MakInHanoi

2021年4月よりベトナム・ハノイ在住。 この地で見たこと聞いたことを通じて考えたこと…

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2021年4月よりベトナム・ハノイ在住。 この地で見たこと聞いたことを通じて考えたことを書き記します。趣味も仕事も、分け隔てなく、つれづれなるままに。 Clip out Hanoi【ハノイ点描】 https://www.youtube.com/@makinhanoi

最近の記事

日越比較、怒りのクラクションと挨拶のクラクション

ハノイの風物詩ともいえるバイクの大群の光景には、鳴り響くクラクションの音の「演出」は欠かせない。 日本国内ではクラクションを鳴らす・鳴らされる時というのは、往々にしてただならぬ緊張が走ることがあるが、ハノイでは文字通り挨拶代わりの意思疎通の信号に過ぎない。その理由を個人的に分析してみた。 ハノイの道路交通を体験した人ならわかると思うが、車両間の安全マージンが非常に小さい。二輪のバイクに限定して言えば、ゼロに等しい車間距離(なんなら接触もあり)、急な車線変更・右左折、信号無

    • ベトナムの住所の表記方法はかなり良い、という話

      面からたどるか、線からたどるか 日本の住所表記は通常は以下の感じ。  地番:○○町23番地  住居表示:○○町2丁目3番4号(2-3-4) 都市部とかで住居表示が施行されていると、丁目から街区(=番)、街区(ブロックに相当)内で順番に振られた宅地の番号(=号)と絞り込んでいくことで目的地を絞り込むことができる。 一方、ベトナム(ハノイ等北部地域)では、  số 11, Ngõ 22, Phố ABC (11号,22路地,ABC通り)  意味:「ABC通り」から分岐する「2

      • ハノイの怒涛のバイクの流れを渡るタイミングを無意識下で司っている正体

        朝夕のハノイ市街地でよくみられるなじみの光景といえば、さながら川を埋め尽くす魚群ような怒涛のバイクやクルマが埋め尽くす道。外国人にとっては最初は躊躇して渡るタイミングを逸してしまうかもしれないが、慣れてしまえば実際にはさほど難しいことはない、早晩渡れるようになる。それでも、慎重派、強硬派、人それぞれの渡るタイミングというものがある。 バイクの流れが途切れるまで待つのか、バイクの流れを交わしながら渡るか、その人の性格、運動神経に対する自信、安全に対する考え方、その時の状況(急

        • 鮮やかな交渉劇

          ハノイの街中には昔ながらの市場が至るところにあり、野菜、果物、肉、魚… なんでも売っている。僕はその一角にある海鮮屋で焼き牡蠣を買うため、店先で牡蠣を焼いてもらうのを待っていた。生から焼くので焼き上がるまで結構時間が掛かる。 1台のバイクが店先に停まった。中年に差し掛かったキリッとした表情の女性が降りきて、切れ味鋭い口調で海鮮屋のおばさんと二言、三言交わした。まるで切れ味鋭いナイフのように話す。この"ナイフ女"は客らしいが、会話を交わした後も険しい表情を保っている。一方で、

        日越比較、怒りのクラクションと挨拶のクラクション

          ハノイ中心部へのバイク乗り入れ禁止の計画について、まったりと考えてみた。 

          ハノイを含むベトナム国内の大都市で、渋滞緩和、大気汚染抑制に向けて国家政府主導でバイクの都市中心部への乗り入れ規制が将来実施されるらしいのだが、その計画が前倒しになるという報道が結構前にあった。 2025年といえば3年後、その間にバイクに代替する市民の足となるインフラ整備が急がれるのだろうが、それに因んで、以前、僕は以下のような記事を書いたことがあった。 今更クラ/サバ方式に集約するなんて時代に反しているのではないか?という趣旨だ。加えて言えば、排ガス問題はバイクの電動化

          ハノイ中心部へのバイク乗り入れ禁止の計画について、まったりと考えてみた。 

          AH1、東京とハノイを結ぶ道

          アジアハイウェイ(Asian Highway、AH)という名称の道路(網)があることは、世間にはあまり知られていないかと思う。これは日本を含めたアジア域内を張り巡らす道路網の総称で、現代版シルクロードとして国連が1959年に提唱して各国が参加している。ただし、AHとして専用の道路を造るのではなく、各国の既存の幹線道路をAHに割り当てるという発想である。 その中で、アジアハイウェイ1号線(AH1)は東京からイスタンブールを結ぶ東西の基幹路線である。もちろん対馬海峡にはトンネル

          AH1、東京とハノイを結ぶ道

          コロナのロックダウン。自然的境界でゾーニング(redzone指定)を始めるハノイ市の本気度

          ゼロ・コロナ策で徹底的に封じ込めてきたベトナムであるが、感染力の強いデルタ株には適わず7月頃から猛威をふるい、南部ホーチミン市周辺で急激に感染が拡大した。ハノイ市は感染者数は多くて100人強/日といったところだが、7月後半よりロックダウン(首相指示第16号による社会的隔離措置)に入り、現在も期限の延期を繰り返している。 現在の期限は9月6日までだが、感染者数が下がらない状況で、更なる延長となるが、今回はハノイ市域一律に最も強い「16号措置」を実施するのではなく、3つの区域に

          コロナのロックダウン。自然的境界でゾーニング(redzone指定)を始めるハノイ市の本気度

          「低い」=thấp【湿】から連想するハノイの地勢

          写真は、ハノイ市内のカウザイ公園(công viên Cầu Giấy)からの眺めだ。背後にはIT関連の新しいビルが建ち並ぶ。僕が勤め先からの帰り道に撮ったものだ(※現在はコロナの社会的隔離措置により出勤停止中)。 ハノイ市内には大小の湖(池・沼)が無数存在し、その由来は河川氾濫の名残りだということは、以前の記事に書いた通りである。 【ホン川の支川がハノイ付近で分かれることから、「○○デルタ」と呼ばれる経済圏の強みを考えた。】https://note.com/makinha

          「低い」=thấp【湿】から連想するハノイの地勢

          ハノイ市街に山手線を重ねてみた

          ハノイの市街地に東京の山手線の「輪っか」(図中の緑線)を重ね合わせてみた。 旧市街にありハノイの代表的観光地のホアンキエム湖(剣還湖、Hồ Hoàn Kiếm)に東京駅の位置に合わせると、僕はおおよそ新宿駅辺りに住んでいることが分かった。これは、個人的な距離感覚とも合っている。 ところで、人々(生活圏が東京の人)が思い描く東京駅ー新宿駅の距離感とはどういうものだろうか? 僕の場合、皇居沿いに進み半蔵門から新宿通りに入り御苑のトンネルを抜ければわりとすんなり着く、実は割と近

          ハノイ市街に山手線を重ねてみた

          ベトナム語発音問題・・・ヌクマムでもなく、ヌォックマムでもなく

          「水はありますか?」が通じないベトナム語では ”có nước không?” でいいはずだ。 ところが最近、商店で水を買おうとして、店員にこの様に聞いてみたが全く理解してくれなかった。水=ペットボトルに入っているもので、日本式に言うならミネラルウォーターだが、細かい事はさておき、商品に水があるかないかを尋ねたかったのだが伝わらなかった。 ”có ○○ không?” の構文は簡単かつ便利で、○○ありますか?と聞く時に使える。ハノイに来て2か月、店で探し物する時に何度か使

          ベトナム語発音問題・・・ヌクマムでもなく、ヌォックマムでもなく

          ハノイ <<<<< 東京 < ニューヨーク コロナ感染者の密度を比較してみた。

          画像は、ハノイ市、東京都(島嶼部除く)、ニューヨーク市(NYC)の3都市における、コロナ感染者の密度を表わしたものである。1つの点は感染者50人を表し、それを都市範囲内でランダムに点を発生させて作ったものだ。3都市とも同じ縮尺。(マップ作成:SuperMap GIS) 東京とNYCは真っ赤で点も何も無いように見えるが、東京の拡大図が示すように、拡大すると点の集合で構成されていることが分かる。この3都市を比べると、東京とNYCは同類で、ハノイがずば抜けて少ないことが見て取れる

          ハノイ <<<<< 東京 < ニューヨーク コロナ感染者の密度を比較してみた。

          靴の脱ぎ方とお箸の置き方とを同列に語ることはできるか?

          僕の仕事場では靴を脱いで上がる。(関連記事:昼休み外から戻ってきたら、皆ガチで寝ておった。https://note.com/makinhanoi/n/n570a08436824) 通勤時に履いてきた靴は下駄箱にしまい、お手洗いに行ったりちょっと外に出る時用に各々がサンダルを入口におくようにしている。日本の温泉旅館で玄関に下駄や草履が並べられているような感じ。 実際は、並べられているというか、ナチュラルな状態で脱いである(写真:左)。なお、建物内の他の会社も同様の状態だ。

          靴の脱ぎ方とお箸の置き方とを同列に語ることはできるか?

          ホン川の支川がハノイ付近で分かれることから、「○○デルタ」と呼ばれる経済圏の強みを考えた。

          ハノイの市街地には湖、というより、池がやたらと多い。 その周辺が緑化された公園として整備されて市民の憩いの場になっている。街のシンボルとしても名高いホアンキエム湖(還剣湖)もまたその一つだ。衛星画像からも、ハノイ周辺にはあまたの池が存在していることが分かる(画像中の濃紺の領域)。 ここまで池が多いのは、ハノイの東側を流れる大河、ホン川(Sông Hồng)が古来より氾濫して、流路の変遷を繰り返す過程で池として残されてきたためだ。これらは総じて河跡湖と呼ばれるものだが、中に

          ホン川の支川がハノイ付近で分かれることから、「○○デルタ」と呼ばれる経済圏の強みを考えた。

          P2Pなハノイ市民にとって、BRTや都市鉄道は不要ではないか?という説。

          ハノイには都市鉄道(軌道)がない。正確にいうと、構造物としては2A号線というのが完成しているが、不具合があり営業運行までには至っていないという。 一方で、BRTは2017年より運行している。BRTとは、Bus Rapid Transit、ハノイのBRTに限定して平たく例えて言えば「線路の無い路面電車」。道路中央側にバス専用レーンと停留所を設けたもので、速達性、定時性や頻発性のポテンシャルが高いが、軌道施設のような建設や維持管理費用を掛ける必要がないという利点がある。 今回

          P2Pなハノイ市民にとって、BRTや都市鉄道は不要ではないか?という説。

          真上の太陽

          文章書くなら写真は1枚のみ。写真を複数並べるなら文字はキャプションのみ。これがnoteのルールのようだ。どっちかにせえということだろう。ただどうしても2枚の画像を使いたかったので1つの画像に合体させた。note側のスタイリッシュにやってくれよという意図からすると、型破りな困ったやつかも知れない。 では本題へ。 5月22日晴れ。ハノイでは珍しく太陽が強烈に射している。正午頃、通りの街灯の柱(写真左)には、日陰がない。厳密にいうと、上部の湾曲した部分と側面の看板の真下にのみ日

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          初めてのハノイバス

          歩きは遅い、自転車は暑い、クルマは高い。ということで、ハノイ市民の足の最適解が必然的にバイクとなっているのだろう。 実際には、公共交通の路線バスもよく走っていて、コロナの影響かどうか定かではないが、意外と車内が空いているのを見かける。初乗り運賃7kVND、初乗りといっても25kmまでの料金なので市内はほぼこの一律料金で行ける。このコスパの高さよ。 乗り方は簡単。目的のバスが来たら手を上げて止めて、前から乗り、車掌からに目的地を告げて切符を買い、後ろのドアから降りるとのこと。 動画は今回初めて乗った時の様子だ。前から乗ろうとしたら運転手に指示されて後ろドアから乗り込んだ。どのバス停でも同様で、後ろドアだけを開き乗降客を捌いている。混んでいないので1つのドア扱いだけにしているのだろうか。 帰りはGrabを呼ぼうと思っていたが、バス停の所で丁度行きと同じ番号のバスがやって来たので、それに飛び乗って帰宅した。路線バスを移動手段の選択肢として追加することで、また一つ自由を手に入れることができた。 タクシーによる点と点を結ぶ移動では得られない利点が、路線バス利用にはある。まず乗る前に対象路線がどこを通るかを俯瞰する。乗ってからはどこを通っているかを車窓風景と併せて確認する。様々な路線を乗るに当たり、その無意識の作業を繰り返すことで、街を面的に捉えていくことができるだろう。

          初めてのハノイバス

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