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往復書簡/S➡️N/2022年11月1日

ウニスカ 様

こうして往復書簡を始めて
ちょうど1年になりますね!
懲りずに、続けて下さって、ありがとうございます!

実は、先月、届いたお手紙を読んで
私は、嬉しかったんです、とても。

その理由が、何なのか?考えながら
何度も読み返してみたら、3つくらいありました。

1つ目は
「シアワセ」の感じ方は、人それぞれですが
ウニスカさんの、まさに、そのポイントに、変化が現れた気がしたんです。
それが、どこか、私が、ずっと、共有できたらいいな、と思っていた感覚だったから。

2つ目は
ウニスカさんが、日々、考えたりしていることを、メモするようになって
それらを、お話や、短歌に投影されていること。
それが、何で、嬉しいのか?
例えば、ご自身で、マイナスに捉えてしまうことも、そうして消化したり
プラスに変換できるような、道筋が出来たのかな?と感じたから。

3つ目は
コラボイベント
UNIMAKIZINE2022が終わって
それから、私の身内で、いろいろあったこともあり
イベント開催までの準備、会期中、直後、座談会あたりまでとしたら
確実に、水面下でのやりとりは、減りましたよね。
でも、何も無い状態では、決してなかったと思ってるんです。
一つのコラボを成し遂げた同士という
ポジション?
それまでに感じてきた、疑問や、腑に落ちないことについて
オープンにできたことで、ウニマキの相方としての形が
ようやく出来上がった気がして。
それは、それまでのように
頻繁に、言葉を交わさなくても、大丈夫!
ちゃんと繋がってる!みたいな
安心感のようなものだと。

それぞれの日々の中で、重ならなくても
互いの、それまでの言動に
答え合わせするような場面が訪れたりして
想像したり、体感したり。
これまで割愛されることが、多かったのに
先月は、私の視点を想像して、考えてもらえたことが、嬉しかったようです。

とくに、写真の件。
それぞれの道がある中で、同じ場面に居合わせることは
やっぱり、すごい奇跡の瞬間だと思っていて。
次に会えることなんて、保証されていない。
だから、その瞬間を大切にしたくて
写真を撮って残しておきたくなるんです。
後から見返すと、思い出せるでしょう?
その時の感情や、どうかしたら、匂いや、音楽も。
平面の四角い中に、しっかりと詰まってる。
ウニスカさんが、写真嫌いなことも知っているので
強要しませんが、毎回、確認すると思います。

あと、やりとりの減少は
いろいろあった私への配慮かも?と思ってましたよ(笑)

忘却については
私も、危機感を感じていて
スケジュールに関しては
とうとうアプリを活用するように。
そうしないと、ほんとに、やばいです(笑)

そういえば、ウニスカさんのお話に出てきた
「白いものがポツポツと」
それが、まだ、無いことも、私たちの共通点でしたね!
私は、いつの頃からか「金髪」への憧れがあって
家族にも、やってみたい!と宣言してるんですが
それをキッカケに、髪が傷んだら嫌だなと思って、出来ないまま。
白いものが目立ち始めたら、それを前向きに受け止めて
金髪、或いは、それに近い色に、してみたいです。
自営業だから、できることなのかも?

さて、頂いていたお題は
「紅葉、焼き芋、冬支度」

ウニスカさんのお話も、近頃、チャレンジされている短歌も
やっぱり、本屋さんだし、これまでにも、たくさん本を読まれていて
様々な文章に触れられてるし、言葉を知ってらっしゃる。
お上手だなって、嫉妬しそうになります。
でも、今回は、素人なりにも、アプローチの仕方を変えて
チャレンジしてみました!
お話を考えるって、ほんと、老化防止に、いいかも!



『 カモフラージュ 』

ピーンポーン。
「宅配便でーす!」
「はーい。」
「重たいですよ、大丈夫ですか?」
「じゃあ、中まで運んで頂ける?」

今年も届いた、段ボールいっぱいの、さつま芋。

もう、11月かぁ。

「 野辺秋映 様
 お元気でお過ごしでしょうか?
 今年も、我が家の畑で採れた
 かわいい子たちをお送りします。
 これから、一段と気温も下がるようです。
 お互いに、健康第一で。 洋子 」

相変わらずの達筆。
便箋の右下には、紅葉も描かれている。

早速、3つ、洗って、アルミホイルを巻き
フライパンに転がして蓋をして、弱火にかける。

「ピーッ、ピーッ、ピーッ、、、」
今日は、朝から、3回目。
晴れてるうちに、冬用の掛布団カバーを洗いたかった。
洗ってくれるのは、ありがたいことに、洗濯機だけれど。
2階のベランダに干しに行く。
斜面地から見下ろす景色にも、赤く染まるところがチラホラと。
秋晴れの空は、気持ちいいし、洗濯したての
洗剤の香りは、ちょっとしたご褒美のよう。
こんな、ささやかなことに、シアワセを感じられるようになるなんて。

そうだ!
洋子に、連絡しないと。
幸い、二人とも、スマホが使えることで
いつでも、繋がっている気がする。

「さつま芋、届きました。毎年、ありがとう。」

もう何年になるだろう?
毎年、誕生日の11月に、届くようになったのは?
始めは、絵手紙だった便りが、いつのまにか
「さつま芋」まで。

自分の年は、すっかり、忘れてしまいそうになるけれど
10歳になる孫の年だけは、1年、1年、
しっかり見届けている気がする。

布団カバーは、乾いた後も大変。
内側の四隅と長辺の真ん中に
掛布団が中で偏らないようにと
取り付けられた紐を一つ一つ結んで
ファスナーを閉じ
短辺の両端を持って、何度か煽り
中と外を、なじませる。
これを、夫の分と、事情により、うちで預かっている孫の分と
3人分やるのか、と思うと、少し、気が重い。
自分より大きいものの扱いは、億劫だ。
そして、その一連の作業に、夫は気付かない。

「ただいまー!もみじ、いっぱい、拾ってきたよー」
「おかえり!」
「なんか、甘い匂いがするー!」
「おぉ、また、洋子さんから届いたのか」
「そう。ちょうど、もうすぐ焼けるわよ」

夏休みでも、冬休みでもない、この秋の平日の午前中に
夫と孫、二人して、公園へ出掛けることが習慣になっている。

「見て、見てー!もみじの色!きれいでしょー?」
「あら、ほんと!」

大判の、らくがき帳を広げると、糊を使って
器用に、1枚1枚、貼っていく。
ちょっとした色の違いを、グラデーションになるように。
その感性は、誰に似たのか?

「さぁ、焼けたわよ!食べましょ!」
あつあつの焼き芋。
皮に、ところどころ、蜜が滲み出ていて
指にまとわりつく。
半分に割ると、中は、地味な外側の印象を裏切るような黄金色で
白い湯気さえも、甘さを纏っているように、優雅に立ち昇る。

「わー!あまーい!おいしー!」
「ほんと、いつも美味しいなぁ、洋子さんとこのお芋は!」
「愛情込めて、いや、土壌はやせてた方がいいって
 言ってたわね、たしか。」
「洋子さんって、だーれー?」
「おばあちゃんの、昔の友達よ」
「結婚前のOL時代からだったか?」
「そうね、もう45年になるかしら」
「あぁ、タンスの上の、あの写真に写ってる?」
「そうそう、3人で写ったあの写真に写ってるわよ」
「おばあちゃんの、隣の、この、ワンピースの人?」
「ふふふ、そうそう。」
「この人は?」
「陽子の旦那さんの洋平さん。」
「そういえば、結婚式には、いらっしゃれなかったんだよな?」
「そうねー、出産で里帰りしてた頃で、、、」

紅葉って、葉の老化反応だと、洋平さんが言っていた。
同じ1本の木に、青々と茂る葉。
その一枚一枚は、陽の当たり方の違いから
それぞれのタイミングで、葉緑素が分解し赤くなる。
それでも、みなが通る道。

私のシミだらけになった顔も手も、「紅葉」だと思えば
愛おしくもなる?

戒めのように飾ってきた写真。
一人では、抱えきれないほど、大きな苦しみも
些細なことと、笑えるようになった?

遠く離れた所に居ても
どちらかが、忘れてしまうまで
この世を去るまで、続いていく生存確認。

繋がっている安心感が、支えだった。

秘密は、秘密のまま、この先もまた、月日を。

さて、来月は、もう12月ですね!
3人で対談させてもらった日が
とても遠く感じるのは
この1年が、濃かったからでしょうか。

次のお題は
「師走 カレンダー 大晦日」で
お願いします!
あえて、クリスマスを外してみる(笑)

makijaku


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