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学生とチロルチョコ③ 異なる価値観

#note100本ノック
Day 19

この100本ノックでは、洋楽Dictation、Speech、そしてTopicを組み合わせたアクティヴィティの中で、英語が苦手と語る学生たちが英語を楽しむ学習者へと変わっていく要因を探求していきます。

チロルチョコレートから始まった実践を紹介しています。いよいよ、学生たちが本音をぶつけ合うときがやってきました。

さてさて、今回も学生のコメントを。

私はイギリスの方針に対して「何を言ってるんだ」と思いましたが、同じクラスの人には、イギリス寄りの考えを持つ人がおり、驚きを禁じ得ませんでした。

しかし(よく)話を聞くと、その人(クラスメート)は人道的な視点に立って物事を判断しただけであり、決して間違ったことを述べたわけではないと思いました。

自分の主義、主張が正しいと思っていても異なる視点からみると的外れに感じることも多々あり。(この)規模を大きくしていくと、ガザでの軍事行動などもこの延長に過ぎないのではないかと理解しました。

学生の後期の振り返りより

チロルチョコレートから始まった実践が、ガザでの軍事行動への考察にまで発展しています。

それでは、実践の続きをどうぞ。


要訳をした結果

各グループで分担して要訳をすることを前回課しました。

もちろん、自分で英語のこの記事を読み切ってもよし、各グループの要訳を頼りにしてもよし。自分の学びたい方法を選択してくださいな。

こちらが分担したうちの最後のパラグラフです。

Tom Watson MP, Deputy Leader of the Labour Party said: “This research reveals the scale of irresponsibility in the industry. We’re in the midst of a child obesity crisis and companies are using cartoons to advertise their junk foods to kids. It’s unacceptable. It’s time we changed the rules to get these cartoons off our packs.”

出典:Call for ban on cartoons on unhealthy food packaging  

Tom Watsonは、こう言っている。
この調査は、業界の無責任さの指標だ。我々は、子どもの肥満危機に直面している。カンパニーは子どもに不健康な食品(ジャンクフード)の広告にアニメを使っている。これは、容認できることではない。

我々が、これらのアニメ(カートゥーン)をパッケージから取り除くよう、ルールを変えていく時がきたのだ。

あるグループの要訳より

この記事の趣旨は、「イギリスでは、子ども向けの食品からアニメのパッケージをのぞく政策を検討している」ということでした。

ここでQuestionです。

Q3
What do you think of this British Policy?

授業中のQuestion 3より


自分の考えをグループでシェアしたあと、Padletにまとめます。Q1〜Q3について、縦に割り当てられた自分のセクションに表現していきます。(こちらのクラスでは日本語で表現していますが、テストではこのQについて、英語での回答を問います。)


あるクラスのPadletの記述

興味深いことに、どのクラスでも「賛成」と「反対」が同じくらいの割合でした。ただし、その理由はそれぞれ異なります。

グループでのやりとりは、かなり活発な意見交換がされた様子。自分の意見を伝え、ほかの人の意見を聞き、また考えるというこのシンプルなやりとりが、いかに彼らの心に響いているかは未知の可能性を秘めていると思いませんか。

パッケージを変えただけで健康問題が大きく改善されるのか疑問

学生のPadletの記述より

これ、なかなか面白い指摘ですよね。

マーケティングによる問題というよりは、個々の家庭での教育の問題に思える。

学生のPadletの記述より

家庭での教育の問題!鋭い指摘。

商品の糖質を下げることは確かに重要な問題だと思うが、それはパッケージの変更や糖質の削減などで済む問題ではないと思う。

また、日本とイギリスでは食生活や日々の生活自体が大きく異なるため、安易に比較するべきではないと考える。

学生のPadletの記述より

日本とイギリスを安易に比較すべきではない。いいですね、いいですね。国によって文化も抱えている環境も異なることに着目しています。

健康に問題が起きるほど食べているのであれば、それはパッケージではなく食べた本人や親の管理不足だと思います。

パッケージが原因と考えるのであれば他の健康だと言われているもの(野菜や牛乳など)に逆に積極的に取り入れてみるのもいいんじゃないかなと考えました。

学生のPadletの記述より

そう、国が政策として行うレベルの話なのか、個人の問題なのではないか、という指摘もいくつも見られました。また、他の製品に考えを転移させて思考していることも興味深い。

この頃になると

実際にこの頃になると、授業が終わっても数名が残って、この題材について議論している姿が見られるようになっていきます。もう話したくて仕方ない、という感じ。

自分の考えとは異なる考えがあること、異なる考えを持つ人に実際に出会うこと。互いの価値観を伝え合うことこそ、学校教育のなかで実現していきたいことだとわたしは思っています。そして、その経験が冒頭のような学生の感想につながっているのではないかと。

ということで、わたしが提案した展開はここまで。授業は終わったかに見えますが…。

これはまだ序章に過ぎなかった。ここからが、彼らの探求の始まりです。

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