シラナイホシ

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Perch.のお手紙 #101

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GWの記憶をもうひとつ。


仕事関係のたのしい旅から戻って、山のお家に向かう間のとある1日。


5月特有の透き通った青い空ときらきらとした陽射しに、衣替えの準備をしながら、溜まった洗濯物も、シーツもタオルも冬用の毛布もどんどん洗って、ベランダにたなびかせていく。


窓を開けて、コーヒーを淹れて、椅子に足を伸ばして、パソコンで仕事をしながら、間に間に読みたかった本を読んでいる。


外からはGWの熱気と喧騒の切れ端と、駅前の特設ステージで開催されている音楽祭のライブの歌声が、5階にある私の部屋まで風に乗って流れてくる。


2年間の静かな生活に慣れきってしまっていた私には、それまでの日常を久しぶりに目の当たりにして、まるで知らない星に訪れている様な気持ちになりました。


その日夕方まで鳴り止まなかった切れ切れの音楽。


シナライホシに降り立った宇宙人は、きっとこんな気持ちだろう。



この2年の静かな生活の、良し悪しは別として、確かにそこにあった日常から、2年前にあった日常に急激に戻っていく様な日々。


時間の不可逆性を考える時、元に戻ろうとする力ではなく、前に進もうとする力はなんだろう、と考えている。


この2年で学んだことを、これからのために使いたい。


そんなことを考えた、シラナイホシの1日。