嬉しいこと
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Perch.のお手紙 #136
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休日に、目的もなく本屋を散策するのはたのしいこと。
その後の予定もなくてどれだけ立ち読みしてもいいし、気が変わったらさっさと帰ってもいい。
気になっていた新刊の料理本や、おいしそうな特集が組まれた雑誌をぱらぱらとめくる。旅を誘う見出し、次に読みたい小説、外国の小冊子。そんなものに混ざって、素敵なエチケットのワインや瓶詰め、チョコレートが並ぶ本屋さん。
先日ふらっと立ち寄ったら、切り絵がかわいいパッケージがずらりと並んでいるのを見つけました。絵は何種類もあって、「Kyotango(京丹後)」と書かれています。中にはティーバッグが入っている様。裏を見ると郵便番号を記入する例の四角が8つ描かれていて、84円切手を貼るとそのまま葉書として投函することが出来るとのこと。
これは母が好きに違いない、とひと目見た時に思いました。
今出せば節分に間に合うな、と思い「泣いた鬼」の描かれたものを送ろう、と思う反面。メッセージを書いて切手を買って投函する時間があるかしら。かわいいけれども、そんなに喜ぶかしら。お茶なんてきっとお家にもたくさんあるよね、などしばし逡巡。
よしっ、と思ってレジに行き、翌々日に無事に投函。母からはとても喜んだ様子で「ありがとうー!かわいくて開けられないね。」とメールが届きました。
忙しいと目的のためにばかり時間を使ってしまう私。目的もなく本屋さんを散策出来る時間があること、好きな本や雑貨を自由に買うことが出来ることはとても嬉しいことです。
けれども、一番嬉しいことは、きっと、大切な人をちょっと喜ばせる時間を作ることが出来ること。大切な人に愛情を伝えることが出来ることなんじゃないだろうか、と思いました。
気持ちを伝えることは、例えばそれが自分から他者への100%の善意だった時でもとても難しいことだな、と日々痛感します。
優しい気持ちが、優しいままその人に伝わった時。私はとても嬉しくなります。