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学生イベントに自作のコミュニケーション促進のシステムを導入してみる

はじめに

こんにちはこんにちは、@makiartです。

みなさん、イベントで全く知らない人と喋る機会ってどれくらいありますか?「しゃべってみたいけど、話しかけるのむずい、、、」と感じることも多いのではないでしょうか?
私も話題がないと話しかけることに躊躇してしまいます。こういった話しかける勇気やテクニックというのは数をこなしていくことで慣れていくものですが、できれば初めっからできるようになっていると嬉しいものですよね。。

この記事では、筑波大学の学生である私が所属する学生団体のTEDxUTsukubaが5月に開催したイベントのために自作のコミュニケーション促進システムを開発、導入してどのような結果が得られたのかという振り返ろうという記事です。

イベントSpeakerセクションの様子

対象読者

▪️学生イベントに関わる方
▪️学生イベントに興味のある方
▪️IT技術のイベント適用に興味がある方

今回は学生イベントにITシステムを導入することによって得た体験、そして問題点について扱います。また、深くは触れませんが、このようなシステムを開発する上で個人的に思う重要な考え方についても述べたいと思います。

学生イベントでのコミュニケーション促進は、参加者の満足度を高め、イベントの価値を向上させる上で非常に重要な要素です。しかし、それを実現するのは簡単ではありません。IT技術を使ってこの課題にアプローチしてみました。この取り組みが、同じような悩みを抱える学生イベント運営者の方々に少しでも参考になれば幸いです!

TEDxUTsukubaとは何?

TEDxUTsukubaは簡単にいうとTEDから派生した筑波大学版TEDです。

TEDxイベントはTEDのようなトークやパフォーマンスが地域別コミュ ニティに共有される集まりです。TEDxはコミュニティごとに完全に計画されており、各イベントのコンテンツとデザインは個団体が作り上げております。TEDからのライセンスの下で自主的開催されていますが、 それらはすべて共通の価値観でつながっております。

上記のYouTube動画は去年のTEDxUTsukubaの発表の一部です。(特務機関NERV防災アプリで有名なゲヒルン株式会社の代表取締役 石森大貴さんによる発表)

ぜひ一度動画を観てみてください🙌

毎年、100人規模のイベントを開催していて、イベントでは複数のSpeakerによる発表に加えて、ワークショップやアフターパティなどのセクションによって構成されています。

今年も12月あたりでの開催を予定しています!興味のある方はTEDxUTsukuba | Peatixからフォローしていただくとイベント開催の通知が流れるのではないかと思います!

(この記事ではメインイベントではなく、今年の5月にTEDxUTsukubaが開催したSalon「Evolve, don't Revolve」といういわゆるミニイベントで、システムを導入してみて得た知見について述べています)


導入の経緯

コミュニケーション促進システムを導入することになったのは、TEDxUTsukubaが主催するSalonというミニイベントがきっかけでした。

Salonは、本イベントとは違って、数十人規模の小さなイベントです。私は以前から、本イベントに向けて何かシステムを開発し、導入してみたいと考えていました。(実は去年のメインイベントでは翻訳システムも開発して、実際に参加者の方に使ってもらってました。この話もいずれNoteに書くかもしれません。)

そこで、Salonという場で何か一つシステムの試験的に導入してみようということになりました。ちょうどSalonのテーマが「Evolve, don't Revolve」(進化しよう、繰り返すのではなく)であったことも、新しいことにチャレンジする理由づけになりました😊。システムの開発に際して、まず目標を「参加者同士のつながりを可視化し、コミュニケーションを活性化させること」に設定しました。この目標は、TEDxUTsukubaのスローガンである「Spread Globally, Connect Locally.」(グローバルに広げ、ローカルでつながる)にも合致するものです。

「参加者同士のつながりを可視化し、コミュニケーションを活性化させること」というようにシステムの目標を設定したうえで、何を持ってつながったことにするのかという部分について考えてみました。

ただ、すれ違う。相手のコードを読み取る。だけでは、何もコミュニケーションは活性化できないと思います。そこで、このシステムでは、つながる相手に関する情報を聞き、それを入力することでつながるという仕組みを採用しました。
実際には、登録の際に自身に関する三つの質問(小さい頃の将来の夢は?など)をして、つながる時には相手の三つの質問が問題として出されるという形式にし、相手からその答えを聞くというようなフローでつながるというようにしました。

自作システムの概要

今回、開発システムの特徴としては以下の三つが挙げられます。

  1. リアルタイムでのネットワーク可視化:参加者同士のつながりがリアルタイムでグラフ上に表示され、イベントの進行に合わせてネットワークの成長を見ることができます。

  2. QRコードを用いたつながり機能:参加者は自身のQRコードを他の参加者に読み取り、相手についての情報を聴いて入力することで、つながりを作ることができます。

  3. 簡単なユーザー登録:参加者は自分に関する3つの質問に答えるだけで登録が完了し、メール認証などの必要なしにすぐにシステムを利用できます。

利用者画面
リアルタイム可視化のデモ(つながった時にアニメーションをだすなどをしている)

技術的な話

このシステムを開発自体はそこまで多くの時間は使わないように、意識して開発しました。

技術スタックとしては、
Nextjs / Firebase / Cloud Run / Cloud Build / shadcnui
というシンプルかつ、低コストで開発、ホストできるような形にしました。
(最近はFirebaseよりもSupabaseとかのSQL系の方が流行っているんですかね?)

ちなみに、このシステムは私だけでなく、ほりゆにも開発を一部手伝ってもらいました!(感謝!)(私と同じく高専→筑波編入の民)

私がシステム導入までに気を使ったこと

私は、システムを開発、導入するまでにあたって、「いかに少ない労力でインパクトを出せるか、どこで手を抜くか」という風に考えながら進めました。
私は基本的にはこだわりたいところは満足するまで時間をかけるという元高専生特有の性質があるのですが、このシステムを開発し、導入して得たい結果は自身が満足したものを提供することではありません。このシステムの利用者にとっての体験を最大化することです。(当たり前ですが)
ですので、私は利用者にとっての利便性をよくするため、メール認証などの必要なしに登録できる仕組みであったり、利用者のインタラクティブ性を強調させたりするといった部分をいかに早く達成することを考え実装を行いました。
そのため、一部分では、悪意のあるユーザーがいたずらできるような状態であるような箇所はいくつかあります。しかし、そういった問題をカバーすることよりも体験を最大化することに注力したことで短時間で利用者にとって価値のあるものを開発することができました。
(セキュリティが体験に直結することもありますよね。銀行のシステムが表面的な体験を重視して、セキュリティを雑にしていたら、、、いずれ、利用者体験はマイナスになるでしょう。。)

システム導入の振り返り

実際にリアルタイムでネットワークがイベント会場で可視化されている様子

参加者がシステムを利用するまでのオンボーディング

イベント当日は、参加者の名札の裏に開発したシステムのURLをQRコードに載せて、利用する際には、私がアナウンスして自身のスマホで読み取ってもらい参加登録をしてもらいました。

システムのビジュアライザーは会場のスクリーンに表示して、参加登録が完了するとスクリーンにアニメーションが表示するようにして、ユーザーとのインタラクティブ性を強調し、登録を促進するようにしました。

登録時には三つの自身に関する質問に回答してもらうのですが、この質問はランダムでピックアップされます。時には答えにくい質問もあるので、各質問は再度シャッフルできるような設計にして、登録までをスムーズに行えるようにしました。

参加者同士がシステムを利用してつながるまで

参加登録ができたら、次に参加者同士でつながってもらいました。
はじめは、つながる方法が不明瞭で、ハードルが高いので、ワークショップのグループにちょうど固まっている状況であったので、そのグループ同士でつながる体験をするようにし、事前に方法をしっているスタッフ同士ともつながってもらうなどして、どうやったら繋がるのかというのをすぐに理解できるよう工夫しました。

そのあとはアフターパティ(交流会)で自由に参加者やスタッフでつながってもらいました!

つながった時にもスクリーンではアニメーションなどでインタラクティブ性を強調し、だれが一番つながっているのかなどを適宜実況する形でシステムの利用を盛り上げました。

一つ反省としては、どんな状況であっても問題なく使えるような仕組みであったり説明を考えることをより深くやっておけばよかったという点です。
私はこのシステムの認証の仕組みとしてローカルストレージにトークンを保存する形にしたのですが、SafariやChromeの設定によってはそのトークンがページを開くたびに消えてしまうような設定にする人も一定数おり、その設定だと繋がろうとした時にユーザー情報が失われ、再度参加登録しないといけないといった問題が発生しました;;その人たちに対しては回避方法を個別でお伝えして、参加してもらうという風に対応しました。

参加者のネットワーク形成タイムラプス

ビジュアライザー

私は、このシステムを導入する前は、
「2,3つくらいのクラスターができる様子がリアルタイムでわかるはず!」と思っていました。

が、実際には上記の通り、結構参加者の人たちが面白がってくれて、いろいろな人と繋がってくれました!そのことは大変嬉しいと思いつつ、ビジュアライザーではネットワークが複雑に絡み合い、パッと見た時になんだかよくわからない複雑さが強調されるような形となってしまいました笑
これはこれで味があっていいとは思いつつ、もう少しビジュアライザーを工夫して、参加者がWowと思えるような見せ方ができるといいな〜というのが今後の展望です😊

多言語対応

私たちTEDxUTsukubaはスピーカーとして日本語話者だけでなく、英語話者も積極的に登壇していただいています。同様に、参加者も日本人だけでなく、海外の方にも参加していただいています。

今回、システムを導入したイベントにも海外の方の参加をしていただいており、このシステムも多言語対応したいところだったのですが、今回は時間的な制約で対応することができませんでした;;(メインイベントまでには対応したいですね!)

もう少し、多言語対応については次回以降意識して取り組みたいなと感じています。。

全体の雰囲気

全体としては参加者同士で積極的にこのシステムを使ってもらえました!本当に参加者が分け隔てなく繋がる状況を可視化でき、会場を盛り上げることができたのではないかと思います。
私自身も、参加者の方に話しかけやすくなり、話題もこのシステムによって聞き出すことができるため、とても役に立ちました。

まとめ

学生イベントに自作のコミュニケーション促進システムを導入したことで、参加者同士の交流が活性化し、イベントの価値が大きく向上しました。この成功体験を通じて、テクノロジーの力で課題を解決することのインパクトを改めて実感しました。

学生イベントは予算や資源の制約から、しばしばマンパワーに頼らざるを得ませんが、そのような状況下でこそ、ITスキルが大きな価値を発揮するのです。近年、無料で使える自動化ツールやローコードツール(ZapierやGAS)が数多く登場しており、それらを活用するだけで学生組織の生産性は大きく向上すると考えられます。
そのため、学生組織に方には、ぜひITスキルを身につけることをおすすめします。
中でも、Webやアプリ開発の知識を持つ学生は、その技術力をお金を稼ぐためだけでなく、サークルなどに対してもその技術力を発揮してみてください!(ちなみに、TEDxUTsukubaではイベントを盛り上げるためのシステムをはじめとするあらゆるシステムの開発に協力してくれる筑波大生を募集中です!

今後は、余力があればこのシステムをさらに発展させ、メインイベントにも応用していきたいと考えています。もし、TEDxUTsukubaのイベントに興味をもってくれた方がいればX(Twitter)、Peatixのフォローをしていただけるとイベント情報についてお知らせすることができますので、ぜひ!


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