小さな惑星に灯をともして

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Perch.のお手紙 #146

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お別れはひらめきに似ている。

さて、今日は何を書こうかしら?

と思ったその刹那、今日が最終回なんだな、と思った。

4年前までよくケータリングをご注文下さったお客様が、先日久しぶりにご注文を下さった。

到着してみると、当時よく通った田町のレンタルスペースで、いろいろな方の様々なパーティーにお伺いした場所だった。

ご挨拶をして、今日はどんなセッティングにしようかと考える。

テーブルの大きさはこんな感じで、いらっしゃるお客様はきっとこんな感じ。

会のコンセプトはこんな感じ、持って来ているお料理はこんな感じ。

散りばめられた「こんな感じ」を、ケーキを作る時みたいにさっくりと混ぜて。

一瞬の大きな絵を描く。

その時、その場所がドラマティックに変わっていく音が私には聞こえる。

それは本当に最高の音なのです。

説明がいらなくて、食べたらおいしくて、あっという間に消えてしまう。

けれどもずっと長く記憶に残ってたのしかった空気をいつだって呼び起こせる様な。

それがケータリングなんだと思います。

撤収をして青い大きなIKEAバッグに荷物を詰め込んで、お道具の入った大きなリュックをかついで帰宅ラッシュの駅まで向かう。

ぎゅうぎゅうの電車でいろんな人に「邪魔だなぁ」と思われながら、私は満足感でいっぱいになる。


妹のようちゃんに連絡をして夜ごはんを食べる約束をする。

改札の外で待っていたようちゃんを見つけた私は、この何年かで1番の笑顔だったと思う。

「ただいま」と思った。

私は私の場所にようやく帰ってこれたんだ。

とてもとても長い時間がかかったけれど。

こころがどうしようもなくわくわくして、私はそれを止めることができない。



3年ちょっと間、おつきあいを頂き本当にありがとうございました。

私は私の場所に戻ります。

手は2つしかなくて、そんなにたくさんのものは持てないのだとしたら、1番大切なものを大切にして進みたいと思う。


またみなさんにどこかでお会いできますよう。