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ふたりのSちゃんの思い出と、怖さと。

9歳、10歳だったろうか。何らかの調査員らしき人が自宅の玄関先に座って、子ども(わたし)にインタビューされた記憶。今では絶対ないだろうし、そもそもあれは何だったんだろうと思い出せない。

色んな質問をされて、その質問も思い出せないんだけど、一つだけ覚えているのが

「尊敬している人は誰ですか?」
だった。

ふっと頭に浮かんだSちゃん。
「Sちゃん」と答えた。

「お友達?どんな子なの?どんなところを尊敬しているの他の人もいる?」
また質問攻め。後々のやり取りで、あの回答は両親や著名人の名を答えておいた方が良かったんだなと気づいたけれど、それは後の話。

一番に頭に浮かんだ彼女。
同級生の幼馴染。

一歩引いて客観的、俯瞰的に見ることが得意な子。自分よりだいぶ大人びていた。

当時私はあまり学校というものが好きでなくて、友達もあまりいなかった。
鎧をまとって、いつもちゃんとして、心の中はツンっとすましてた。

周囲にそれがどんな感じで伝わっていたかは分からないけれど、数少ない友人の中でもSちゃんは優しかった。どんな風にとか全然覚えてないんだけど、なんかよく近くにいてくれて、とにかく優しいという印象だけが残っている。

そこから「尊敬」に繋がっていったのかなぁ。記憶が曖昧。


25歳。社会人3~4年目のある日。
突然同期のS(さっきのSちゃんとは違う)から、とある自己啓発系の講座に誘われた。誘われたというより、半強制的、強めのお誘いだ。

「この講座参加した方がいい!2日で8万円。ちょっと、いやだいぶ怪しい感じはある。けど、あんたには必要だから!」


えっ・・・2日で8万って結構高額だし、怪しいって分かっているのになんか強めに勧めてくるな・・・。

と思いつつ「あんたには必要だから!」がドンと心に落ちてすぐ受けた。
詐欺にあいやすいタイプだろう(笑)


結果的に、今「過去、転機になったことは何?」と聞かれたらTOP3に入るほど大切な講座だったと振り返る。もう一度受けたいとは思わない、パンチの効いた心にドスドス響くものだったけれど。完全紹介制の講座で、私も以後何人かの大切な人におススメしたこともあるんだけど、まぁ人は選ぶやつ。安易になんて勧められないものだけどさ。

心の壁がはっきりと見て取れる。
イイ子ちゃんでいつもいる(ぶりっ子ともいう)。
本音で人と対峙できない私をみて「こればヤバい」と思った友の強めの押し出しが、怪しい講座へのいざないだった。

2日間は講義だけでなくワークとかゲームがあるんだけど、身体を動かしてのゲームで自己(エゴ)が露呈しまくったなぁ。
2日間一緒に過ごしたメンバーからのフィードバックで「健康に気をつかって、油ものを食べたりするのを控えてるって話とかあったけれど、全然健康的に見えない」と言われた時の衝撃も(笑)

10年以上経った今でも、たまに思い出しては震える。因みに今はめっちゃ油モノ食べるけれど、凄く元気で健康的と言われることの方が多い不思議。食もだけど、気はもっと大切ってことね。



ここ数ヶ月、たまにSちゃんのこととSのことを思い出すのは、二人が同じ名前だからかもしれないし、二人ともに会ったからかもしれない。

Sには8月に会ったばかり。

Sちゃんのことを思い出すのは、GWに会った時に違和感があったから。言葉と声に。

ホント?その気持ちはホント?ホント?

何度も確認するのは失礼な気がする。
単なるお節介だし、私のエゴかもしれない。
あぁでも気になる。

はっきり見て取れる心の壁があった20代の自分と重ねているのかもしれない。

昨日からひっそりこっそり募集している講座がある。

私は彼女に声をかけたいのだ。

怖い。だけど、作りながら思い浮かべた顔の一人に彼女は間違いなくいる。


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