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ウーマンインバトル!

半分お仕事、半分プライベートで、家族と地元の「大谷記念美術館」に行ってきました。
日本庭園がとてもきれいで、庭園を散歩できるのもお気に入りポイント。ところどころオブジェが隠れていたりして、かわいらしさもあります。

私はきれいなものを見るのは好きですが、特に高尚な趣味はなく、子どもの頃もアートに親しんできたわけではないです。絵画教室に行っていたけれど、白い画用紙を渡されて「何を書いてもいいよ」と言われるのがとても苦手でした。毎回とりあえず同じ絵を書いていました。太陽と、雲と、家と花と草木みたいな。

子どもがスペインの幼稚園に行きだして、アートはぐっと身近になりました。公立の中でも人気のない幼稚園でありながら、アートがアートっていうなんかおしゃれで背伸びしなきゃだめなカテゴリーじゃなく、普通に自然に取り入れられていたんです。

中学まで一貫の学校で、毎年その年のアートのテーマが決められます。ちなみにうちの子が3歳の時は「ジョアン・ミロ」というバルセロナに美術館もあるスペインの画家、4歳は「ピカソ」(もバルセロナに美術館あり)、5歳はメキシコの「フリーダ・カーロ」でした。

で、単に美術館に連れて行って見て終わり!というのではなく、親に「今年のテーマはミロです。関連する書籍やモノなど持っている方は貸してください!」とお知らせがあり数カ月、その年齢の子どもに合ったやり方で、イントロデュース。歌やお話でどんな人だったか、何をした人が学んだり。塗り絵をしたり、本を見たり。

そんなふうに十分馴染んでから美術館へ。そこには子どもに特化したプログラムがあるから学芸員さんが見るだけじゃなく楽しませてくれます。

それから、またしばらく関連する絵画の塗り絵をしたり、各自本などを見ながら絵を書いたりし、それを教室に貼って、親が子どもを教室まで迎えに行く日に展示会も兼ねる、といった感じです。

子どもたちが描く絵のオリジナリティや色使いの自由度に圧倒され、見ているだけでとても楽しかった気がします。

うちの子も絵を描くのが好きで、学校が終わった後は、学校前広場でみんなでチョークで床に絵を描いて遊んだり、寝る前はベッドで絵を描いていました。

そんなふうに子どもにとっても絵は好きなことで、表現する手段であり、ストレス発散でしたが、日本に来てめっきり遠い存在に。親の私の影響で、子どもに大事にしてほしいことを日本でも探して与えられる状況じゃなかったことが原因だと思います。年長の後半で入った公立の幼稚園では「どんぐり家族の絵を描こう」みたいな……。それはそれでかわいいけど。

一筆描きでダイナミックに動物を描き、好きな色を思いっきり塗っていたはずでしたが、今ではゲームに出てくる戦い系のものばかり描くようになってしまいました。近未来と言って、四角く黒っぽい建物描いたり。

もったいない。そして潰してしまったのは私だなと反省しても反省しきれない。これが今のうちの子の好きなことなんだから、それを描くのは仕方がないと受け入れるしかないと分かっていても、せつない気持ちになります。

そんな中行ってきた展覧会は、「イタリアボローニャ国際絵画原画展」。開くだけで素敵な絵本に囲まれて暮らしたいわ~と思っている私ですが、子どもはサーッと見て「本を買え!本を買え!」ともーうるさくてゆっくり見ていられない……。

素敵な絵本を買うんだから、まあいいか!と思い、「好きなの選んでいいよ!」と言ったら、選んだのが「ウーマンインバトル」という、漫画風のイラストの本。字が小さいし漢字多いし、なにしろ「こんなん意味分かるんかい?小4で」と思う内容の本です。

女性の権利のために戦った世界の歴史上の女性たちを漫画風に紹介してある本です。選挙の投票権や社会主義など思想の自由、妊娠出産等、いろんな権利のために戦った女性たちのお話です。

私はたまたまブレディみかこさんの「女たちのテロル」という本を読んだことがあり、女性の権利のために戦った人たちのお話には興味がありましたが、こんなの子どもが読んで面白いと思うのかな~というか、分かるのかい?と疑問でした。「この人めっちゃ喜んで、これがいいと確信して選んだけど、たぶんなんか勘違いしてるわ」と感じていました。

絵本原画展のめちゃくちゃかわいく素敵な世界の絵本がたーくさん販売されていたなかで、なぜか。めちゃくちゃ思想強い母親が子どもを誘導したみたい。

この本を選んだのは、勘違いは勘違いだったらしいです。戦いゲームが好きだから「バトル」というタイトルに惹かれ、まさかのジャケ買いというわけで。

だけど、しっかり読んでそこに書いてあった内容をちゃんと理解できていたからめちゃくちゃ驚きました。フェミニスト男子が勝手に出来上がりました!

日本で女性の国政参加が認められたのは1945年。本には書いていなかったけど、権利を勝ち取るまでにいろんなストーリーがあったことでしょう。

息子には、私が選挙に行かなかったことを怒られました。

「だってこの人!と思う人がいなかった」

と言ったら、「それはママが最初から、どーせみんないいことしないって思っているからでしょ」と切り返されてしまいました。

そうだね、そうかも。

本の中のぎくりとする言葉。

行動しない人間は、自分が鎖につながれていることにすら気づかないーローザ・ルクセンブルグ

いやほんと。

子どもの成長が思ったより早くて、焦ります。私を含め大人に対する気づきも時に辛辣で、子どもに見せたい未来を自分を通してまだ見せられていない焦り。大人になるのは楽しいよ、世の中悪くないよ、自分次第でいくらでも楽しくできるよって、感じてもらいたい。もう少し、待ってほしい~と思いつつ、ローザさんの上の言葉を自分につぶやいときます。


性別、年齢、国籍とか関係なく。自由で自立した、あなたらしいジンセイ、選びませんか?思うところいろいろ書いています。フォロー、スキ、サポート感謝です!