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ニャンニングバック

ある日の待ち合わせで、僕は駅の改札で友達が来るのを待っていた。

そうすると一匹の猫が目の前を歩いてきた。
その猫は横を走ってきたバイクにびっくりして一目散に逃げようとするが、
向かう先は猫の身体を半分にしてもまだ太いくらいの柵がある。

僕は友達が到着するのを待ちながら、
その猫が柵をジャンプしてよじ登るのか、
曲がって逃げていくのかを見ていたら猫がとった行動にびっくり!
なんと、その猫は登ることも曲がることもなく、
自分の身体よりも遥かに細い柵の間を身を細めて
狭い柵の間をすり抜けて走り去って行ったのだ!

その姿はNFLで活躍するNO.1ランニングバックのように
狭い隙間をスルりと抜けて行くようで本当にカッコよかったし、
まるで朝飯前と言わんばかりな感じがこれまたカッコいい。
(あまりの凄さに鳥肌が立った!)とか思っていると、友達がやって来た。

多分、猫にとっては本当に朝飯前だと思うけど、
僕たちの日常とはあまりにかけ離れすぎて本当に衝撃的で、
技術者たちが蚊の針や、蜘蛛の糸のような生物の仕組みを見て、
世のため人のために技術転用させようと閃く瞬間に立ち会った気がした。


これは忘れもせえへん高校三年の夏のことや。
駅前にマクドが待ち合わせ場所で、いつもえげつない台数のチャリが路駐されてる。
友達は遅刻常習犯で、この日もいつものように遅刻していた。

ボーッと待ってたら猫がバイクの前を飛び出した。
僕は引かれたと思ったんやけど、猫は当たり前のように狭い柵と柵の間を
すり抜けて逃げてったんよな。

でも、これってある種普通というか、みんなのよく見る光景というか…。
せやねんけど、この時は自分でも感性が研ぎ澄まされていた時期やったから、
何気ない瞬間もものすごい衝撃的やった。

だから、こんなことでも強烈に覚えてる。

ちなみにNFLを例えに出したのは、
当時NFLにめちゃくちゃハマってたのもあって、そう名付けた。

ほんま日々をクローズに生きるかオープンに生きるべきかの大切さを学んだ瞬間。
どんな小さなことでも学ぶもんはあるんよな。

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