【セルフライナーノーツ】#16. ばんゆう【Ancient_Collections】

早起き生活は思った以上に続けられているものの、日中の猛烈な眠さと敗北率の高さはどうにかならないものかと悩んでいます。遅れてきた「春眠暁を覚えず（ただし半日後に）」なのかしら。

20曲分の一挙リリースはみなさんにとって「たっぷり聴けてラッキー」なのか、「一気に聴くにはちょっと多いなあ」なのか、そういうところも気になる。主に今後の参考として、ねー。

・楽曲概要。

・1st Single「未来予報士」（2007.5）より
・作詞：中原万貴　作曲：小田貴音

・楽曲解説。

穏やかで大人なR&B風味の様相を呈したポップバラード。で合ってるのかなあ。笑　ゆったりした、極めて平和な曲だと感じていただければそれで良し、です。

この曲を解説する上で外せないのは、「作詞：中原万貴（100%）」。これに尽きます。とはいえ単に相方を賛辞する解説ではないですからね。笑

万貴音の楽曲はほぼ全て、最後は小田の手で行われています。これは結成当初から現在に至るまで変わらず。その中で、この曲の歌詞は100%が中原万貴の手によるもの。小田は悩んだ時のアドバイスこそすれ、一切の手を加えていません。多分、1%も手を加えなかったのはこれ1曲だけじゃないかな。

作詞って小節やエッセイ、またはこういったブログとは違う形で文字をまとめてストーリーを綴る力が必要だと思っています。例えば日記のように「こんなことがあって、自分はこう思いました」みたいな感じでは、なかなか歌の言葉にはなりづらいですからね（そういう曲ももちろんあるんですが）。「歌詞を書く」ということについて、当時は講座というか勉強会みたいなこともやっていたので、その流れで作られたものの一つだったのかなー。

歌い回しや音作りと同様、言葉にもかなり作者の個性が出ます。この時の万貴ワールドはかなり純度の高いポジティブな世界を感じてたんでしょうね。大変なこと、しんどいことはたくさんあるけど、それを含めて「幸せ」だと言えるモード。自分もいつでもこうありたいと素直に思います。

「未来予報士」が小田のかなりヒネた世界観なんで、それとの対比もかなり効いてます。笑　さらに深掘りするなら全体を覆うポジティブオーラなのに、最後は「気がする」で締める慎ましさ！笑　これ、今の相方を見てても「変わんないなー」と思う部分ですね。同時にゴリゴリのハッピーに振り切らないあたりが、なんだか万貴音のバランス感覚なのかなあ、とも感じます。

最後に、タイトル「ばんゆう」だけは小田がつけました。99％は「万有引力」からとったんだけど、自分にはなかなか出せない純度だったので、1%は「蛮勇」の意味合いを含めてひらがなにしたんでけど、今考えるとこの思考は蛇足だったなーと思います。シンプルな幸せを受け入れられない自分がいたのかなあ、当時は。。苦笑

・楽曲の特徴。

かなりスローテンポなアコースティックR&B風味ポップ。甘めの音色のエレキギターが意外に大人なプレイで絡んでくる、穏やかで平和な雰囲気のバラードです。

当時の機材や知識の限界でアコースティック寄りのアレンジになってますが、もうちょっとJ-R&Bに寄せたかったんじゃなかったかな。確かイメージはCHEMISTRYの「You Go Your Way」とかだった気がします。あとはフュージョンバンドの「Fourplay」の楽曲の手触りとか。あくまで雰囲気ですけどね。笑

メロディも楽曲の展開も、とにかく気持ちいい方向に進むのに任せてアレンジを組み上げていった記憶があります。ドラム、ベース、エレピの土台を作ったら、あとは歌を聴きながら「自然とそうなってた」系の楽曲制作。あっと驚く展開もないけれど、だからこそとても自然につながっていく感じというか。

サビや間奏でちょくちょく転調したりとか、意外にこだわってる場面も多いんですよ。なんだけど、終始スムーズに流れていく曲にまとまったなあと思います。売れ線のポップスを作ろうと思うと「ここでびっくりさせてやろう」とか「ここをもっと印象的に」とか仕掛けを作るんだけど、とにかくこの曲はナチュラル。ライブでバンドで音出すと気持ちいい曲なんじゃないかなあ。なかなかその機会が作れなかったのが残念です。

一度聞いたら忘れない強いメロディとか、「これが俺だ！」みたいな自分の王道とか、そういう面を全く考えずに作ったので、万貴音としては「カップリング曲だからこそ振り幅を広げられた」一つの結果なのかなあと分析しています。シンプルに綺麗だよね、この曲。

改めて思い返すと、「誰かのストーリーを自分が作品にする」ということを初めて形にしたのがこの曲なのかもしれません。今でこそ自分は色んなミュージシャンの音を作らせてもらっていますが、この体験が土台になってる部分は多大にあるんだろうな、と思います。

次回は#17「じゃんごーじゃんごー！」です。とうとうきてしまったか、万貴音の看板曲！どうぞお楽しみに。

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・アルバム「ノーマライズ」
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・アルバム「Ancient Collections」
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