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とある雑草の話

山肌コンクリート壁の隙間から雑草が伸びていた。
多分あれは、セイタカアワダチソウ。そこら辺にたくさん生えている珍しくもない雑草だ。

雑草の足場はコンクリートな上、急な斜面だ。
そういう珍しい所から生えるのは、雑草界のあるあるなのだろうか。

雑草は、律儀に急斜の壁面から30度ぐらい修正し、天へと真っ直ぐに伸びている。

よく地面と平行になるよう修正できたなと、私は感心しながらしばらくそれを観察した。
もしもあの雑草が人間ならば、几帳面なA型なのかもしれない。

雑草の根に近い部分の茎と葉は茶色くて汚かったが、なぜだか私にはカッコ良く見えた。
ところで急斜面の高い壁から空を見上げるのはどんな気分なんだろう。

雨風が強くなってきたけど、雑草からしたら当たり前の日常のはずだ。 水圧の強いシャワーを浴びてる感覚で気持ちいいのかもしれない。

普通に土に生えているセイタカと比べると、あのコンクリート壁の個体は小さいようだ。大地に根を張れない分、あれ以上のセイタカになるには難しいのも納得できる。
あの不安定な足場から生えるセイタカは、多分あれが成長の限界なのかもしれない。
今が折り返し地点でこの先は萎れゆくだけなのかもしれないが、それは私の勝手な予想だ。
もしかするとまだまだ成長過程で、もっと大きくなるのかもしれない。

今後の行く先が気になった。

次に私がこの場所に来た時に真っ先に見上げるのは、あのコンクリート壁の雑草なのだと思う。
今後の季節の移り変わりにどう変化していくのか、楽しみが一つ増えた。

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