマンやらキノコらをみじん切りにして入れると言うと、同僚は軽蔑するような目をオブラートに包むようにして私を見た。 「そんなに面倒かな? みじん切り器ってのがあるよ。それ、めちゃくちゃ簡単に玉ねぎのみじん切りできて便利だけど、どうかな?」 そんなアドバイスをもらった。 そんなんいらないよ。と思いつつ、 「ウワサに聞いたことあるけど、そんなに便利なの?」 と問い返した。 私がハンバーグを作るのに玉ねぎが面倒

          ギアスとハンドクリーム

          最近気付いてしまった。 スマホのタッチパネルをタップしても、反応が鈍いことを。 なぜかな? スマホ、壊れたちゃったのかな? なんて思っていたけれど、職場のタブレットも同じように私の指に反応が鈍いから、 「ごめん、このタブレット壊れ気味じゃない?」 って言って同僚に試してもらったら、タブレットは全然普通に反応してた。 ネットで調べると、指の水分量が少ない冬場に多いと書いてある。 ああそうなのね……。 夏の今でも、私の手の水分量はとっても低いと物申したいみたい。

          ギアスとハンドクリーム