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ちょっぴりスピリチュアル #1 未来は決まっているのか?

みなさん、本当のことが知りたくないですか? たとえば、輪廻転生はあるのか。平行世界はあるのか。神様はいるのか。いるとしたら誰なのか。

霊感があるわけじゃない。だけど真実が知りたい。そんなちょっぴりスピリチュアルな私が、書評を交えてお送りする「ちょっぴりスピリチュアル」。
第一回目のテーマは、「未来は決まっているのか?」です。

まずはじめに紹介したいのが、テッド・チャン。アメリカのSF作家です。天才です。同時代に生きることができて良かったと思う人物のひとりです。(以下、ネタバレあり)。

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いきなり結論を言ってしまいますが、テッド・チャンの世界観では、未来は決まっています。どの作品でも、その原則はブレません。タイムトラベルものでは、時を遡って事件を未然に防いだり、大切な人の命を救ったりすることが最もドラマティックな要素のはずですが、チャンはその一番「おいしい」部分をバッサリ捨てて、にも関わらずドラマを作り上げてしまうのです。

冒頭では私たちが生きる世界の話だと思わせておいて、読み進めるうちに違う世界だと分かってくるナビゲートの巧みさ。テーマは特殊なのに、嫉妬や後悔、思いやりや友情といった、人間感情を物語の根底に据える普遍性。チャンの作品の魅力は語り切れないほどありますが、最も優れたところは、「世界観にブレがない」ところです。

チャンの世界観をもっとも端的にあらわしているのは、『あなたの人生の物語』で紹介される「フェルマーの原理」です。

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端折って言うと、「光は最短時間で到達できる経路を選ぶ。光は動き始める前に、到達する目的地を知っている。」ということです。

つまり、「目的(未来)が先にあり、目的に向かって人間も含む様々な物質が振る舞っている」=「未来は決まっている」というのがチャンの世界観なのです。

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第二短篇集『息吹』に収録された『商人と錬金術師の門』でも、『予期される未来』でも、その世界観は変わりません。『商人と錬金術師の門』は、事故で奥さんを失った主人公が事故が起こる前の時間にタイムトラベルする話なので、「未来や過去は変えられるのか?」という疑問を切実な気持ちで主人公と共に追わざるを得ません。結果、奥さんの死は避けられないのですが、物語はそこで終わりではありません。過去も未来も変えられないと知った主人公が、唯一変えることが出来たものがあったのです。

それは何だったのか。ここで言うと本書を読む楽しみを奪ってしまうかもしれないので、ぜひ実際に手に取って、読んでみてください。私は、それこそが人間の生きる意味なのではないかと思いました。

ちなみに『息吹』の中で一番好きな短編は『不安は自由のめまい』です。タイトルからして秀逸!

では私にとっての真実は何か、という話ですが、スピリチュアルや物理学などの本を色々と読み漁った結果、「どうやら未来は決まっているのではないか」というのが、暫定的な答えとなっております。

現在過去未来

   わたしの現在・過去・未来のイメージ

実は私、霊能力がある人に「あなたは将来、このように考えることになるでしょう」と予言された事があったのです。

その時点では「えっ? そんなのあり得ない」と思ったのに、いざその時が来てみると、言われた通りのことを考えていたのです。

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たぶん、「世界中で起こるすべてのことが書かれたデータバンク」があるのでしょう。霊能力者と呼ばれる人たちはそこにアクセスできるから、予言ができるのではないでしょうか。

データバンクの概念は、パウロ・コエーリョ 著『アルケミスト 夢を旅した少年』では、「マクトゥーブ」という語で紹介されています。」(アラビア語で、「それは書かれている」という意味です。

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占い師は、「全てが書かれている場所」に、占い棒や手相やカードなどを使ってアクセスするが、占い師でなくとも、私たちはそこにアクセスし、「前兆」を読むことができる。それが日常で起こる不思議な偶然、「シンクロニシティ」に注目することである。目に映る~すべてのことは~メッセ―ジ~♪ というのが、この本の主な内容です。スピリチュアルが学べるだけでなく、宝を探す少年の冒険譚としても楽しめるので、オススメです。

もしかしたら、未来は決まっているのではないでしょうか? 私の人生を振り返ってみても、「そうせざるを得なかった」という瞬間がありました。何かに突き動かされて、どうしてもあの人に会いにいかなければと、頭で考えるより先に身体が動いていたということがあったのです。それを運命や宿命と呼ぶのではないでしょうか。

未来が決まっているとしたら、人間の自由意志はないのか? どんなに努力しても決まったとおりの未来にしかならないのなら、はじめから行動する意味なんてないのでは? これを読んでいるあなたはそう思ったかもしれません。そんな風に考えて、無気力病に陥ってしまう人が急増してしまう世界を描いたのが、先に紹介したテッド・チャンの『予期される未来』です。

私も一時期、同じように考えて無気力に陥ったことがありました。でも今は、「未来が決まっている」方が、優しい世界なのでは考えるようになりました。

救えるはずだったのに救えなかった人。実現できるはずだったのに実現できなかった夢。自分の行動や言葉次第では、結果が変わったかもしれないと考えるのは、とても辛いことです。

ならば、どのように行動してもこういう結果になることは決まっていたんだと考えるほうが、慰めがあるんじゃないかと。過ぎたことを悔やむ必要もないし、心配せずにやりたいことをやればいい。全ては決まっているのだから…。そう考える方が、自由になれるのではないかと思ったのです。

あなたにとっての「真実」はなんですか? 未来は決まっているものですか? 自分の意思で切り拓くものですか? それとも、それらは両立するのでしょうか?

#読書 #SF #テッド・チャン #スピリチュアル #パウロ・コエーリョ #宿命 #自由意志


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