バチェラーに選ばれるより、ひとりでバーで飲める女

Amazon Prime で配信されている恋愛リアリティーショーのバチェラー&バチェロレッテシリーズ、私は好きでシリーズの最初からみている。ただこんなツイートをみかけて、ちょっと複雑な気分に。

まあ確かに、バチェラーシリーズでは性格の良しあしよりいかにバチェラー好みの顔立ちをしているか、がキーになっていて「性格」より「顔」か、なんて思う場面が少なくない。

ただ自分のまわりの既婚者を思い浮かべると、それこそバチェラーになれそうな裕福な男性も含めて「顔が圧倒的に可愛い」が決め手で女性を選んだ、選ばれたんだろうな、というカップルはあまりいない。
私はワーキングマザーだから似たような属性の人と繋がることが多い、だからそれもある。とはいえ自分が稼いで相手も稼いで、そんなケースが圧倒的に多く、だからもし、お金に不自由なく暮らしていきたいのなら、まずは自分が稼げるようになることが唯一無二の近道じゃない?と、そう思う。
ちなみに私の既婚者の女友達に共通しているのは「いざとなったらひとりでも生きていける」精神的な強さだ。彼女のパートナー達もそんなところが好きなんではないかな、と大好きな友人達の顔を思い浮かべた。

お気に入りのバー、Bar Bossaの店主、林伸次さんが書かれた小説「HOP TRAVEL ハラタウー1000年の土地ー」もそんな私好みの女性が主人公だ。ひとりでバーに行って、ビールを頼んで、マスターとの会話を楽しめる女。
そんな彼女が、四国のひとり旅の途中に知り合った男性と意気投合。親の紹介を経て結婚の約束までしたのに、彼の旅行先のドイツ、ハラタウからの連絡を最後に相手が消えてしまった、というのがそのストーリー。

私がその主人公の女性を何とも好きなのが、結婚を考える相手の、一見無謀な、失敗したら借金を背負うような夢を後押ししたいと思うこと、そしてその成功のために自分は何ができるか?と頭を使うことだ。男性の人生を支えるというより、むしろ引っ張っていくような。
そして彼女は恋人が行方不明になったことを嘆くのではなく、バーのマスターを誘い、ドイツのハラタウまで彼のことを探しに行く。その強さ、その行動力。かっこいいなあ、ととても憧れる。

文中から想像する彼女は、「顔が圧倒的に可愛い」訳ではなさそうだ。ただ彼女はきっともてる女性で、それはそのまっすぐな強さが故だと思う。
歴代バチェラーはもしかしたら、彼女を選ばないかもしれない。ただそんな男は彼女の眼中にない気がする、何となく。

この文章を書くために、小説の中で彼女と彼女の恋人が手掛けたビール、エビスホップテロワールを手に取り「ハラタウ-1,000年の歴史」を読み返す。
やっぱりいい女だなあと思う。こんな風でいたいなあと思う。そしてそれは、バチェラーにとって「圧倒的に可愛い」より、ずっと素敵なことだと思っている。


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