急にタメ口になる奴

2/16.Fri.
 ここ二日間ほど三十九度の高熱を出して寝込んでいたため、朝一番に病院に行った。今朝にはもう熱が下がっていたので自転車で向かう。二日ぶりのシャバの空気は美味しかった。しかし私を問診してくれた若い女性の看護師さんに自分が発達障害だと伝えたところ、なぜか急にタメ口混じりに話しかけてくるようになったので、おおお? と思う。たぶんこちらを馬鹿にしてるとかじゃなくて、意思の疎通が困難(かもしれないと思われる)相手にわかりやすく指示を伝えてくれようとした結果なのだと思うけど、あの、敬語くらいわかりますよ、なんならこっちはずっと敬語ですし……と若干引いてしまう。
 そのあとはなんやかんや鼻に綿棒を突っ込まれたり、胸部のレントゲンを撮られたりと色々あり、結果はコロナ陽性だった。昨日一昨日の隔離生活に続き、これからさらに三日間もこの生活が続くのか……と地味に落ち込みながら自転車を漕ぎ、家に帰った。

 2/17.Sat.
 妹が微熱を出し、恋人が高熱を出して寝込んだ。まぎれもなく私のせいである。どうか二人とも重症にならず、早く治りますように。そう願う一方で、早くも「あれ、もしかして私が一番軽症なんじゃ?」という疑惑が立ち上りつつある。私は三十九度の高熱が出たものの、熱は二日間で何事もなかったかのようにスパーンと下がったし、他には喉の痛みと軽い関節痛があったくらいで本当に軽症だったため、罪悪感がある。二人には今度何かしらの埋め合わせをしないといけないなと思い、なけなしのお金を貯める決意を固めた。
 それにしても、日がな一日自室に引きこもって暮らしていると、不登校だった高校時代を思い出して勝手に気持ちが落ち込んでいく。どこにも居場所がなく、肩身の狭い思いをしながら部屋に閉じこもり、家族の誰とも口を利かず、通知の鳴らないスマホを握りしめながらひたすら布団の中で過ごしていたあの日々を思い出すと、無性にさみしくなって、時折水やらご飯やらを差し入れてくれる母に向かって渾身の変顔を披露して反応をもらうというかまってちゃん攻撃を仕掛けてしまう。差し入れてもらった豚汁を食べて、あつ森をして昼寝して、日記を書いてまた寝て、その繰り返し。良い加減、心が萎えてくる。早く外に出たいし、人と自由に会話できるようになりたい。

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