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ベトナム語発音問題・・・ヌクマムでもなく、ヌォックマムでもなく

「水はありますか?」が通じない

ベトナム語では ”có nước không?” でいいはずだ。

ところが最近、商店で水を買おうとして、店員にこの様に聞いてみたが全く理解してくれなかった。水=ペットボトルに入っているもので、日本式に言うならミネラルウォーターだが、細かい事はさておき、商品に水があるかないかを尋ねたかったのだが伝わらなかった。

”có ○○ không?” の構文は簡単かつ便利で、○○ありますか?と聞く時に使える。ハノイに来て2か月、店で探し物する時に何度か使っている。一度、体温計のベトナム語の発音が伝わらずに画面の文字を見せてようやく理解してもらったことがあった。体温計は仕方ないとしても、発音し慣れていると思っていた「水」が伝わらないとは! ”nước(水)”の発音を何度も繰り返したり、ジェスチャー交えて"uống nước(水飲む)"とか言ってもダメだった。一応water(うぁーらぁ)も言ってみたがダメだった。僕の発音の悪さに加え、外国人というフィルターにより相手も理解しようという試みを停止させていたかも知れない。

ところで、日本でもよく知られるベトナムの調味料「ヌクマム(魚醤)」は、ベトナム語で”nước mắm”であるが、この”nước”が水の発音である。「ヌクマム」はかなり端折った発音になっていると思うが、カタカナでは、「​ヌックマム」「ヌォクマム」「ヌォックマム」「ニョクマム」等とも表記されるようだ。この中では、僕は「ヌォックマム」が一番近いのではないかと思う。つまり、”nước”(水)は「ヌォック」に近い発音になるはずだ。

日本語を母語とする方であれば、「ヌォック」を読む時は口をやや尖らせ縦方向に開くでしょう。しかしこれでは伝わらない。外国人のベトナム語発音を聞きなれた人が忖度してくれる場合を除いて。

ư や ơ のように右肩に髭が付いている文字は口を横にだらっと開けるようにする必要がある。カタカナで敢えてその差異を書き表そうとするなら「ヌォァック」とでもすれば少しは近づくだろうか? いずれにしても正確には書き表せない。

Tamさんは「タン」さんが正しい

仕事でお付き合いしているTamさんという方がいる。日本語では通常「タム」と表記、発音するところでしょう。僕も同じだった。ところが、日本語が堪能なベトナム人社員が、Tamさんのことをカタカナで「タン」と書き、発音もタンさんと言っており、何でだろう?程度に軽く気に留めていた。最近になり、Tamは「タン」であり、ベトナム人にとっては「タム」はあり得ないことに気付いた。発音の規則的には、”m”(語末子音)で終わる単語は、上唇と下唇をピッタリと閉じなければならないという。「タム」と発音しようものなら最後に口が開いてしまう。口を閉じて終わるなら自然と「タン」となる。だから、ベトナム人からするとTamをカタカナで表すなら「タン」でしかない。

フィジカルトレーニング

日本人には区別しにくい発音の違いが多くあり、これに声調の違いも加わるため、ベトナム語の習得は非常に難しいということはよく言われている。それは僕も日々思い知らされている。その最初にして最大の関門となる発音問題をクリアするには、舌と唇の位置と空気の出し方を理解したうえで、それを実際に動かしてトレーニングするしかないと思っている。

耳で聞き分けできず、そのため区別して発音できないのなら、口の形を頼りにフィジカルな訓練をするしかない。形を作れば否応なしに音がついてくる。

ちょっとばかりベトナム語の知識があろうとも、店で”nước(水)”一本買えなければ干からびて死んでしまうし、名前を呼んでも本人に伝わらなければ自分はそこに居ないとの同じだ。極端なハナシ。


※冒頭の写真はスーパーの野菜売り場の様子をモザイク状に並べたもので、本文の内容とは関係ありません。

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