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Vol.2【M-1グランプリ2020予想完全版】


今年もM-1の季節がやってきました。R-1ぐらんぷり、キングオブコントと並びお笑い好きには欠かせない三大賞レースの大トリを飾るM-1グランプリ。例年はTwitterで勝手に個人審査しているのですが、折角youtubeやnoteをやっておりますので、その媒体を拝借してやってみようかなと。そしていつもは決勝戦と敗者復活戦だけを見て、知識ゼロのフラットな状態で楽しんでいるのですが、今年は準決勝前に決勝進出者を予想してみました。動画の中だけでは流石に全ての思いを伝えることは難しかったので、ここに私の予想完全版を記したいと思います。尚動画内ではガチ予想と宣ってはいますが、所詮素人の意見と軽いお気持ちでご覧いただければ幸いです。

GyaO!で配信されている2回戦動画を、準決勝決定メンバー分をチェックしたうえでの個人採点となります(ワイルドカードはこの記事を書いている時点で未発表の為除外)ので、読者様の感想とは限りなく相違があるとは思いますが、何卒ご容赦下さい。

アキナ  75点

正直アキナはジャルジャルと並ぶ西のコント職人といったイメージが非常に強いです。ジャルジャルはキングオブコントで優勝したし、M-1でも最終決戦まで残った実績がありますが、次はアキナがそうなっても全然可笑しくないと思っています。実際M-1でも2016年では決勝進出を果たしている訳ですし。ですが今回の「なんも思わん」を繰り返す天丼系ネタは、彼ららしい突飛な発想こそ感じれど、そこに漫才という会話を楽しむ余地はありませんでした。準決勝まで来たという事は、今以上これ以上に質の高いネタが控えているのだと思えて、むしろ楽しみです。

コウテイ  79点

彼らも今年は第8回ヤングスネーク杯優勝、第41回ABCお笑いグランプリ優勝と、賞レースを2つも獲得。私自身もABCは見ましたが、いい意味でバカ・バカ・バカのオンパレード。後述しますが、好き嫌いのはっきり分かれる、客を選ぶネタは嘗てのザコシショウやサンシャイン池崎を髣髴とさせます。確かに漫才としての目新しさ、馬鹿馬鹿しさでは群を抜いていますし、ボケのワードチョイスにもセンスが凄いんですよね。でも、これが漫才としてキャラクターとしてお茶の間に浸透するかと言われるとまた別の話。

ロングコートダディ 80点

【漫才コント】というジャンルは今でこそ主流派ですが、あくまでも【コント風の漫才】であり、コントの設定を漫才形式に落とし込むには少々違和感を感じることが今でも少なくありません。ロングコートダディのコントは独特な雰囲気や設定が大いに好みではあるのですが、その設定や世界観に溶け込めなければ終わりという【コントネタあるある】が漫才においてもそのまま如実に現れているような気がします。昨年の敗者復活戦ネタ【てんぷらと合コン】も、コントとしては最高、漫才としては違和感という感想でした。ここに【非日常の中の日常】であるコントと、【日常の中の非日常】である漫才の違いを感じたのです。

ランジャタイ 80点

昔テキストネタを評価する時に、【有名人ネタはその素材に頼りっぱなしではしんどい】という風潮がありました。タレントの固有名詞を出すことで生まれる笑いはあくまでそのタレントさんの力であり、ネタそのものの評価にはならないという事。寧ろその素材をないがしろにするようなパターンもあるわけです。今回彼らは2回戦で谷村新司というパワーワードを軸にネタを披露していましたが、それは彼ら自身の個性が光るネタではなく、ただ谷村新司という偉大なミュージシャンのイメージに乗っかっただけという評価になります。

ウエストランド 81点

去年から【優しいお笑い】というキーワードがお笑い界に侵食し始め、その代表例がぺこぱであれば、旧態依然の笑いの代表例は彼らになるのではないでしょうか。爆笑問題を筆頭とするタイタンという事務所の芸風(失礼)とも受け止められますが、コンプライアンスの厳しい昨今彼らやニューヨークの毒のあるネタが求められるのもまた事実。魚料理だけでは飽きますもんね。そういう意味ではこのウエストランドというコンビに大きく期待しているのですが、今回は時代の波に押されているのか少々個性が弱く感じました。

キュウ 83点

こういう視点があったのか、と唸らされた今回の【色】に纏わるネタ。最初は淡々と馬鹿なボケを繰り出すのみなのかな、と思わされるも後半にかけてツッコミの魅力がぐんぐん増すんですよ。ここにネタの全体がもっと味濃く彩られたら、本当に決勝まであったんじゃないかと思いましたね。漫才はしゃべくりの勝負だと思っていますので、そこに会話の妙があるか無いかでは大きく違います。彼らの更なる進化に期待したいです(偉そう)

東京ホテイソン 84点

たけるの備中神楽ツッコミもだいぶ世間に浸透してきた今日この頃。最初の内はこのツッコミありきにしか見えなかったネタも、段々とボケを引き立てる相乗効果が見受けられるようになり、彼らのネタ時間が短く感じるほど。ですが時たま出る【2歩先を行くツッコミ】は、その後の説明に載せる事で漸くその意味を理解させる所が難点。備中神楽が見どころならその台詞でボケを処理しないと、ツッコミそのものが被せボケになり笑いのテンポが遅くなるシーンが散見されました。とはいえ今年は決勝が射程圏内にあるだけに、その期待度も嫌が応にも高まりますね。

祇園 85点

遂に桃太郎にもコンプライアンスの波が押し寄せてきましたか。これが漫才のネタの範囲で収まるのならいいのですが、現実問題そうなりそうだから怖い世の中ですよね。着眼点もいいし笑いのポイントもしっかりと抑えている良いネタだとは思うのですが、決勝に選ばれるかどうかといわれるとボーダーライン。木崎は何となく元ビッキーズで現在吉本新喜劇座長のすっちーを思い出させる雰囲気があるのですが、個人的に彼らは全国区のバラエティに出てきて欲しいですね。キャラありきと思いきやネタの完成度が文句なしですので、そこに何かもう一つ大きな笑いが来ると一気に行くんじゃないでしょうか。その何かは私では分からないけど。

滝音 85点

あくまで今回のネタは、という事なんですよね。滝音のネタでいえば【ペット】は個人的に大好きなんですよ。象の特徴を鼻以外で説明するボケに対し、【三軍】というキラーワードを載せられるツッコミ方に魅力が凝縮していると思っています。今回は先述の谷村新司ほどではないにせよ、BUMP OF CHICKENというワードに頼っている部分はあったんじゃないかと思うと、彼らの面白さがフル満タンでは伝わらないのではないでしょうか。

カベポスター 86点

正直な話今回が実質初見(ABC決勝の時は殆ど記憶にない)の気持ちでネタを拝見しましたが、これは3分弱で収まるようなネタ構成じゃないだろと思い、後日第9回関西演芸しゃべくり話芸大賞決勝のネタを拝見し、そこでやっと彼らの真髄に少しだけ触れることが出来たような気になりました。薄めの個性に独特な雰囲気、天丼加減にもしっかり加速度があり、ファンが急増しているのも納得です。今年のM-1で決勝に進出するかどうかは審査員次第でしょうが、できる事なら個人的にはもう一伸びした後に決勝進出し、そのまま優勝を掻っ攫ってほしいですね。

マヂカルラブリー 87点

野田クリスタル大爆発。どこの世界に【毒爪】だけで一本ネタ作ろうなんて考えるお馬鹿さんがいるのか、とまで思わせる程オリジナリティ溢れ、且つ笑いどころもしっかり用意されたネタ。オチやボケが皆分かりきっているのに笑ってしまう雰囲気を醸造できるのは今の若手では彼らとぺこぱ位のものではないでしょうか。後は上沼さんに忖度するかどうか。どっちの意味でかと聞かれると『さあ?』ですけど(笑)

錦鯉 87点

なんだろうこの懐かしい感じ。たぶん私が勝手にボケの長谷川とBOOMER伊勢を重ねてみているせいかもしれません。つまりはボケ・長谷川のバカキャラ一点突破のネタ構成。ツッコミの渡辺にもう一つ何か個性が乗っかれば、このコンビは名実共に輝ける中年の星になれるのではないでしょうか。私ですか?好きなんですよこういうオールドスタイル漫才。この令和の時代にこのタイプの漫才は貴重だと思います。

ニッポンの社長 88点

色々と今一番勢いのあるコンビかも知れません。キングオブコントのケンタウロス&ミノタウロスのネタは多くの人に衝撃を与えた事でしょう。そんな彼らの狂気は漫才でも当然の如く体感できます。ここで面白いのはネタによってボケとツッコミが変わること。この臨機応変感が彼らのネタ作成に大きく幅を持たせているのでしょう。ネタによってやり易い、やり難いが生まれるのは至極真っ当な事でしょうから。ちなみにwikiを見たら辻は電気グルーヴファンの模様。嗚呼そうかと凄く納得がいきました。電気ファンならケンタウロスの意味も分かるでしょう。私もそうです。何せピエール瀧の釈放時にその格好でやってくるファンがいたくらいですから。

金属バット 88点

ウエストランドやニューヨークのネタを毒と称するなら、彼らのネタは劇薬。好き嫌いのはっきり分かれるネタを織りなす彼らが、今回は比較的マイルドなネタで勝負をかけてきたように見受けられます。ですがそこはやはり金属バット。マイルドな中にもしっかりと個性を盛り込んでくる辺りは見事ですね。大衆ウケを意識した時は彼らが死ぬ時なのではないかと危惧したこともありますが、いらぬお世話だったようです。

おいでやすこが 88点

ピン芸人のおいでやす小田とこがけんによる漫才ユニット。一躍ダークホースに迄躍り出るあたり、流石の実績と感心します。小田のキレ芸にまったりしたこがけんの雰囲気が良い化学反応を起こしたのでしょう、初見の不安を吹き飛ばしてくれました。元々歌ネタはこがけんの土俵なので、あとはネタのチョイスが審査員に刺さるか否かの分岐点しかないと思います。

学天即 89点

準決勝進出者唯一のラストイヤー。もはや風格さえ漂わせるその漫才に付け入る隙があるとすれば、安定感があるが故の決定打不足なのではないでしょうか。とはいえ今回私が採点しているのはあくまで2回戦のネタ。彼等位になれば2回戦で手の内を見せるような真似は無いでしょう。決勝、万が一でも敗者復活の有力候補の一組には違いないのでは。

インディアンス 89点

良くも悪くも彼らの漫才。現時点でかなりの高水準を保っているボケの数々を、ミスなく繰り出せば2年連続の決勝は大いにあります。ただネタそのものは大きな変化に乏しいため、ハマらない人にはハマらないという最悪のパターンも想定されます。それにしても田渕の活舌の良さには舌を巻きます。あれだけの早口でも何言ってるのかちゃんと聞き取れるんですから大したものです。

ぺこぱ 90点

昨年の第7世代大ブレイク組から唯一の準決勝進出。決して色眼鏡で見なくても、彼らの勝ち残りは妥当だと思いました。松陰寺のノリつっこまないボケも決して単一的な展開ではなく、去年はネタの中で多少薄味に感じたシュウペイも補正無しで成長と練習の跡が伺えます。優勝とまではいかなくても、ただの一発屋で終わらない地位を確立できる大会になるかも知れません。

からし蓮根 90点

こちらも去年の決勝を経て更なる成長を感じさせたコンビ。特に伊織が繰り出すボケの質が明らかに向上していました。【居酒屋の店員】というオーソドックスなネタだからこそボケ力が大事になる・・・と考えれば、今年も準決勝で終わるようなコンビではないでしょう。メンバー次第では最終決戦まで見据えていいかも知れません。

ダイタク 91点

双子でコンビを組んでいる以上双子ネタはまず避けては通れませんが、数ある兄弟ネタと比較しても彼らほど巧く活用できているコンビは類を見ません。去年の敗者復活戦でも私は1票を投じたのですが、他の人には刺さらなかったのか思った以上に伸びませんでした(因みに他の2組は和牛とアインシュタインでした)。個人的に今年の決勝の舞台で是非あの強者共の審査員達がどう評価するか、見てみたいものです。

ニューヨーク 92点

失礼を承知で書きますが、去年の決勝は凄く妥当な結果だったと思います。彼らの世界観に溶け込む前にネタが終わったのもありますし、屋敷の発言もかなりの大博打で当時は結構批判の声も大きかったですし。ですが今にしてみればあれはしっかりと爪痕として残され、ニューヨークがこの大舞台で再度リベンジするチャンスがやってくる可能性は高いと思います。問題は屋敷発言の元になった松本人志の【笑いながらツッコむのはあまり好きじゃない】という所はそのまま。これが審査にどう影響が出るかも見所の一つになりそう。

ゆにばーす 93点

過去2回の決勝ネタと今回の2回戦ネタで明らかに変わったイメージを受けたのが、それまではらちゃん弄りが差し込まれていたのが直接的ではなくなり、男女という視点にフォーカスを当てていたところ。所謂容姿弄り、キャラ重視からの脱却が色濃く見えました。それで彼女の個性が薄れたかと言えばそんなことは無く、存在感バリバリ。だけど特筆すべきはそこではなく、寧ろ川瀬名人のキャラ。2017年の決勝では失礼ながら尖った陰キャ代表みたいな雰囲気を纏っていたのが、いい意味で大衆的に変化。これもゴッドタンのお陰なのかしらw

タイムキーパー 93点

結成2年目のコンビ。最初ネタを見た時は、あくまでコンビ結成2年というだけで本来は10年選手なんじゃないの、と思わせられるくらいの完成度の高さに脱帽。結成間もない若手コンビは大抵粗削りながらも勢いがあると評されがちですが、このコンビのネタはただ1点を除いて粗くない。きっちり計算された笑いの応酬。若々しさもある。発想の根幹の底が見えない。まだたった一つしかネタを見ていませんが、月影先生がいたら間違いなく『恐ろしい子たち!』と言うでしょう。懸念材料はそのただ1点、時間内に収めるという所。コンビ名に反して時間にルーズで、ネタ中も時間制限オーバーの警告音が鳴り響いていたというからそこを上手く仕上げきれるかどうかでしょうね。

見取り図 94点

初期M-1では笑い飯、現在のM-1では和牛が決勝の常連として名を馳せてきましたが、和牛が卒業した今、そのポジションに収まりつつあるのがこのコンビ。現在13年目なのでチャンスは今年も含めあと3回。勝手な事を言わせてもらいますがもしかしたら今年が最大のチャンスではないでしょうか。2018年霜降り明星のような若手の大スター筆頭、2019年ミルクボーイのような圧倒的なネタの爆発力を擁したコンビが見当たらない今、彼らがM-1を制する可能性も存分に備えている状況だと思います。敢えて苦言を呈せば、学天即が上がってきた場合、ベテランの安定感といった所を天秤にかけられた時が怖いかも。

オズワルド 95点

正直に言います。声に出してゲラゲラ笑った唯一のネタでした。だって登山の心得の話をしていたらいつの間にか電車内でババアを倒す方法を語ってるんですよ。もっと恐ろしいものの片鱗を味わいましたぜこんちくしょう。元々は去年のM-1が初見でしたが、おぎやはぎが整地した21世紀の関東漫才の流れをふんだんに組んでいるイメージがあります。更に遡れば象さんのポットというお笑い第3世代に一瞬輝いた漫才コンビもいますが、彼ら程の独創性を求めるのは酷というもの。私がネットお笑いに初めて足を踏み入れ、2002年に初めて漫才テキストを投稿する時に、おぎやはぎの雰囲気を醸し出したネタが仕上がったのは恥ずかしい過去。オズワルドがおぎやはぎと決定的に違うのは、伊藤が矢作ほど相方に優しくないため、そこにこのコンビのメリハリが生まれているのでしょう。柔らかい雰囲気の中にありながらボケが全力で狂ったことを言い、ツッコミが全力でそれを際立たせている。この質のネタがバンバン量産されたら怖いもん無しなんじゃないですか。

以上です。長々とここまでお付き合い下さいました読者様には感謝しかございません。個人的決勝進出のボーダーラインが89点くらいと感じておりますが、勿論2回戦のネタのイメージでしか語っておりませんので、低く見積もったネタでも全然決勝があると思いますし、その逆もまた然り。私の独り善がりな予想ですが、半分くらい当たってたらいいなあ。

※現時点での決勝進出予想

本命(92点以上)・・・オズワルド、見取り図、タイムキーパー、ゆにばーす、ニューヨーク

対抗(87点以上)・・・ダイタク、からし蓮根、ぺこぱ、インディアンス、学天即、おいでやすこが、金属バット、ニッポンの社長、錦鯉、マヂカルラブリー

中穴(83点以上)・・・カベポスター、祇園、滝音、東京ホテイソン、キュウ

展開次第・・・ウエストランド、ランジャタイ、ロングコートダディ、コウテイ、アキナ

尚、今迄はワイルドカードでの進出者が決勝に残った例が無いので今回スルーしておりますが、今年はもしやの番狂わせがあるかも。本当楽しみしかない。そして12月2日の準決勝を是非ともライブビューイングで見たい!・・・と思っていたのですが、外せぬ用事の所為で泣く泣くスルーしなければならない羽目に。こんちくしょう金竹小。

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